加速集客! お店のファンの創り方
集客でお困りのあなたに、“いま、やるべきこと”を伝授します。一時的な繁盛をもたらす方法ではなく、リピーターとなり、ファンとなってもらうための最善の策です。これを実践すれば、行列ができることは間違いなし。
■言葉に踊らされない「顧客満足」
「顧客満足」と言われて久しいですが、あなたは実践していますか。
顧客満足と言うと、どんなオファーがあるのか、どんな得があるのか、などばかりが注目されますが、本来は違います。お客さまが「笑顔」になることです。
「キレイごとだ」「抽象論だ」と思われるかもしれませんが、「笑顔」というのは、お客さまの最大限の満足なのです。驚き、感激、感動…、お客さまの心に響いた結果が、「笑顔」なのです。そこには、オファーも得もないサービスが存在します。「おもてなしの心」です。大切な人をもてなす心があれば、やるべきサービスは自ずと見えてきます。
■競合に勝てるのは、お客さまを思う「心」だけ
デフレを抜け出す気配はなく、いまだ価格競争は続いています。しかし、小さな会社や個人商店が、これをやってはいけません。大手に勝てるわけがありません。
価格競争を尻目に、確固たる自信で成功している会社や商店はたくさんあります。そこには、独自の「顧客満足」があります。お客さまを喜ばせるには? 楽しませるには? 感動させるには? 常にそのことを考え、小さなことを積み重ねています。それを知っているお客さまは、「千円高い程度なら、このお店で買おう」となるのです。これが、差別化です。値引きもおまけもありません。大切なのは、お客さまを思う「心」だけ。
極端に言えば、お客さまを本物の「心」で大切に思うなら、価格は高くても良い、ということです。
■儲かることを考えないと、「満足」は提供できない
社長、店主も人の子。儲かっていなければ、厳しい顔をしているかもしれません。それでは、お客さまを喜ばせることなど考えられません。心に余裕がなければいけないのです。
そのためには、儲かる手立て、利益を出し続ける仕組みを作る必要があります。利益が先か、顧客満足が先か。まるで禅問答のようですが、これを解決しなければ、成功にはつながりません。
では、どうするか。コストをかけず、お客さまに誠心誠意尽くすこと。お客さまにやってあげたいことをたくさん考えてください。そのひとつひとつを一生懸命にやってください。まずは、ファンを作ることです。その結果が、儲かることなのです。儲かれば、その利益をお客さまに還元できます。すると、またファンが増えるのです。
■これから大切になるのは「個客満足」
では、「顧客満足」を本気で考えれば…、となりますが、時代はその先を求めています。単なる「顧客」では括れなくなり、「個客」対応が必要となってきました。お客さまひとりひとり、満足のカタチには違いがあります。そのひとつひとつに応えることが大切です。「それは理想論だ」と思われるでしょうが、限りなく「個客満足」に近づけなければ、勝ち残りは無理です。この個客対応で成功しているお店があります。
・包装紙に、家紋や名刺を印刷してくれる和菓子屋さん
・似顔絵を描いてくれるケーキ屋さん
・古くは、お客さまの足の木型を保管している靴屋さん
このような個客対応ができるかどうかが、小さな会社・商店の将来を左右します。「あの方」に満足していただく、という売り方が、重要なカギを握っています。
■安くてもいらないモノ、高くても欲しいモノ
人はなぜ、モノを買うのでしょうか。必要だから? いえいえ、欲しいからです。
モノが溢れている時代で、必要なモノはすでに持っています。次に来るのは、「欲求」でしかありません。好き、嫌い。かわいい、かわいくない。そんな基準で商品を選んでいます。自分の欲求を満足させてくれるものを欲しいと感じるのです。満足できると「納得」したときに、商品の購入を決定します。
その選択には、高い、安いという基準はありません。いらないと思うものは、安くても絶対に買いません。でも、気に入ったものなら、借金をしてでも買おうとします。これが、今のお客さまなのです。
■その価値に満足するから、ブランド品は売れる
あなたは、ブランド品をお持ちですか。なぜ、買ったのですか。その理由を考えてみましょう。
ブランド品は、厳しい品質管理や高級なイメージづくりによって、高い価格を維持しているからこそ、お客さまは「納得」して購入するのです。「値段が高いから、選ばれた人にしか買えない」という価値を感じている人たちがたくさんいるのです。そんな贅沢品は、ステータスでさえあります。もし、買いやすい価格に下げてしまうと、「価値」を感じなくなり、そのブランドには手を出さなくなります。ブランド品は、高いからこそ、売れるのです。
■心を満たしてくれるから、高くても納得する
大きな旧家をそのまま利用した中華料理屋があります。予約制で、六千円〜八千円の3コースのみ。
玄関を入ると、すぐに案内の女性が出て来て、まるで高級旅館のような接客で、個室に通されます。お茶が出され、コースの確認、飲み物の注文を聞き、静かに丁寧にさがって行きます。窓からは、手入れの行き届いた大きな庭が見渡せ、実に贅沢な気分になります。適度なタイミングで供される料理は、惜しくも八十点。街中で食べれば、三千円〜四千円くらいでしょうか。
しかし、八千円を払う価値があります。個室、雰囲気、接客。そのすべてにおいて、自分が特別な扱いを受けているような感覚になります。たとえ、料理が八十点でも、その他が百点以上なので、納得できるのです。
■「こだわり」に応えてあげれば、商品は売れる
今のお客さまは、すべてに「こだわり」を持っています。食品、雑貨、車、家、遊び…。自分のお気に入り、自分らしさを大切に考え、妥協しません。
ならば、売る側にも「こだわり」がなければ、お客さまは見てくれません。昔のように、みんなが持っているモノには、興味を示しません。他には無いモノ、他とは違う売り方をしているモノを提供しなければいけません。それは、ブランド品のような特別な価値かもしれませんし、中華料理屋のような特別なおもてなしかもしれません。
お客さまの「こだわり」を満足させてあげることが、大切なのです。
■売れないなぁ……そのひとつの理由
若い女性に買ってほしい。と思っているのに、時々買ってくれるのは、中高年女性ばかり。
ここで、あなたは間違いを犯すのです。若い女性にウケるような言葉やデザインで、チラシをバラまいてしまいます。自分が考えているタ−ゲットに来て欲しいのはわかります。でも、扱っている商品を欲しているのは、中高年女性なのです。ならば、ターゲットを変えなければいけません。
「欲しがっている人に売る」これが、商売の基本です。欲しがるような仕掛けを作るのも商売ですが、欲しがる人に売る方が簡単なのです。
■お店の立地によって、客層は変わる
