不安をアウトソーシングする方法

将来への不安を口にすると、きっと意識高い系の人に「不安なら、対処すればいいじゃない?」と言われることでしょう。

でも、果たして不安というのは、対処すればなくなるものなのでしょうか。むしろ不安というのは、真面目に向き合って対処すればするほど悪化していくものではないでしょうか。

たとえば今、「何かあった時に不安だから、せめて300万円の貯金があればいいのに」と思っていたとします。
この不安は300万円溜まっても解消はされないでしょう。次は老後の不安に備えるためにもう1千万円、預金だけだと不安なので、不動産と株にリスク分散するためにもう2千万円……と、備えれば備えるほど、際限なく「安心できる額」のハードルは上昇していくはずです。

5000兆円あったなら、さすがにジンバブエ並みのインフレでも起きない限り、お金の不安はなくなるかもしれません。しかし、不安そのものが消えるわけではありません。
「小惑星が衝突してきたらどうしよう」
「地球温暖化が急激に進んで地球が住めなくなったらどうしよう」
「人間はいつか必ず死ぬ。死ぬのが怖い」
などと、お金では解決できない不安が次から次へと襲ってくるはずです。

いつか死ぬことへの恐怖、なんていう絶対に勝てない大魔王と戦うくらいだったら、「明日デートなのに金がないどうしよう」なんてことで悩んでいた方がよほど幸せではないでしょうか?
備えあれば憂いなし、ではなくて、備えあるほど憂いあり、なのです。
徒らに将来のことを悩まず、今日明日をいかに充実させるかを考えて生きることが幸福なのかもしれません。

でも、現実的にはそういうわけにはいかない。
そこで、あらかじめ不安を自分で抱え込まずにアウトソーシングしてしまえば良いのでは、と思うのです。

貯金は毎月自動的に引き落とされるようにしておく。貯金で賄えない部分は、何か一つ包括的な保険に入っておく。健康に関しては、毎年決まった月に人間ドックを自動予約する。「たけしの本当は怖い家庭の医学」なんて絶対に見てはいけませんよ。絶対ですよ。

そうしておいて、普段は必要以上に将来のことを悩まないようにすれば良いのです。年に1回、たとえば確定申告のタイミングで保険を見直す以外は、今自分の中で熱いことだけに専念して生きられるようなシステムを作ってしまう。

生命の本質は「今、ここ」だと思うのです。将来に備えるあまり、「将来への不安」の奴隷になってしまっては本末転倒です。幸い、この文明社会には不安を代わりに請け負ってくれるシステムがたくさんあります。外注できるものは外注して、「今、ここ」を全力疾走していきましょう。

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