続きが読みたくて読みたくなかった英語の教科書
BENIOです。今回は記憶に残っている英語の授業の話。
断捨離もかねて本棚を整理していると、思い出深い教科書がでてきました。
はりまくられた付箋、赤ペンの走り書き。
「What Matters Most?医療従事者として最も大切なこと」
英語の教科書です。
後にも先にもあんなに続きが気になる英語の授業はなかったので、思いだしながら書いてみました。
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忘れられない英語の授業
学生のとき、ひょんなことから医療系英語の授業を受けることになりました。
英語の授業といえば、ジョンとエミリーが買いものに行ったり、マイケルと週末に映画の約束をしたりするのがあるある。
ところが、「医療系」はちがったのです。
renal failure(腎不全)、dialysis(透析)、いつどこで使えばいいのか分からない英単語の暗記に追いつくのに精一杯でした。
英語の授業あるある・英語の歌を歌ってハイタッチなんてもちろんありません。
それどころか、毎週教科書の中で患者が亡くなるのです。
家族のために生きたいと言ったあの人も。
手紙をくれたあの人も。
みんな、執筆者であるPaauw先生のもとから去っていきました。
どうかフィクションであってほしいと願ったけれど、実話を元にしてあるようで感情がぐちゃぐちゃ。
この先どうなるのと気になって英単語テストどころじゃありません。
しかし、教室の生徒達はだんだん慣れてきたようで、「今日は何死?」と言いながら淡々とめくっていました。
教科書の最終章。
この回の患者はなんと、Paauw先生のお兄さん。後悔のことばがならんでいました。
いちばん近い自分が病気に早く気づいてあげたかった、若い頃はそりがあわないときもあったけど、など。
そして、Paauw先生はお兄さんとふたりで野球を見に行きます。
こんなに、ページをめくりたくない教科書ははじめてでした。
私にも姉がいて、普段は仲がいいけれど喧嘩することもあります。些細なことでぶつかったり、年が近いからライバル視したり。
でも、一番の味方でかけがえのない姉妹だとあらためて気づかされました。
今度、家族で野球を見に行きます。
プレミアム席じゃないし、そもそも国内なので大谷翔平さんのサインボールをゲットすることもないでしょう。
ごく平凡な日常の1コマだと思います。だけどその日常が、いかに幸せで恵まれていることか。
私はこの英語の授業で、買いものも映画の約束も体験しなかったけれど、大切なことを学べました。
後日談
がんばって難しい単語を覚えて(三日後に忘れて)、教科書の内容で涙をこらえて。
ここまでともに学んだクラスの子達と解散はさびしいと思っていた頃に、英語担当の先生がみんなに言いました。
「最後の授業はやることないし、空き時間にお菓子パーティでもしようか」
それを聞いた私は、嬉々として普段おこづかいで買わないカントリーマアム特大パックを購入。
ウキウキと翌週もっていくと、クラスの子が取りだしたのはお菓子ではなく教科書。
もくもくと自習を始めました。
私はそっとカントリーマアムの入ったエコバッグを隠して、What Matters Mostを開いたのでした。
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英語といえば、囲碁には海外に通じるという強みがあります。
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