お店のファンを作るためには、本当のターゲットがどんな人なのかを正確に読み取る必要があります。
たとえば、フラワーショップ。
・住宅街なら、フラワーアレンジメント、ガーデニング用として、20〜60代の主婦。
・ビジネス街なら、オフィスのインテリア、歓送迎会用として、それを買いに来る若いOL。
・ネオン街なら、クラブのおねえさんへの下心プレゼント用として、中年男性。
・病院近くなら、お見舞い用として、男女、年齢を問わず。
このように、お店の立地によって、客層が変わります。それに合わせて、花の種類や価格帯も当然変えなければいけません。
■同じようで違うターゲット
ターゲットは主婦だから、昼間の営業でいい。そう思っていませんか。
いまどき、いわゆる主婦という存在はごく少数。正社員やパートで働く主婦の割合は高くなっています。つまり、昼間、買い物をする人は少なくなっているということ。なのに、昼間だけの営業でいいのでしょうか。
スーパーでは、夕方から夜にかけての来店がピークです。ということは、主婦を相手にするお店は、昼間ではなく、夕方からの営業に力を入れるべきなのかもしれません。「専業主婦」ではなく、「仕事を持った主婦」がターゲットなのです。
■ターゲットの間違いは、命取り
つまり、「売れる場所(ターゲットのいるところ)」で「売れる商品(ターゲットが欲するもの)」を「売れる時間(来店しやすいとき)」に売らなければ、お客さまを集めることはできません。
なにを言いたいのかというと、間違ったターゲットに売ろうとしても、無駄なだけだということです。ネオン街で、鉢植えの花は売れませんよね。商売も適材適所なのです。
「売る場所」「売る相手」「売る商品」をもう一度見直してみてください。場所も商品も簡単には変えられませんから、まずはターゲットの見直しです。女性だと思っていても、本当は男性かもしれませんよ。
■地域に奉仕する気持ちを忘れず
「儲かれば、地域のためになにかやりたい」。そう思っている社長、店主は多いと思います。
確かに、儲かっていないのに、奉仕する気にはなりませんよね。でも、逆なんです。地域のためになることを先にやるのです。お金のかかることをする必要はありません。それは、儲かってからのこと。地域の清掃や防犯活動、その他ボランティア、なんでも構いません。役に立つことをやります。
「やっているんだ」と見せるためではなく、社長、店主、従業員の気持ちを育てるためです。「地域を愛する心」を育てるためにするのです。本気で惚れなければ、お役立ち精神は身につきませんから。
■地域の人びとに支持されるために
地域を愛せば、人びとがあなたの会社、お店に、なにを求めているのかがわかります。
生活に必要なものを揃えること? いいえ、それらは、大きな会社、お店に任せます。品揃えや量では勝てませんから。大きな会社、お店には無い商品、サービスを提供することです。商品、売り方、サービス、接客、雰囲気、人間性……。これらのうちのどれかひとつでも徹底することができれば、地域の人びとに認められ、その噂は広まり、会社、お店の存在価値が保証されます。
ひとつのことができれば、また次のことへと、じっくりと進んでいきます。
■地域、人びとへの心配りが大切
「馴染み」という言葉を考えてみてください。会社、お店にとっては「お馴染みさん」です。つまり、「常連」「固定客」のこと。会社、お店に「馴染んでいる」という言い方もできます。では、どうして馴染んでいるのか。
それは、自分たちに親切にしてくれ、地域にとけ込んでいるからです。たとえば、雨や雪に濡れて入って来たお客さまに、乾いたタオルや温風機を用意すれば、その心配りに感謝していただけます。そんなとき、お客さまは親しみを感じ、馴染んでいただけるのです。また、地域のさまざまな活動に参加していれば、「顔馴染み」にもなり、地域に受け入れてもらえます。
地域、人びとのことをつねに考えていることが大切なのです。
■いまこそ生きる、ご用聞き精神
「なにかご用はございませんか」。昔の商売では当たり前の方法でした。
ご用聞きという存在は、いろんな頼まれごとやお手伝いもして、みんなに愛されていました。心が失われた現代だからこそ、このご用聞きが生きてくるのです。注文を取りに行け、と言っているのではありません。売ったら終わり、ではなく、アフターサービス、フォローアップで、ご用聞き精神を発揮します。初めてのお客さまには、顧客カードを作ったり、売ったモノの不備はないかと電話をしたり、ときにはご機嫌伺いをしたりすることが大切なのです。
誠心誠意尽くすことで、地域、人びとに愛される存在へとなっていくのです。
■業種『らしい』お店に、お客さまは安心する
カフェのようなラーメン屋、バーのようなお好み焼き屋、ブティックのような米屋……。
誰が行きたいと思うでしょうか? 話題にはなっても、リピーターはいません。でも、実際にこういうお店は存在します。店主が、本や雑誌、はたまた、どこかのお店を気に入って、外観、内装を「らしくない」お店にしてしまったのです。見ためは美しいかもしれません。しかし、お客さまは「なんだか入りづらい」のです。違和感。つまり、落ち着かないのです。お店には、業種によって、『らしさ』があります。お洒落なラーメン屋は、マズそうです。バーでは、ワイワイ騒げません。ブティックの米屋は、高そうです。
入りやすい外観、内装。すなわち『らしさ』が、お客さまを安心させるのです。
■店主、店員にも、『らしさ』が必要
寿司屋の大将が、洋食シェフの格好をしていては、変ですよね。
やはり、粋な鉢巻き姿をしていて欲しいものです。ブティックの店主が、ダサいファッションでは……。宝飾店なら、信頼できる「見ため」。しかし、個人商店主には、これを忘れている方がたくさんいます。接客にしてもそうです。お寿司屋に入ったのに、暗い声で「いらっしゃいませ〜」と言われたら、それだけで食欲がなくなります。明るく元気な仏壇屋では、困りますよね。やはり、『それらしさ』が必要なのです。
ときには、期待を裏切る「驚き」は効果的なのですが、まずは、第一印象で敬遠されるような店づくりは、やめた方がいいでしょう。
■奇をてらうと、長続きしない
デザイナーズレストラン、マンションが、一時ブームとなりました。有名デザイナーが手がけた、実にお洒落な空間に、流行に敏感な人たちがたくさん押し寄せました。
しかし、所詮流行。すぐに飽きられてしまい、消えていきました。マンションは、売ってしまえば終わりかもしれませんが、レストランはそうはいきません。長く商売を続けられなければ、いくらお金をかけたって、失敗なのです。そんなお店は、見ためばかりを重視して、お客さまの「安心感」、つまり『らしさ』を忘れていたのです。
デザイナーの独りよがり、オーナーの自己満足でしかなかったのです。
■『らしさ』の中で、差別化を図る
『らしさ』を追求すると、他店と同じようなお店になるのでは?
