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【アイデアマン】ビールを濁りでエモくして課題解決もする

斬新な発想でビールの弱点を解決しつつストーリー性も持たせる。そんなものづくりが高知にありました。

高知カンパーニュブルワリーでは、TOSACOビールという高知の地域資源を活かしたお酒づくりをおこなっています。

今回は、碁盤の素材である榧(カヤ)の木からとれる「実」を使ったビールづくりのお話です。
カヤの実の油分による課題を、あえてにごらせることで活かしています。
さらに、そのにごりは、 “榧の森”の霧情景をイメージさせるエモい演出にもなっています。

そして、 “榧の森”では、300年後に碁盤をつくるための植林を行っています。取材してきたのでこちらもぜひご覧ください。


カヤの実を使ったビールづくりの難しさ

高知カンパーニュブルワリーの代表である瀬戸口信弥さんにインタビューしました。

瀬戸口さん:まず、「かやの森ヘイジーエール」をつくりはじめた最初はすごく悪戦苦闘したんですよね。今まで使ってきた柑橘類の素材とはちょっと違うので。

「かやの森ヘイジーエール」の、 “ヘイジー”は“にごっている”という意味です。ヘイジービールは濁りが特徴です。

なぜ難しかったかというと、カヤの実は香りが強いからです。そのため、油分がしっかりあります。
ビールの泡立ちがなくなるので、油分はビールづくりにとって弱点になります。

しかし、 “榧の森”でにごらせるアイデアを思いつきました。
あの森は、霧がかかっている日がよくあります。「ビールもこの情景を表現したらいいのでは」とひらめきました。
にごりの中にカヤの実の香りを閉じ込めつつ、泡立ち成分をキープできます。

それによって、見た目にも”榧の森”を感じてもらえます。さらに、ビールをつくる上で弱点になっている油分について、ビールをにごらせることで解決できると考えました。

絶景のフォトスポットを教えてもらい撮影しました

「かやの森ヘイジーエール」の受賞実績

高知カンパーニュブルワリーの商品である「かやの森ヘイジーエール」の受賞歴についてですが、「ジャパングレートビアアワーズ2021」金賞をいただきました。

また、「にっぽんの宝物グランプリ」2020年度にて、JAPAN大会(ドリンク部門)で準グランプリを、高知大会(スイーツ・ドリンク部門)でも準グランプリを受賞しています。

地域資源はダイヤの原石と語る瀬戸口信弥さん

弊社は元々、高知のいろいろな素材に光を当てています。それを地域資源と呼ぶのですが、高知でずっと暮らしている方には、それがまるでダイヤの原石のようだということに気づいていないんです。

私は、大阪からの移住者です。だから、工夫によっては光り輝く“高知にしかないもの”に着目しました。その魅力を商品に投影させたり、素材らしさをアピールしたりしています。
そのため、「TOSACO(高知カンパーニュブルワリー)に依頼したら素材を活かしたビールをつくってくれる」という認識が高知県の中で多少は浸透してきたのではないでしょうか。

ビールを持った瀬戸口信弥さん

ちなみに、高知カンパーニュブルワリーのnoteにて、「ビールが苦手な人も飲めるビールづくり」について読めるのでこちらもご覧ください。

まとめ:弱点はアイデア次第で解決できる

カヤの実を使うビールの弱点、油分。あえてにごらせることで解決しつつ、森の情景を想起させる。
そんな斬新なアイデアがあるなんて驚きました。

貴重なお話を聞かせていただいた高知カンパーニュブルワリーの代表・瀬戸口信弥さんにあらためてお礼申し上げます。

読んでいただき、ありがとうございました。

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