無限考察

 当たり前の話だがタイトルのインパクトと内容の良し悪しに相関関係はない。しかし、タイトルのインパクトが強ければより多くの人から注目を集められる。無限ピーマンから連綿と続く無限〇〇シリーズもそうだと思う。
 別に「実際は無限に食べられないけどね」みたいな無粋な話をしたいわけではない。ただ、無限〇〇に変わるベターな名前を考えたいだけだ。

 そもそもなぜ“無限”なのかと言えば無限に食べられる(と思えるくらい美味しい)からである。勿論これは単なる比喩なので、上述の通り無限というネーミングに対して文句を言うのは無粋である。というかこの無限〇〇シリーズのキモは無限に食べられるかどうかよりも手軽に作れる点にあると思う。多くのレシピが材料を混ぜて電子レンジにかけるだけなので、その間にもう一品おかずを作れるわけだ。
 ということは売り文句として“無限に食べられる”よりも“調理が簡単”なことを打ち出した方が効果的だと考えられる。なので頭に“カンタン”を付け、更にSEO対策として皆大好きツナ缶も全面に押し出す。ここまでくれば後はもう混ぜることを言い換えれば良いだけだ。

 その名も“カンタンピーマンのツナ和え”だ!!!

 自分で言うのもなんだが、面白みもクソもないネーミングだと思う。こんな名前を付ける奴はクリスマス直前に恋人から「あなたと居ても退屈」と言われてフラれると思う。デート言えばディズニーという安直な発想でろくに下調べもせずアトラクションの待ち時間に黙ってスマホをいじり、あまつさえ帰りの電車で爆睡したことなど、色んなことが積もり積もってフラれる。断っておくが誰かをモデルにしてるわけでない。

 それはさておき、やはり無限ピーマン以上のインパクトのネーミングは中々出来ない。しかし、僕の中の“国語に煩いヲタク”が無限を使うなと囁いているので何か一つ絞り出してみよう。
 他のアピールポイントといえばシンプルな味付け故の拡張性の高さだろう。醤油やポン酢はもちろん七味をふりかけてピリ辛にしてもいい。何にでも合うから万能ピーマンでもいいが、どうしても万能が付くとタレの方を想像してしまう。となるとカスタムピーマン3Dかピーカツにするしかないか。いや流石に元ネタが元ネタだけにアレか。

 行き詰まってきたので原点に立ち返って考えよう。当たり前だが無限ピーマンは無限ではない。しかし我々が無限に食べたいと思う限り無限ピーマンは存在する。裏を返せば飽きてしまえば無限ピーマンは成立しないということだ。我々の意識で眼の前の料理が無限ピーマンかそうでないかが決まる。

 このことから導き出される無限〇〇シリーズの新たな名前は……

“色即是空空即是色”

 


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