そこで大切なのが、「こだわり」です。あなたにも「理想のお店」があるはずです。どれだけ理想に近づくことができるのか、を追求しているかどうか。「まぁ、いいか」「こんなものだろう」という、中途半端な気持ちで店づくりを考えている人が、いかに多いことか。暖簾、看板はもとより、インテリア、小物にいたるまで、妥協せずに、絶えず「こだわり」を持ち続けること。これが、他店との差別化になるのです。
業種『らしさ』の中で、「こだわり」を追求していくと、それが、あなたの『お店らしさ』へと変わっていくのです。
■消費者心理を知ることから
あんなお店にしたい。こんな人に来てほしい。ビジョンを持つことは大切ですが、お客さまのことをもっと勉強しなければいけません。
ビジョンが時代に合っていないかもしれません。ターゲットが間違っているかも。長年営んでいる商店主ほど、「経験でわかる」と言って、勉強を怠ります。その固定観念を捨てなければ、これからを生き抜くことは不可能です。
時代はめまぐるしく移り変わり、人びとの価値観もすぐに変化します。その中で、お店のあるべき姿、めざす方向をしっかりとつかむためには、消費者であるお客さまの心理を読み取る勉強が不可欠です。
■なにをどう売りたいのかを明確に
「コンセプトショップ」という言葉を聞いたことはありませんか。ターゲットも品揃えも、伝えたいことも、ハッキリとした主張のあるお店。つまり、テーマを持ったお店のことです。企業がメッセージを流すためのお店、とも言えます。
この考え方は、個人商店でも必要なことです。いま、若い女性の間でこんなことが流行っているから、品揃えはこうだ。では、ダメなのです。まったく新しいスタイルを提案するくらいの気持ちで、消費者心理の分析から得たデータをもとに、『この商品を、こう使ってほしい』という、明確なイメージで訴えることが大切です。
私のお店は「こうだ!」という主張が必要なのです。
■一点集中で売り込む
商店主に限らず、大手企業でもやってしまうことですが、ターゲットが曖昧なために、誰からも支持されないということがあります。
「欲」です。できることなら、いろんな人に買ってもらいたい。これが、失敗のもとなのです。焦点がぼやけてしまい、誰に、なにを言いたいのかが、伝わらなくなるのです。お客さまにとっては、「私には関係ないわ」となります。
『あの人に売り込む』というくらいに、ひとりをイメージして訴求することが大切です。すると、不思議なことに、ターゲット以外からも注目されるようになるのです。
■年代で消費者を分類しない
中高年だから、若いから、などという時代ではありません。人それぞれに、好みのモノ、スタイルがあり、年代で分けると、とんでもない間違いを犯します。
30〜40代の女性を見ると、年相応という言葉では表せないファッションをしていることがあります。ティーン向け雑誌で見るような「かわいい格好」で歩いているのをよく見かけます。はたまた、小中学生向けの雑誌を見ると、高校生以上が着るような服や化粧品まで紹介されており、おまけに、それらの商品を「通販」で買えるのです。小学生だからという意識で見ていると、まったく時代遅れな品揃えをしてしまいます。驚くことに、そんな雑誌を見て、真似するお母さんもいたりします。
このように、年代で消費者をくくることなど、できないのです。価値観、スタイルを勉強することが必要な時代だと言えます。
■商品を売る時代は終わった
「こんなものは、見たことがない」という新商品が出てくる時代ではありません。開発することも探し出すことも難しくなりました。モノが溢れていますから。
では、お客さまはなにを望んでいるのでしょうか。商品は、どこのお店も同じようなものばかりです。それほど差はありません。ならば、どうして、売れるお店と売れないお店があるのでしょう。お客さまが望んでいるのは、商品ではない、ということです。
『付加価値』ここに、秘密があります。商品そのものの価値ではなく、そこに付加された、イメージやサービス、売り方によって、差がついてしまうのです。
■カギを握るのは「人」
その商品を買ったお客さまの生活がどう変わるのか。買うことによるメリットはなにか。これらを強く訴えることが、『付加価値』を高めることにつながるのです。
訴えるのは、店主、店員です。つまり、「人」が一番肝心なのです。店主、店員が、ウマく伝えることができるかどうかにかかってきます。伝えることができなければ、他店には勝てません。基本の商品力には差がありませんから。
そのためには、商品の熟知はもちろんのこと、話術、心理学も勉強する必要があります。と言うと、難しいですね。話術は「人との接し方」、心理学は「人を想う心」と言い換えれば、ちょっと気が楽かもしれません。こうしたことは、経験からも生まれますが、大切なのは「気配り」です。
■気配りのできる人が、「カリスマ」になれる
カリスマ美容師、カリスマ店員、カリスマ教師……。そんな人たちは、特別な技術を持った人間のように思われますが、実は違います。
技術を持った人は、他にもたくさんいます。しかし、カリスマが注目されるのには、別の理由があります。それは、人間性そのものです。気配りのできる、繊細な人たちなのです。
お客さまを気持ちよくさせる。お客さまが得をしたように感じさせる。子どもたちをやる気にさせる。そのための気配りができる人なのです。どういう言葉を遣い、どういう質問をして、どう答えれば、お客さまに喜んでいただけるのかを知っています。それが、「カリスマ」なのです。
■「カリスマ」には、宗教的引力がある
宗教。それは、たくさんの人びとの心のよりどころです。絶対的信頼感を持ち、疑うことをしません。
「カリスマ」と呼ばれる人たちは、それと似たところがあります。その人が言うことは、すべて正しく、その人が奨めるものは、なんでも買ってしまう。信頼しているので、お客さまは「満足」します。こう書くと、怪しい感じがしますが、「カリスマ」には、それほどの「力」があるということです。
商売をする上では、「カリスマ」をめざすべきです。つまり、「商品知識」「人との接し方」「人を想う心」に優れた人間になれ、ということです。「カリスマ」には、たくさんの信者が集まってきます。
■わがままな人は、お客さまではない
お客さまの中には、わがままな人がいるものです。横柄な態度で、無理難題を言います。「買ってやるんだから…」と。あなたは、我慢しているのですか?「お客さまは大切にしなくちゃ」と思っているのでは?
