見出し画像

【囲碁】ヨセの大事な心得「真面目な人ほど損をする!?」

こんにちは。
 
IGOcompany【U】@毎日note継続中(233日目)です。

囲碁をビジネスに起業して「宇佐美囲碁教室」っていう教室を運営したり、武蔵小杉の「永代塾囲碁サロン」にて指導碁や交流会をしたり、

「新百合囲碁学園」の学園長を任されたりしながら、世田谷や麹町、大学などでも囲碁を教えて、ご飯を食べてます。

本日のnoteは、

【囲碁】ヨセの大事な心得「真面目な人ほど損をする!?」

っていうnoteです。

有料にしようと思ったんですが、ちょっと短めにまとめたので無料で公開してみます!

ちなみに、

noteの写真は、没案にした某本の表紙です(特に意味はないです)。

先日、

棋譜添削の依頼がありまして、

「ヨセ」を中心に解説して欲しいとのことで、どうにかこうにかご要望にお応えして、添削を郵送しました。

「中盤までは20目くらい勝っていると思っても、最後には負けになってしまっている」という話で、棋譜を拝見したんですが、

ヨセで「大きい」トコロが打てていないというのは勿論あるんですが、

それ以上に「受けすぎてしまっている(手抜きが出来ていない)」って印象を持ったので、そちらを中心に添削をまとめました。

もちろん一生懸命解説したんですが、

参考図を6枚分で説明しきれないトコロもあるなと思ったので、今日のnoteで、補足的な内容をまとめてみようと思った次第です。


題名を、

【囲碁】ヨセの大事な心得「真面目な人ほど損をする!?」

ってしてみました。

というのも、

ヨセにおいては、相手の手に対して、真面目に応じてしまえばしまうほど損をしてしまうことも多いので、

「受けない」「手抜きをする」という考え方が凄く大切になるからです。

日常生活の手抜きはダメでも、囲碁では手抜きが好手になることが多いんですね。

この受けないっていうのを理解するのが(説明するのが)難しいなと思ったので、このnoteでまとめてみます。

「真面目に相手をして、部分的に正しい受けをして、しっかりした手を打っていても、実は損している」というのが、今回のお伝えしたいテーマです。

「えっ?なんで、正しい手を打って損しているの??」と思った方は、

是非ぜひご一読いただければと思います!

【解説前のちょっとした説明】

「正しい手」と言っていいのかは分かりませんが、「良い手」というのは棋力によって変化することがあります。

初心者にとっては良い手でも、有段者にとっては悪手ですね、なんて言い方をしたりもします。

これが、ちょっと難しいんですよね。

僕は、囲碁の先生をしてご飯を食べているワケですが、

「前に先生はこの手が良い手と言ったのに、今は良くないんですか?(矛盾しているんじゃなですか?)」っていう質問を受ける時もあったりします。

例えば「(最初は)こうやって簡明に受けていればバッチリですが、強くなったらもっと厳しい受け方もあるんですよ」ってことを伝える場合などです。

それを説明するのは難しいので、

ちょっと良い「例え」かはわかりませんが、

単純な「アタリ」を例にとって説明したいと思います。

下の図、

黒2のアタリに対して白3と逃げました。

初心者の事なら「アタリに良く気づきましたね!逃げるのは素晴らしい手です」と褒められるような進行です。もちろん、上級者もこのアタリには逃げますが。

まあ、誰でも絶対に白3と逃げるでしょう

では、

下の図だったらどうなるでしょうか?

先程と同じアタリです。

黒2に対して白3と逃げるのは立派な手になりますが、実はこれは逃げても結局取られてしまうので、初心者の頃は「逃げられないアタリは放っておいた(逃げない)方が良いんですよ~」と説明します。

しかし、

実は「二目にして捨てよ」という格言があったりもして、取られるにしても白3と逃げておいた方が(手数が延びるから)良いという意味合いもあったりします。

後者の説明は、

入門者には省きますが、

ここまでの説明だと、初心者の頃は、

「アタリされて逃げられる時は逃げる、逃げても取られる時は逃げない」、
と認識すると思います。

白3が好手か悪手かは棋力次第

では、

下の図で、

黒13とアタリを打たれた時、

皆さんだったらAと逃げますか?逃げませんか??

