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創業1990年、老舗レストランを長期休業することとしました。

6月21日をもちまして当社が経営する飲食事業「かぶらや」を当面の間、長期休業することとしました。

両親の時代から30年の長きにわたり継続してきた事業でしたが、新型コロナウイルス感染症による感染予防対策や「新しい生活様式」を実践しながらの営業は難しいと判断しました。

30年の間で長期に休業したのは震災の時以来です。競争が激しい飲食業において、30年経営を続けてきた店をクローズするのは大変心苦しいのですが、またいつか「安心・安全に宴会ができる日」が来るまでクローズします。

長期休業の理由は3つあります。

ご興味のある方、詳しく下記にまとめてみましたのでご一読ください。

① ビジネスモデル

かぶらやは客席80席ある中型の飲食店です。

「座席×回転数」という指標が飲食店の売上を決めますが、当店のメインのお客様はグループの宴会需要です。

例えば忘年会、新年会、歓送迎会、法事、結婚式二次会、会合後の宴席、旅行会社からの団体ご飲食などなど。。。

ですので、回転数はないけど、座席キャパシティを持つ空間を提供することで、様々なニーズに応えてきました。最近では4名様や10名様の個室を作ることによりより細かいニーズにも対応する取り組みを行ってきたところでした。

しかしながら、当店のロイヤルカスタマーである行政、医療関係、学校関係、企業関係の宴会需要が最大の書入れ時である12月~4月の時期に無くなってしまったことで、大幅な減収を余儀なくされてしまいました。

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また、第二波、第三波を危惧する声もあります。
感染者0の岩手県にもし感染者が出た場合は、おそらく一気に一斉に自粛モードになることが同じ県民として明らかに予想されます。これははっきり言って経営上の大きなリスクであり、このまま事業を継続していくのは難しいと判断しました。

② 食に対するこだわり

当店は、家族経営でもなく大手チェーン店でもなく、料理人いわゆる「シェフ」を雇用しそのシェフの得意料理をご提供することで支持をいただいてきました。

職人を雇用することでチェーン店にはない手作りの料理の良さと、地元食材を活用した飽きさせない料理をご提供してきました。最近ではベジタリアンやヴィーガンの対応、ハラル対応のメニューなどをニーズに応じて対応するなど、食の多様化にも対応していたところでした。

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しかしながら、飲食業界全体が減収する中で、家族経営ではないことから人件費の吸収が難しく、従業員にも協力してもらいながら、雇用調整助成金などの活用し営業せざるを得ませんでした。

テイクアウトメニューなどの提供により売り上げを作ろうと努力はしましたが、各飲食店がみなテイクアウトメニューの提供を行う中、当店は職人が作るため価格は高くなる傾向がありました。また、スーパーなどで提供されている390円前後のお弁当と比較されてしまい、キャッシュをまわすレベルまで伸ばすことができませんでした。

③ 「新しい生活様式」への対応


今回の新型コロナウイルス感染症の対応の中で、一番の課題だったのは「新しい生活様式」が示されたことでした。この中で飲食店については下記のように記載されています。

・持ち帰りや出前も
(お店で食べるのを控えることも考えましょうってこと?)
・大皿は避けて、料理は個々に
(宴会も個々にってどれだけ食器類揃えなきゃいけないんだろう。それを提供する人件費も大変だろうなぁ)
・対面でなく横並びで座ろう
(せっかく買った座席やスペースは最大限使えないんだ)
・料理に集中、おしゃべりは控えめに
(それって飲食店で食べる必要ある?料理の鉄人ですか?)
・屋外空間で気持ちよく
(忘年会シーズンは零下まで屋外気温下がりますけど?)

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いかがでしょうか?
当店のような宴会をビジネスモデルの中心としているお店にとっては
営業するなと言っているようなものですね。

そしてさらなる感染症対策によるコストUP、従業員の安全性を考慮しますと現段階においては休業せざるを得ないとの結論に至りました。

この「新しい生活様式」については、私は強く疑問を持っています。これについてはまた別の機会に記載したいと思います。

営業許可は継続しますが、「安心・安全に宴会ができる日」が来ることを信じるしかありません。

それが何年かかるかもわかりません。
もしかしたら大人数で宴会すること自体が「オワコン」なのかもしれません。

老兵は死なず、ただ消え去るのみ。
「かぶらや」の次の展開にご期待いただけましたら幸いです。


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