お客さまは、大切です。しかし、わがままな人は、お客さまではありません。平等である人間同士で、そんな理不尽なことを我慢することはありません。「それでは、商売にならない」と思われるかもしれませんが、そんな人は、お店を愛してくれてはいません。いずれは、来なくなります。
品のある、お店を愛してくださるお客さまだけを相手にしましょう。
■絶対に、わがままは聞かないこと
食料品を扱うお店なのに、ペットを連れて入ろうとする人がいます。入店をお断りすると、「ペットじゃありません。家族です」これは、明らかにわがままです。断固、入店を拒否しましょう。二度と来なくなるかもしれませんが、それは仕方のないこと。他のお客さまの迷惑になりますから。
車で居酒屋に来て、お酒を注文する人がいます。ほとんどのお店が、見て見ぬ振り。これは、絶対にいけません。人の命がかかっています。犯罪に手を貸すのですか。「大丈夫!責任は自分で取るから」という、わがままは許されません。お客さまを送迎したり、運転代行を頼めるシステムを作っておくことが必要です。
一部の人のわがままを聞かないことが、他のお客さまからの信頼につながります。
■「○○だったら、いいのに」を聞き逃さない
百貨店やスーパーに、小さなパックの惣菜を見かけるようになりました。これは、単身者や高齢者の「少しでいいのに」という、ご要望を聞き入れたためです。
高齢者の「たくさんのお米は、なかなか食べきれない」という、ご要望を聞き、1kg、2kg単位での配達をしている米屋があります。また、その都度少量を精米して、販売してくれる米屋も。これも「美味しいお米が食べたい」という、お客さまのご要望です。
ご要望を「なんて面倒なことを」と、お客さまのわがままだと思っている店主がいます。商売人の資格はありません。わがままとご要望を、きちんと聞き分けることが大切なのです。
■商売人の心意気を思い出せ
昔の八百屋、肉屋、魚屋などには、商売人の心意気がありました。
お客さまが「これ、半分だけでいいんだけど」と言うと、「あいよ、半分だね」と言って、快く包んでくれました。「○○はないの?」と聞くと、「悪いねぇ、今度仕入れとくよ」と謝り、すぐに仕入れて、そのお客さまが来たときには「奥さん、○○入ったよ」と、教えてくれます。つねに、こんなやりとりがあり、要望を聞いてくれていました。その代わり、「奥さん、○○安くしとくから、買わないかい」ということもあり、いつも要望を聞いてもらっているお客さまとしては、「買ってあげよう」となるのです。
これが、お客さまとお店の本来あるべき姿なのです。こんなやりとりをしろ、と言っているわけではありません。お客さまの「ひとこと」をしっかりと聞いてほしいのです。
■不況が不況を呼ぶ
売れないなぁ。不景気だ。暇だぁ。そう思っていると、本当にそうなります。いまの世の中と同じ。不況だ、不況だと誰かが言っていると、みんながそう思ってしまい、「買うのをやめよう」「お金を使わないでおこう」となり、悪循環で、さらに不況となります。
誰かが、「景気がよくなってきたぞ」と言えば、「そうかもしれない」となり、やがて、みんながお金を遣うようになるのです。人の心理とは、そんなものです。まわりに流されやすいのです。ならば、誰かが仕掛ければいいのです。景気のいいフリをすればいいのです。
会社やお店でも、「売れないなぁ」をやめて、「儲かってるよ!」と言いましょう。すると、まわりが動き出します。
■繁盛を演出して、繁盛へと導く
ディスコ全盛の頃。あるお店では、店内は空いているのに、わざと入口にお客さまを待たせ、「人気がある」というように、見せていました。ラーメンチェーンでは、新規オープンのときには、行列ができるように、「さくら」のアルバイトを雇っていました。また、通販会社の電話受付のBGMには、オペレーターとお客さまとの会話を想定した声を流していました。
あなたは、これらをどう捉えますか。「それじゃ、詐欺じゃないか」と思いますか。しかし、そのお店が、本当に繁盛するほどの、優れた商品、サービスを提供しているとしたら……。
これは、優れた演出法だとは言えませんか。「本物」を提供しているなら、多少の「演出」は許されるのではないかと思います。「人気があるんだ」ということで、お客さまは『安心』するのです。
■暇そうなお店には、入りたくない
あなたが街を歩いているとき、ふと気になったお店があるとします。しかし、店頭には、暇そうな店員が、お店の外をボーッと眺めて、立っています。あなたは、入りますか。
入りませんよね。いや、入れませんよね。店員が近づいてきて、あれこれ話しかけられるかもしれませんし、商品のひとつひとつを説明されるかもしれません。買わされるかも。そう思うと、絶対に入れないのが、普通の人間です。それでも、こんなお店はたくさんあります。お客さまの「入りやすさ」など、まったく考えていません。お客さまに隙があれば、「売り込んでやろう」という感じさえします。
暇そうな店員が、お客さまにとって、赤信号になっているのです。これは、近づいてはいけないお店だ、と。
■暇だったら、忙しいフリをする
入りやすいお店とは、「店員が必要以上に接客をしない」「まわりの眼を気にせず、じっくり商品を見ることができる」「店内の様子が外からわかる」などがめやすとなります。つまり、自分のペースで、ゆっくり買い物が楽しめる空間があるかどうかです。
そのための大切な要素として、店員の存在があります。声をかけられなくても、じっと立っていられると、気になります。見られているようで。
では、どうするのか。暇そうにしなければいいのです。忙しいフリをします。商品の整理をしたり、レジまわりで別の仕事をしたり、お客さまにとって、気にならない存在となればいいのです。これもひとつの演出です。お客さまが購入を決定したときに、声をかけやすい場所にいればいいのです。
行列のさくらも、BGMも、忙しいフリも、お客さまの『安心』につながることです。
■クレームのないお店は危険
「うちはあまりクレームがないから……」そう思って、安心しているあなた。非常に危険です。たえず、お客さまの気持ちになって、商品のこと、サービスのことを考えている自信があるなら、なにも言いません。しかし、儲かっていますか?儲かっていないなら、クレームがない理由を考えてみましょう。
クレームは、お店に対するお客さまの「期待」の表れです。「期待」があったからこそ、少しでも不満があれば、クレームをつけるのです。クレームをつけないお客さまは、あなたのお店を「どうでもいい存在」だと思っているのです。もう二度と行かない。それで、終わりです。また、もうひとつの理由として、ご近所だからクレームをつけにくい、という場合もあります。言えないだけです。これもお店を利用しなくなる原因となります。
つまり、クレームをつけやすいお店になることです。もちろん、クレームの出ないようなお店になることが理想ですが。
■謝罪することから始まる
では、クレームをつけやすいお店とは?それは、誠意を持って対処してくれるお店です。
まず、クレームが出たら、すぐに謝罪すること。たとえ、お客さま側に問題があったとしても、お詫びの言葉を口にすることです。お客さまは、それを待っています。謝罪することで、お客さまは自分の主張が通ったと、ひと安心するのです。それから、詳しいことをお聞きします。そこでは、決して反論しないこと。お客さまの怒りを増幅することになります。