シチョウが良いのでAと逃げられるのですが…

「アタリされて逃げられる時は逃げる、逃げても取られる時は逃げない」という認識だったらAと逃げてしまいそうですが…、

正解は

「逃げない」。

もう放っておいてしまって、

白12、14、16などと三隅を先行した方が白は良いのです。

このように最初の頃は褒められた手でも、上級者になれば良い手にはならない、そんなことが囲碁では起こりえたりするんです(難しいですよね)。

「ヨセ」も同じで、最初の頃に習った手や受け方が、棋力が上がってくるにつれて「緩着」となってしまう、

今回は、そのようなことに触れて解説します。

黒13は不要。大場に行きたい!

ちなみに、

蛇足にはなりますが、

話を遡ると、実は黒13とアタリをした手が悪手だったのです。

白〇の石は「要石(タネ石)」ですが、白×の石は強い石に引っ付いているだけの「カス石」。わざわざアタリをして取らなくても良い石です。

黒13は上級者なら絶対に打たない

このように「アタリ」の認識も、棋力によって全然違ってきたりもします。

【解説前のヨセの補足】

今回は、

ヨセの上級者を目指すために「受けない(手抜きをする)」を学ぶ解説になりますが、

その前に「ヨセ」の初歩について知りたい方は、

(ちょっと宣伝めいて、すみませんが)、

【囲碁】ヨセを知る最初の一歩「ハネツギ」から学ぶヨセの基礎知識

という本を出版していますので、まずはこちらからが最適です!

本当に、最初の「ヨセ」について学ぶ本です。

基本手筋の「ハネツギ」だけで1冊の本を書いたのは、世界初だと思います(笑。

まずはこれで「ハネツギ」の大切さ、「先手」「後手」について学んでみて下さい。

noteでも(ほぼ)同じ内容の文章を販売しています。

こちらは無料のnote。

「ハネツギ」から「先手」と「後手」を勉強して、

まだまだ余裕がある、もっとヨセについて詳しく知りたいって方は、

1目~20目までのヨセの「大きさ」について説明した、こちらのnoteがございます!(僕のnoteでベスト5に入るよく読まれているnoteです)。

全部で3万字越え、参考図も盛り沢山のnoteになります。

「全て」こちらの有料マガジンにまとめて追加していますので、良かったらクリックしてみて下さい!!

(すみません、以上、ちょっと宣伝でした)。

【参考図① 二線のコスミのヨセ】

さて、

ヨセの「受けない(手抜きをする)」という考え方を学んでいきましょう。

例えば、下のような図があったとします。

黒1と打たれたら(部分的に)どう打ちますか??

※他の大場に打つって答えは割愛します!

何も考えなければ、

普通に白2と止めますよね?

当たり前の手だと思います。

黒1と打たれたら白2と打ちますよね?

黒が矢印の方向に進みたいですよと打っているので、

部分的なヨセの話です

白2と止める、

止めずにヒラキは?とかも割愛させて下さい

何度も言いますが、これは(部分的に)正しい手です。

しかし、ヨセにおいては素直にこう受ける事が「損になる」という局面があるのです。

ちょっと難しい考え方なので、ゆっくり解説を読んでみて下さい。

ちなみに、上で紹介した黒1手を二線のコスミと言います。黒1の二線のコスミを白が2と止めてくれれば「黒は先手で6目得」と考えます。

「二線のコスミ6目」と、僕らは暗記事項のように覚えています。

以上のことを踏まえて、

下の図を見てみて下さい。

【参考図② 二線のコスミに受けてしまうと…】

ちょっと適当な図ですが、ここからのヨセ(だけ)を解説します。

※盤面が広いので「天元」に打った方がいいじゃないかなどは割愛します

黒1と打って白2と受ける、

これは部分的には正しいのですが…

本当に白2と受けますか?

同じように黒3に対して白4と受ける、

黒5に対して白6と受ける、
黒7に対して白8と受ける、

このようになってしまうと黒だけがお得な二線のコスミを4ヶ所「先手」で打っていることになるんですね!

このツラさ、大変さが理解出来ますでしょうか?

