大人になってから分かった、自尊感情の大切さ

高校生の時に、いわゆる拒食症になったことがある。身長160センチにして体重は一時期40キロを下回り、生理は約1年間止まっていた。

当時どうしても納得いかなかったのは、病気について本を読んで調べようとすると必ず「親子関係に原因が…」と書いてあることだった。

私は、自分が拒食症になった原因を知っていた。大学受験でストレスが溜まっているところに失恋が重なり、相手を見返してやろうと思ってダイエットを始めたことがきっかけであった。親は全く関係ないはずだ。どこの心理学者だか知らないけど勝手に決めつけないで欲しいわ、と思っていた。

しかし、当時のダブルスコア以上に歳を重ねた今になって思うと、やはり親は関係あったのである。

私の親は、毒親というわけではない。彼らなりに私のことを思って頑張ってくれていたと思う。ただ、価値観が絶望的に異なっていただけだ。習い事、食べ物、本……全てにおいて、親が私のために好意で用意してくれたものは、私の口には合わなかった。

いつしか私は、自分が欲しいもの、面白かったもの、楽しかったことを親と共有しようとすることをやめた。分かり合おうとすると喧嘩になってしまうからだ。育ててくれたことにはもちろん感謝しているが、感謝しているからこそ余計な争いを起こさないために、なるべく距離を置き、余計なことを話さないようにしていた。

虐待やネグレクトではない。しかし、自分の好きなことを大切な親に理解されないというのは、じわじわと私の自意識を蝕んでいたのだと思う。それに加えて発達障害の傾向があり、忘れ物やうっかりミスが多く、よく怒られていたことも影響していたかもしれない。気が付くと、かなり自尊感情の低い高校生になっていた。

そして最初の話に戻るが、もしも自尊感情が高ければ、大学受験に失敗したくらいで、あるいは男に振られたくらいで、許容範囲を超えて病気になったりはしないのである。

死ぬわけじゃない、たかが受験や恋がうまくいかないくらいでそこまで思い詰められてしまったのは、自尊感情が低かったからだし、自尊感情が低かった原因の1つは、紛れもなく親子関係だったのだ。

自尊感情の低さは、あらゆる場面で悪さをする。私は大学生くらいまで、全ての勝負事という勝負事が嫌いだった。実力一切関係ないくじ引きでさえ、である。負けてしまったら、自分の存在が否定されてしまったように感じて、精神的に耐えられなくなるのである。負けないためになんとかバレずにズルをする方法はないか考えたり、負けることが怖くてチャレンジすることを放棄したりしていた。

そんな自分が劇的に変わるきっかけになったのは、結婚である。夫は私の寝癖がついてボッサボサの髪、ノーメイクどころか目ヤニがついたままの顔を見てもかわいいと言ってくれるし、子供たちに至っては、私がどんなに機嫌が悪かろうと、どんだけ臭い屁をぶっ放そうと、「おかあさんだいすき」とチューしてくれるのである。

今なら、勝負事に負けたくらいで自意識が崩壊することはないし、めんどくさいママ友からマウンティングされても、張り合わずに「すごいですねー」と持ち上げてあげられるようになった。昔の自分だったら、間違いなく「そのくらい私でも出来ますけど?」と答えて関係をこじらせていたところである。

家族からもらった自尊感情を、もう一度家族に贈りたい。子供たちにはなるべく失敗したりカッコ悪かったりした時も、肯定してあげたいと思っている。幸い、今のところ自尊感情はそこそこ育っているようで、先日は、答案用紙が裏面に続いていることに気づかずに表面だけ答えて「50点」というテストを持ち帰ってきた時も、落ち込む様子もなく「まちがっちゃったwwwウケるwww」とケタケタ笑っていた。おい、そこは少しは落ち込め。


#自尊感情 #自己肯定感 #心理 #教育 #毒親 #親子 #家族

#メンタルヘルス #拒食症 #鬱病 #うつ病 #メンヘル  

#発達障害 #ADHD   #ADD #ASD

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?