とにかく謝り続けることです。すると、序々にお客さまの気持ちも和らぎ、穏やかな口調へと変わっていきます。そこで初めて、お店としての対応をお伝えするのです。ここが、スタートラインです。お客さまを失うか。ファンになっていただくか。
■クレームはデータ化すると、財産になる
店員にクレームをつけても、店主に伝わらない。同じ間違いを繰り返す。これは、お客さまからのクレーム(声)を記録していないからです。
どんなお客さまから、どんなクレームがあり、どんな対処をしたかをデータとして残しておき、それを、お店に関係する全員が知っておくことが大切です。お客さまに対応した店員ひとりが知っているだけでは、別の店員が、また同じ間違いをしてしまうこともあります。また、店員が店主に報告していなければ、お客さまに謝ることさえできずに、お客さまからの信頼をも失ってしまいます。
すべてデータ化することです。お店の全員が、同じ意識を持つためにも、必ずやりましょう。アルバイトやパートだから知らなくていい、というのは、お店の身勝手です。お客さまにとっては、みんなお店の人です。
■言いたいことをすべて話していただく
クレームをお聞きするときに大切なことは、お客さまの言いたいことをすべて話していただくことです。追究するように、根ほり葉ほり聞き出すのではなく、相づちを打ち、しっかりとお聞きすることです。
人は悩みがあると、家族や友だちに聞いてもらうだけで、スッキリすることがあります。クレームも、ほとんどの場合、これと同じです。お客さまは、言いたいことをすべて言えば、落ち着くのです。熱心に聞いてもらえれば、それだけでも納得できるのです。そこから先は、「お客さまの満足」を考えて、対処すること。
ここで、お店のファンが誕生します。「このお店なら、なにかあってもきちんと対処してくれる」そんな安心感、信頼感で、またご利用いただけます。
■「クレンリネス」の意味を理解する
この言葉さえ知らない経営者がたくさんいますが、勉強不足と言うしかありません。これを知らずして、繁盛などあり得ません。「お店を隅々までピカピカに磨き上げる」という意味の言葉で、簡単に言うと、掃除です。
自宅に来客があるときは、まず何をしますか。部屋を片づけたり、掃除したり、玄関を飾ったりしませんか。少なくとも、客から見える場所だけでも、気を遣うはずです。これと同じことをお店でもやっているでしょうか。
掃除は、お店を運営する上で、大切な要素です。繁盛店と不振店との差は、こんなところにも表れます。繁盛しているお店は、いつも綺麗に掃除されており、お客さまが気持ちよく過ごすことができます。ダメなお店は、決まって手を抜いています。
「隅々まで磨き上げる」というのは、見ためだけの問題ではなく、掃除をすることによって、お客さまを気持ちよくお迎えするという、お店の「姿勢」を磨き上げることなのです。
■掃除の大切さを知っているから、老舗になれる
建物が古くなっていても、手入れが行き届いており、清潔感があり、そこにいるだけでも、気持ちのいい空間。それが、老舗です。
「毎日、掃除をする」という基本を徹底しているからこそ、できることです。お客さまを「おもてなし」するためにやっていることです。『心』があるからです。
商品がいい。サービスがいい。ただそれだけで、老舗になれたわけではありません。お客さまを想う『心』が掃除をさせ、それが結果的に、お店を大切にすることにつながっているのです。
■掃除の大切さを従業員に語る
「掃除も仕事」という程度の意識では、お店は綺麗にはなりません。特に従業員には、掃除の大切さをキチンとわかってもらわなければいけません。
それを理解していないと、「イヤイヤ仕事」になり、適当に済ませてしまいます。お店が汚れていたら、お客さまはどう感じるのか。綺麗にすることで、何が変わるのか。などをしっかりと話してあげることが大切です。
「おもてなしの心」を知った従業員は、何も言わなくても、自ら積極的に掃除に取り組んでくれることでしょう。
■お店の汚れは、経営者の『心』を表している
テーブルや椅子が汚れている。油汚れのシミもある。不要なものが積み上げられている。床には、ゴミや料理のかけらが落ちている。窓ガラスが汚れて曇って、よく見えない。コップには脂がついている。
そんな飲食店に入りたいと思いますか。このことに、経営者は気づいていないのです。自分のお店を大切にしていない、とも言えます。大切なはずのお店を汚れたままで放っておくような経営者が、お客さまを大切にすることなど、できるはずはありません。そんなお店は、商品・サービスもレベルが低いものです。潰れるしかありません。
お店の汚れは、経営者の『心』です。『心』の汚れた人のお店に、お客さまはやって来ません。
■経営でもっとも重要なのがコンセプト
『ストア・コンセプト』は、お店を経営する上で、もっとも重要なことです。これがなければ、経営を続けることは不可能だと言ってもいいくらいです。
『ストア・コンセプト』を簡単に言うと、「経営理念&店の方向性&枠組み」のことです。“私は、こんな商品を、こんなお店で、こんな売り方で、お客さまにこんな役立ち方をしたい”という、基本的かつもっとも重要なポイントです。お店づくりで、一番時間をかけなければいけないところです。
あなたのお店は、『ストア・コンセプト』をハッキリと言うことができますか。言えないなら、すぐに考え直すことが必要ですし、言えたとしても、単に夢を語るだけでは、自己満足でしかなく、将来性はありません。夢を具現化するには、裏づけが必要なのです。裏づけがあって初めて、コンセプトだと言えるのです。
■お店を取り巻く環境を把握する
では、裏づけとはなんでしょうか。それは、「自店の置かれた環境を把握する」ということです。売りたい商品、売る場所、対象とする人、生活水準、文化レベルにいたるまで、お店を取り巻く環境をきめ細かく把握しておくことが大切です。
商品がいいから、品揃えがいいから、お洒落なお店だから……だけでは、売れません。“売れる”ための環境を知ることです。
そのためには、役所や商工会議所などで、人口や世帯数、世代構成、世帯年収などを調べることも必要です。また、商業関連データとして、業種別店舗数、売り場面積、通行量、商圏なども、知ることができます。
さらに、自分の足で歩き、商圏の人びとの動きを観察することも忘れてはいけません。地域の広報誌やミニコミ誌からも情報はつかめます。
こうして、細かなデータを収集、分析し、環境を把握します。これをやるかやらないかで、コンセプトがまったく違うものになります。
■コンセプトづくりは、仮説と検証の繰り返し
お店というのは、本来地域に密着した存在であるべきです。地域の人びとに喜んでいただいてこそ、繁盛することができます。お店を取り巻く環境を知ることで、『ストア・コンセプト』に必要な項目をひとつひとつ埋めていくことができます。どうすれば、人びとのお役に立てるのかがわかります。
大切なのは、収集したデータに振り回されることなく、「これでいいのか」と、何度も仮説と検証を繰り返すことです。コンセプトが見えてくると、人間の心理として、のめり込んでしまい、冷静さを失います。これは、絶対にいい!と、なってしまいます。そうならないためにも、あらゆる面から見直し、欠点を探し出します。
