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【植林体験】300年後に碁盤になる木を植えに高知へ行ってきた

初めての植林をしに、高知県へ行きました。碁盤オタクの私が植えた木300年後に碁盤になるかもしれません。
これってすごく、ロマンがあると思いませんか?

苗を植えている様子

植えてきたのは榧(かや)という木で、国内では絶滅のピンチです。
しかし、そんな今でも碁盤と将棋盤のブランド素材といえば、榧の木材
この先どんなにデジタル化しても、囲碁将棋は伝統文化として残ることでしょう。

すごく長期で壮大な植林プロジェクトにほんのわずかでも関わらせてもらえて、本当にうれしいです。
ひとりでも多くの方に知っていただきたくて記事にしました。

今回の記事は、前川榧碁盤店様の取りくみである植林プロジェクト「榧(かや)の森づくり」の植林を体験させてもらってきた話です。


碁盤オタクの私が素材をつくることに

私は、碁石や碁盤を知りたくて、調べたり取材に行ったりしています。
そもそも、植林の体験に行くきっかけは囲碁フリーペーパーココロン第2号で特集した碁盤の取材でした。

そこで、たくさんの木材や完成品の碁盤・将棋盤を見てきました。より深く、素材ふくめて碁盤が大好きになった私は、木の植林に興味をもったのでした。

さて、囲碁と将棋で使われる盤の最高グレード素材は榧(かや)という木材です。しかし、スギやヒノキと違って聞きなじみがない人も多いと思います。

それもそのはず、榧の木は国内では絶滅しそうだからです。
取材時に見学した高知城周辺にもたくさんの木がありましたが、撮影できた榧の木は一本だけです。

高知城&榧の木ツーショット

しかし、一本あるだけでもレアケースとのこと。そんな木の植林プロジェクトを、高知県前川榧碁盤店様が行っています。

興味を持った私は、取材を申しこみ植林体験させていただくことになりました。
前川榧碁盤店様のご厚意に心よりお礼申し上げます。

ちなみに、植林体験は観光プランなどで一般募集されていなかったのですが、特別に体験させていただきました。
私が、囲碁の道具の伝統文化を後世に残したいと話して熱意が伝わったためです。

どんな植林プロジェクト?

さて、どんな植林プロジェクトを前川榧碁盤店様が行っているか紹介します。
「榧の森づくり」という300年後を見すえた植林プロジェクトを行っており、高知県の山々に榧の苗を植えて育てています。
植えた数はなんと約30万本!

しかし、なぜこんなに長いスケジュールなのでしょうか。

この理由について、専務の前川美智子さんは目をキラキラさせて話してくれました。

前川碁盤店専務・前川美智子さん

「榧の木は、300年かけて育てないと碁盤にできる大きさの木材が取れないんです。このように難しい木ですから守って育てられないとほかの人々があきらめていました。
そんな中、会長※が種から苗を育てはじめたんです。」
※前川碁盤店会長・前川穎司さん

植林を体験してきました

私が植林体験させていただいたのは、高知市街地の景色が見わたせる少し高い位置にある山です。

植林用の榧の苗

碁盤店の植林担当者様に、植林がしたくて高知にきたと伝えると、温かく迎え入れてくれました。

植林ご担当者様が植えている様子

将来大きな木になるといいなあ」と植林担当者様が話してくれました。
大きくなってほしいです、と言いながら祈りをこめて植えました。

植林体験の様子

私が植えた苗はちいさな榧の赤ちゃん。てっきり樹齢6か月ほどかと思いきや、種をまいて3年くらいの苗だそう。3年かけてもこんなに小さい

「あなたがおばあさんになってもまだ碁盤はできてないですよ」とのことでした。
碁盤になるまでは気が遠くなるようだけど、榧の木は実がとれます。私がおばあさんになるころには実がなっているかもしれません。

榧の木に実がなることはあまり知られていませんが、柑橘のいい香りがする実がなります。

まだ小さいけど、これから大きくなる実

果肉を使った香水もあります。

しかし、こんなにお世話になって手取り足取り教えてもらいながら植えても、榧の木が大木になるとは限りません
榧の木は、林業のプロフェッショナルでも難しい木材です。

なぜ難しいかというと、成長が遅いことが大きな理由だそうです。さらに、榧の木の植林は動物との戦いだったり、環境に負けてしまったりと大変なことがたくさん。

前川美智子さんいわく、「苗を植えても、土の中でしぼんでしまうことも。すると、勢いがある草に負けて枯れてしまう。年に何回も木の周りを除草しなくてはいけません」とのこと。
前川穎司会長が苦労して築いた榧の森を今後も守っていきたいと語ってくれました。

榧の森の一部です。各地にたくさんの森を作っています。

結論:碁盤の植林は夢と希望がある

初めてのことでドキドキしたけどものすごく楽しかったです。

きっと未来になっても、碁盤・将棋盤は使われていると思います。
子どもたちがおもちゃとして遊んだり、プロがタイトルやイベントで対戦したりするときなど。
300年後、ひょっとしたら榧でつくられた碁盤のなかに「私が植えた榧の木」からつくられたものがあるしれません。

こうして記事にすることで、伝統文化をつないでいく一助になれたらうれしいです。
あたたかく迎え入れてくれた前川榧碁盤店の皆様、ありがとうございました。

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