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<論文>第3世代キノロンとアキレス腱断裂

Association Between Third-Generation Fluoroquinolones and Achilles Tendon Rupture: A Self-Controlled Case Series Analysis
Ann Fam Med. 2021 May 19(3): 212-216.
doi: 10.1370/afm.2673.

目的
第3世代フルオロキノロン系抗菌薬の使用がアキレス腱断裂の発生と関連するかどうかを、自己対照ケースシリーズ分析を用いて検討した。

方法
2012年4月から2017年3月までに国民健康保険および高齢者健康保険に加入していた日本のある都道府県民で、抗菌薬の処方を受けた後にアキレス腱断裂を経験した人を、行政レセプトデータを用いて特定した。抗菌薬は、第1世代および第2世代のフルオロキノロン系、第3世代のフルオロキノロン系、非フルオロキノロン系の3つのグループに分類した。条件付きポアソン回帰モデルを用いて、各患者について、抗菌薬曝露期間中のアキレス腱断裂の非曝露期間に対する発生率比(IRR)を推定した。曝露期間は、処方開始から30日間とした。

結果
抗菌薬の処方を受けたアキレス腱断裂の患者504人を対象に分析を行った。アキレス腱断裂のリスクは、第3世代フルオロキノロン系(IRR=1.05、95%CI 0.33-3.37)および非フルオロキノロン系(IRR=1.08、95%CI 0.80-1.47)に暴露されている間は有意に上昇しなかった。一方、第1世代および第2世代のフルオロキノロン系薬剤を使用した場合には、リスクが有意に上昇した(IRR=2.94、95%CI 1.90-4.54)。この結果は、性別および最近のコルチコステロイド使用の有無で層別したサブグループでも同じであった。

結論
我々の分析では、第3世代のフルオロキノロンの使用はアキレス腱断裂のリスク増加と関連していなかった。これらの抗菌薬は、スポーツ選手のようにこのリスクが高くなる患者にとっては、より安全な選択肢となるかもしれない。

日本で入手可能なフルオロキノロンの分類
第1世代

・ノルフロキサシン
・ナリジクス酸
・ピペミド酸

第2世代
・レボフロキサシン
・トスフロキサシン
・シプロフロキサシン
・オフロキサシン
・ロメフロキサシン

第3世代
・ガレノキサシン
・シタフロキサシン
・プルリフロキサシン
・モキシフロキサシン
・パズフロキサシン


<感想>
日本のグループからの報告でした。だからといって第3世代キノロンを積極的に使おう!とはならないですが(キノロン以外を使えばいいと思いますが),わかりやすくインパクトがあるなと思いました。それにしても,キノロンってたくさんありますね…。過去のキノロンの文献も紹介しておきます。



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