手間と時間はかかりますが、これをしないと、なにも決まりません。明確なコンセプトがないまま事を進めてしまうと、特徴、個性のない、イメージもバラバラなお店になってしまいます。すると、お客さまも来てくれません、逆に言えば、コンセプトさえしっかりしていれば、やるべきことはすぐにわかる、ということです。
コンセプトなくして、繁盛なし。
■ネガティブ思考からは、何も生まれない
売れないお店の店主は、いつも言い訳をしています。「うちの店は、立地が悪いからなぁ」「もともと人通りが少ないから」「駅前だったら、なんとかなるんだけどなぁ」「若い人が通らないよ」
こんな言葉を口にしているうちは、繁盛などあり得ません。努力もしないで、環境のせいにしています。裏返せば、努力をしない自分に言い訳をしていることと同じです。前向きにものごとを考えていません。
立地が悪いなら、中身で勝負すればいい。人通りが少ないなら、呼び込めばいい。駅前は、人通りが多い代わりに、競争も激しいことを忘れています。若い人がいないというのなら、中高年を対象とすればいいのです。
すべて考え方次第です。ポジティブ思考でいきましょう。前向きな姿勢が、結果を生むのです。
■立地に合った商売の方法を
立地をよく見直してください。
・周辺の人口・年齢層・所得額
・お店前の人通り・年齢層・時間帯
・周辺商店の業種・業態・競合
これらを見直すことで、いままで見えなかった「戦略」が見えてくるはずです。
たとえば、昼間のお客さまを相手にしている、駅前のお店。実際は、電車通勤のサラリーマンが多い午後8〜9時頃の方が、お客さまをつかみやすいかもしれません。だとすると、お店の営業時間を変更した方が良いということになります。また、品揃えもターゲットに合わせる必要があります。これによって、かなりの売り上げアップが図れるかもしれません。
さらに、サラリーマンが多いことがわかれば、早朝の出勤時間帯にニーズ、ウォンツがあるかもしれません。すると、営業時間は、電車の始発から終電までを検討する必要があります。加えて、通勤時間は慌ただしく、時計を気にしつつお店を利用しますので、スピーディな対応や商品、値段がすぐにわかるディスプレイも必要です。また、外からでも混み具合がわかるようなお店でなければいけません。
このように、これまで相手にしていなかった、しかし、目の前にいたお客さまをつかむことを考えれば、わざわざ遠くからのお客さまを誘い込む必要はなくなります。
■お客さまの特長、行動は、環境によって違う
立地条件を愚痴っていても、仕方ありません。過疎の山奥でもない限り、周辺に人はいます。立地条件を見直すことで、ターゲットや営業方針が変わるかもしれません。すると、繁盛の可能性は高くなります。
駅前商店街、住宅街、オフィス街、学生街、郊外の幹線沿いなど、それぞれに、お客さまの特長、行動が違いますので、よく観察してください。
※見直しのヒント
駅前商店街:時間帯・すばやい対応・代わりに何かをしてくれる・待ち合わせ
住宅街:口コミ・ゆったりとした昼さがり・駐車場・ケータリング
オフィス街:昼休み・テイクアウト・ケータリング・アフターファイブ
学生街:安い・便利・流行・たまり場・仲間
郊外:看板・外観・駐車場・ドライブスルー・お持ち帰り・家族
これらのキーワードをヒントに、ご自身で考えてみてください。お店を見直し、あなた自身を見直し、新たなスタートとしてください。
■ターゲットと営業時間のズレを確認する
商品やサービスには自信がある。でも、お客さまが来てくれない。ということは、お店の立地条件や営業時間に問題があるのかもしれません。お店の場所を移動することは困難ですから、まずは営業時間を見直すことを考えてみましょう。
あなたのお店の営業時間とターゲットはマッチングしていますか? 主婦が相手だから昼間の営業でいいんだ、とは考えていませんか? 今の時代に、いわゆる主婦という存在はごく少数です。正社員やパートで働く主婦の割合は、かなり高いのです。ライフスタイルが変わり、「生活の時間割」が変化しているということを認識しなければいけません。
スーパーへ行くとよくわかりますが、夕方から夜にかけてが来店のピークになっています。ということは、主婦を相手にしたお店は、昼間ではなく、夕方から夜の営業に力を入れるべきなのです。18時に閉店しているお店なら、20時21時まで営業時間を延長するのです。売り手の都合で決めた時間では、CS(顧客満足)経営はできません。お客さまが来店しやすい時間帯を営業時間にすることが大切です。
■深夜に動き出す消費者を知る
いま、24時間営業のスーパーが増えています。しかも、売り上げを伸ばしています。これは、ライフスタイルの変化で、夜、外出する人が増えているからです。22時〜2時くらいの来店が結構あると言います。目的があって行く人ももちろん多いのですが、「暇つぶし」の人も多いのです。“縁日の冷やかし”と同じです。
理髪店にも、こういう傾向が見られます。深夜まで営業して、会社帰りのサラリーマンに支持されているお店があります。これまで、散髪といえば、休みの日に行かざるを得ないというのが、サラリーマンでした。しかも、土日は混雑して、待ち時間も長く、そのために1日を潰してしまっていました。休みの日は、うちでのんびりしたい、遊びに行きたい。そう思っているサラリーマンが多いのに、理髪店は昔からのスタイルで営業し続けています。組合に入っているから、月曜日は休みで、営業時間もほぼ同じ。お客さまのことなどなにも考えていません。いまだにこんなお店が多いのです。そんな組合は、やめてしまえばいいのです。
お客さまのことを考えれば、夜遅くまでの営業は当然の流れです。売り上げ向上のチャンスなのです。
■お客さまのご要望から、営業時間がわかる
他にも、営業時間を変えれば来店促進できるお店はたくさんありそうです。
たとえば、薬屋さん。深夜開いていれば、どれだけ助かることか。それを望む声が多いから、コンビニで薬を置くようになったのです。どうして薬屋さんは、このチャンスを逃すのでしょうか。ハッキリと需要が見えているのに。
化粧品店だって、仕事帰りの女性を狙えばいいのです。化粧品を買い忘れたからといって、次の休日までは待てないのです。女性にとっては、大変な問題です。
雑貨店、ギフトショップ、花屋さんだって、考えられます。“プレゼントを買い忘れた”“買う時間がなかった”という人は結構います。特に花屋さんは、若い男性をターゲットに考えれば、深夜営業は成り立ちます。プレゼントを買えなくても、“花をあげる”という手があります。
このように、営業時間をずらしたり、延長したりすることで、お客さま本位のお店になることができるのです。また、客層を広げることもできます。あなたのお店の営業時間をよ〜く考え直してみてください。
■商品ではなく、商売のやり方を知っていただく
お店を繁盛させるマーケティング手法で、もっとも効果的なのは、見込客の心の中に、どんなお店なのかを端的にわかってもらえる、言葉やイメージを植えつけることです。
企業の例で言うと、コカコーラは『コーク』と呼ぶことで、シェアを広げました。日本では、コマーシャルの『スカッとさわやか』という言葉で、市場を拡大しました。最近、復活させましたね。
ヤマト運輸は、『クロネコヤマトの宅急便』。モノを送るときには、宅配便と言わずに、宅急便と言ってしまいますよね。