普段、何も考えずに受けていたりしませんか??

二線のコスミは6目お得と言われていますのが、

黒が6目の場所を4ヶ所打っているという事は、なんと「24目」もヨセを得しているということになるのです!!

安易に受けて「24目」の損!

これって大変なことですよね!?

では、黒1と打たれたら、

白は、どうすれば良いのか!?

【参考図③ 受けないで打ち返す!】

相手が黒1と「二線のコスミ」を打ってきたのなら、自分も「受けずに」白2と「二線のコスミ」を打ち返す、

相手が黒3と「二線のコスミ」を打ってきたのなら、自分も「受けずに」白と「二線のコスミ」を打ち返す、

このように反発して、相手の手に対して「受けないで手抜きで打つ」気合い(?)がヨセでは重要です。

黒が2ヶ所6目を打っていて、白が2ヶ所6目を打っている

ただし、受けないと石が死んでしまう時は「手抜き」が出来ないので、このような判断もヨセでは重要になりますね。

「ヨセ」を正確に打つのは難しいと思いますが、

常にこの「反発する」、相手の手に対して「受けない(手抜きをする)」という気持ちは持っていたいのです。

【おまけ 星の基本定石で復習】

次の図で、

もう一度説明してみましょう。

右上隅、「星の基本定石」です。

すぐに打つワケではありませんが、この後、Aと打つ手の価値を知っていますでしょうか?

Aの場所は思っている以上に大きい!

Aに打つ手のヨセの価値は「16目弱」と言われています。

囲碁の序盤の一手は、だいたい20目くらいと言われていますので、ヨセになった時のAの場所は「ヨセの王様」と言われているほど大きなトコロ。

中盤で、打つところがわからないなぁって思っている人は、とりあえずここを打っておいても良いと思います。

黒7と打つ手がだいたい「16目弱」です!

では、

下の図を見てみましょう。

白が白1と打ってきた時、黒がどう打ってみたいかを考えてみて下さい。

これはノーヒントで行きましょう。

白1と打たれたら!?

部分的には、

下の図のように黒2と受ける人がほとんどだと思います。

しかし、これは大間違い。

今日の題名の「真面目な人ほど損をする!?」です(笑。

ヨセで黒2と受けると「後手」になりますよね?

もし、黒2と受けると、

白は喜んで、次は左下隅の白3にまわります。

これに黒4と応じてしまうと、白が先手で2ヶ所の大きなヨセを打ってしまっているということに気がつくでしょうか??

先手で16目弱を2ヶ所打てれば「32目以上!」

では、白1に対してどう打てば良いのか。

今日のnoteを読んでくれた人なら気がつくと思います。

そう「受けない(手抜きをする)」です。

相手が大きなトコロを打ってきたのなら、自分もそれに反発して、気合い良く大きいトコロを打ち返してしまいましょう!!

下の図のように打つべきなのです。

白1に受けてしまう人が多いですが…

このように相手の手に、正しく受けているだけで損をしてしまっているってことに気づかない人は多いと思います。

今日のnoteを読んだ人は、

相手の手に対して「受けない(手抜きをする)」という考え方を是非ぜひ意識してみて下さい。それを気に掛けるだけで「ヨセ」の技術は向上するんじゃないかと思います!!

以上、

【囲碁】ヨセの大事な心得「真面目な人ほど損をする!?」

でした。

有料記事にしないと決めてから、短くサラサラッと書いたので、

拙い文章ではありましたが、

今回の棋譜解説の中に、読んでくれた方にとって、
何かひとつでも役に立つ情報があれば嬉しいです^^。

それでは、

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

また次回のnoteでお会いしましょう!!

※上のバナーをクリックしてもらうと「宇佐美囲碁教室」の詳細がご覧いただけます。何かご質問などがありましたら、お気軽にご連絡ください。


サポートありがとうございます。コロナの影響もあり、今囲碁界はどんどん縮小していっています。どうにかしたいと思っている方は多いと思います。まずは小さな一歩から、囲碁の本を買ったり、近くの囲碁サロンに行ってみたり、周りに囲碁を教えてみて下さい。サポートは囲碁普及に使わせて頂きます。