では、ご近所のお店をイメージしてみてください。
愛想の良いお店、いつもおまけをしてくれるお店、品揃えの良いお店、新商品がすぐに入るお店、激安のお店、親切なお店、礼儀正しいお店……。扱っている商品そのものではなく、
「商売のやり方・姿勢」などが特長になっているとは思いませんか。ここが、ポイントなのです。
モノが溢れている現在では、どこのお店に行っても、置いてある商品にあまり差はありません。売り方・見せ方に違いがあり、それによって、繁盛するかどうかも決まっています。
■店名より、イメージで憶えていただく
お店づくりは、コンセプトが重要です。それは、お客さまに来ていただくための導入部であり、ファンづくりにおいても導入部なのです。将来にわたって、「お馴染みさん」でいていただくためには、買うモノがなくても来ていただけるような「○○のお店」イメージが必要なのです。親しみの持てる、あるいは、いつも楽しいお店だと思えるようなイメージです。
極端なことを言えば、「面白いおっちゃんのお店」でもいいのです。これがコンセプトになっていて、お客さまは忘れません。おっちゃんのお馴染みさんができるのです。もちろん、面白いだけではいけません。お店や商品を充実させた上でのことですが。
店名を知られなくても、この「○○のお店」が知られれば、固定客はできます。
■「○○のお店」=コンセプト
「○○のお店」イメージ=コンセプトの無いお店は、繁盛しません。すなわち、主張の無いお店です。何を売っているお店なのか。誰に売っているお店なのか。どのように売っているお店なのか。お店の提案はあるのか。つまり、「あのお店は、こんなお店だ」と、お客さまが明確に表現できるかどうかです。
すぐにイメージが浮かばないお店は、やがて潰れる運命にあります。もし、あなたのお店がそうならば、いますぐ主張のあるお店に変身させましょう。コンセプトを創りましょう。
「○○のお店」イメージをお客さまの心に植えつけることができるかどうかが、成功のカギを握ります。
■問屋とのマンネリな関係を見直す
商品をどう見せるか。どう売るか。社長、店主は、いつもそう考えています。当然なのですが、その前に『仕入れ』の重要性を見過ごしています。
「いつも同じ問屋の方が安心だから」「流行ると問屋に言われたから」「安く仕入れられるから」と、『仕入れ』を大切に考えていません。
「まずは、商品ありき」ということは、頭ではわかっていても、無意識に手を抜いてしまうのです。面倒だし、大丈夫だろう、という気持ちが残っています。「なあなあ」でやっていると、問屋も甘えが出てきて、手を抜いた対応をするかもしれません。問屋との関係を見直すべきです。
■「売るタイミング」をはずさない仕入れ方をする
大切なのは、商品の品質であるのはもちろんですが、流行や季節などの「売るタイミング」も重要だということを忘れてはいけません。タイミングをはずすと、いくら良い商品を仕入れても、まったく売れないことがあります。
「売れる時期」を予測して、それに合わせた仕入れ発注をしなければなりません。売り始めの頃と最盛期では、発注数も違うし、品番のバラエティも大幅に変えておく必要があります。
上手に売り切るためには、商品ごとに、「売り始め」「最盛期」「処分期」を設定しておくことです。早い段階から、仕入れ、販売のスケジュールを決めておき、それに沿った戦略を立てます。繁盛している会社、お店は、これができています。
■売れる『仕入れ』のポイント
・どのような客層がメインターゲットなのかを明確にし、また、それに対応しているか。
・つねに売り場に出て、売れ行きや消費者ウォンツを把握しているか。
・雑誌などの情報だけでなく、街を歩き、直接消費者の動向を見ているか。
・百貨店、スーパー、同業者、そして問屋などをこまめにまわり、商品情報を集めているか。
・問屋は、商品特性に合わせて、複数と契約しているか。
・問屋ごとの売れ行きを分析したり、新しい問屋を探したり、つねに選別を行なっているか。
・仕入れは、楽な方法でやってはいけない。いつも足を運ぶこと。
売れる商品を読み取る眼。売れる時期を考えた計画性のある仕入れ。これを忘れずに。『上手に仕入れた商品は、売れたも同然』とは、商売人の格言です。
■品揃えが悪いと、選べない
“お買い物をする”という行為は、複数の商品の中から、“選ぶ”ということと同じです。商品の品質と価格のバランスを考え、自分の価値基準に合ったモノを、たくさんの商品の中から選び出すということです。
ビジネス用のアタッシュケースが欲しいと思ったときに、お店に行ったとします。すぐに、“あった、これを買おう!”とはなりませんよね。メーカー、大きさ、形など、使い勝手を考え、悩んだ末に買うはずです。つまり、お買い物は、選ぶことから始まるのです。
食料品では、いつも買う商品は決まっているように思えますが、最初は選んだはずです。新商品が出たから買ってみよう、と試してみて、美味しかったので、それ以来買い続けているだけのことです。
お目当てのモノを探し出したが、どうも気に入らない。もっと大きい方がいい、違う色がいい、もっと安いものを、カタチが少し……と感じたとします。それは、品揃えが悪いということです。“選べない”のです。選べなければ、お客さまは買うことを「決定」できません。また、選べないというのは、お買い物の楽しさもないのです。楽しくないところに、お客さまは行きません。
■売れ筋を拡大し、死に筋を排除
限られた面積で、豊富な品揃えはできません。仕入れの費用もかさみ、ムダな商品も出てくるかもしれません。そこで、効果的な方法をご紹介します。
まず、お店で一番売れている商品を探り、その商品にもっと力を入れるのです。売り場を1.2倍に、在庫を1.5倍にします。さらに、その商品の品揃えを、地域の競合と比べて勝るようにします。そうすれば、この商品が安定した利益を生み出してくれる、というものです。
また、『2:8の法則』と言われるように、全体の2割の商品が、売り上げの8割を稼ぎ、残り8割の商品が、残り2割を稼ぎます。すなわち、2割の商品にもっと力を注げば、売り上げはもっと高くなるということです。
小さなお店ほど、この方法は有効です。残り8割の商品をよく観察して、死に筋を排除していくようにすれば、さらにムダは省けます。
■「1:6:3」の購買心理を知る
『1:6:3』という比率をご存じでしょうか。これは、消費者心理から生まれたマーケティング上のデータです。
うなぎなどを食べに行くと、「松」「竹」「梅」とランクがありますよね。うなぎの大きさだったり、セットの違いだったりしますが、この中からお客さまが選ぶ割合が、『1:6:3』なのです。多くのお客さまは、平均的な「竹」を選びます。「松」はお金がかかるし、一番安い「梅」は見栄もあり、選びにくいのです。ほとんどのお客さまが“ほどほど”の「竹」を選びます。
“だったら、「竹」と「梅」だけでいいのでは?”と考える方もいることでしょう。これが、間違いなのです。2種類からの選択になると、比率が大きく変動し、安い「梅」ばかりになる可能性が高くなります。一番高い「松」があるからこそ、中間の「竹」がよく売れるのです。
このことをよく憶えておいてください。これが、『品揃え』です。『選ぶ楽しさ』なのです。
■何ヵ月も陳列されている商品は?
死に筋商品。つまり、売れない商品のことです。売れると思って仕入れたものの、売れずに場所を取り、在庫も倉庫に保管されたまま。あなたのお店に、そんな商品はありませんか。
いつか売れるだろうと、ホコリをかぶったまま、陳列していませんか。これが、大問題となるのです。特に、小さなお店では。売れないものを置いておくほど、無駄なことはありません。売れない⇒お金にならない、場所を取る、新しいものを陳列できない、次の仕入れができない、在庫ばかりが増える……。
よく考えてください。その商品を置いている場所にも家賃や光熱費がかかっているのです。商品をキレイにするにも、人件費がかかります。別の商品を置いた場合の利益分も損失となっています。これが、何ヵ月も続くとどうでしょうか。このような商品は、1つや2つではありませんよね。だとすると……
■売れ筋だけではなく、死に筋を知ること
あなたは、売れ筋にばかり気を遣っていませんか?情報を集め、いち早く新しい商品を仕入れ、大きな儲けにつなげようと考えているのでは?もちろん、それも大切なのですが、死に筋の排除を忘れては、お店に在庫が増え続けることになります。
100%売れ筋の読みが当たるわけではありませんよね。死に筋だとわかった時点で、すばやく処分する方法を考えなければいけません。
たとえば、とても流行っている八百屋さんの場合。新鮮だから、安いから、店主の愛想がいいから……というだけで流行っているわけではありません。地域に根ざした経営をするために、お客さまのことをよくつかんでいるのです。「○○の奥さんは、よく○○を買う」「このあたりでは、高級な○○は売れない」「最近は、有機農法のものを欲しがる方が多い」こういった顧客や地域の情報を肌で感じて、よく知っているのです。つまり、売れ筋だけでなく、死に筋も知っているということです。これが、仕入れに役立つのです。無駄がないのです。
■お客さまを見ていれば、死に筋は読める
コンビニは、POSレジを使って売れ筋商品を把握することで伸びましたが、店員が、お客さまの性別や年齢なども入力しているのをご存じでしたか。どんなお客さまが、何時ごろ、何を買ったのかが、わかるようになっています。しかし、売れ筋の把握は、正確ではありません。
たとえば、コンビニでよく売れるものに「おにぎり」があります。POSのデータでは、鮭おにぎりが50個売れたとします。だからといって、次の発注も50個にすると、間違いがおきます。お客さまは、たらこのおにぎりが欲しかったのに、売り切れていたので、仕方なく鮭にしたのかもしれないからです。これは、POSではわかりません。
こういったことを正確に知ることができるのは、現場の店主、店員さんだけなのです。現場でいつもお客さまを見ています。お話しています。だから、感覚でつかんでいるはずです。
お客さまと真剣に接してください。そして、死に筋商品を把握してください。現場をよく見ることです。
■不況でも売れている業界をマネる
人が来ない。モノが売れない。厳しい経済環境の中では、ごく普通に聞かれる言葉です。いまでは、日常会話のようになっています。
しかし、儲かっている業界、上昇傾向にある業界を見てください。デフレと言われようが、不況と言われようが、次々と新商品を出し、売れ続けています。健康器具、健康食品、ダイエット食品、エステティック……。これらはいま、非常によく売れています。
これらの商品に共通しているのは、“無くても困らないもの”だということです。でも、購入した人にとっては、“無いと困るもの”なのです。どういうことかと言うと、これらの商品を買う人は、ある事柄に関して必ず『不安』を持っているということです。
健康器具、健康食品では、“病気になりたくない、歳を取ると…”という不安。ダイエット食品は、“太っていると相手にしてもらえない、見てもらえない”。エステティックは、“歳を取りたくない、醜いのはイヤだ”。こうした『不安』に対して、それを解消してあげる商品、サービスを提供して成功しているのが、これらの業界です。
■不安を解消してあげることから始める
マーケティングの勉強をしている人ならよくわかりますが、『人の不安を解消してあげれば、モノは売れる』という基本があります。
“からだがだるくて、腰が痛いのよ、膝が痛くて歩けない……あなたは、こんな症状でお悩みではありませんか?”
このような通販の広告をテレビでよく見ませんか。さまざまな種類のこうした商品が溢れていますが、これが売れているのです。不安を解消してあげているから、売れるのです。このような『不安』は、世の中にたくさんあるはずです。老後への不安、健康への不安、生活そのものへの不安、ストレスに対する不安……。
起業を促すような情報ビジネスが流行っているのも、リストラや社会状勢に対する『不安』があるからこそ、みんなが興味を持つのです。バブルの時には、誰もそんなことは考えませんでした。
■世の中が必要とする商品、サービスを提供する
警備会社のセコムが、車、バイクの盗難への対応やお年寄り、子供の位置確認に対応する「ココセコム」というサービスを始めたのも、犯罪の増加への不安を解消するためです。携帯電話各社から、子ども用携帯が発売されているのも、親の安心をサービスとして提供するためです。
人の不安につけ込む、などと考える必要はありません。世の中が必要としている商品、サービスを考えることは、社会の役に立つことでもあるのです。
不安解消には、商機があります。じっくりと考えてみてください。あなたの商売のまわりには、どんな『不安』がありますか?
■売り場で一番のアピール力を持つ
POP広告。日本語で“販売時点広告”と訳されるこの広告は、大変重要な役割を果たしています。
何も書いていない売り場で、商品に興味を持っていただき、手に取っていただくことは、なかなかできません。とても優れたディスプレイができていたとしても、POP1つに負けることがあります。
それは、言葉で語りかけるからです。何か書いてあると、お客さまはつい読んでしまいます。そこに、気の利いた言葉や目を引くデザインがあれば、ディスプレイよりも効果的なPRができます。POPライターという、専門の職業があるくらいですから、その重要性がわかります。
■より具体的な表現で、心をつかむ
POPを作る上で、もっとも大切なのは、言葉です。お客さまが手に取りたくなるようなフレーズです。
単に「キリリッと決めるフレッシュマンスーツ」と書いても、お客さまは興味を示しません。「商談成立・好印象スーツ」や「やる気がムクムクわいてくるスーツ」と書いた方が、
お客さまの心を捉えます。
「冷麺、始めました。」より、「爽やかなすっぱさが美味しい季節になりました。冷麺、ご注文ください。」の方が、暑くなる頃のお客さまにはアピールできます。
このようなフレーズを書いたPOP広告は、そこにあるだけで、立派な営業マンになってくれます。上手に売り込んでくれるのです。やる気の無い店員より、よほど役に立ちます。経費もかかりませんし。
■本当に伝えたいことを心を込めて書く
フレーズはじっくり考える必要があります。注意することは、お客さまが商品・サービスを利用したときをイメージしやすい言葉で書くこと。ただ、それだけです。できるだけ具体的な言葉がいいのです。
多くのお店が、メーカーからもらったPOPやポスターを使っています。誰もそんなものは見ません。お店のイメージを損なうだけです。どこのお店に行っても、同じものがあります。これでは、そのお店らしさが出なくなります。
お客さまに伝えたい言葉を、心を込めて書きましょう。きっと、見てくれます。きっと、手に取っていただけます。
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