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怒られ慣れるってなんやねん!
「今の若い世代は、怒られ慣れていない」
その言葉に、私はムカッとしました。
どうも。いかたこです。
中学校で教員をしています。
先日、職員室で仕事をしていた時のことです。
隣から先生たちの会話が聞こえてきました。
どうやら、生徒を指導した後、その生徒が予想よりも落ち込んでしまい、加えて少しふてくされてしまったようです。
もちろん、適切な指導であったと思います。
「これを機に学んでくれたらいいんだけど」
「今まであの子のことをしっかり怒ってくれる人がいなかったんだろうなぁ」
「今の子は、怒られることが少ないから」
このような会話をベテランの先生たちがしていました。
この時点で少し違和感があったのですが、ここから会話の矛先は生徒だけではなく、20代、30代を含む「若い世代」に向けられていきます。
「今の若い世代は、怒られ慣れていない。だから少し怒られたくらいで音を上げてしまう。自分たちの若い頃は、どんなに失敗して怒られても踏ん張ったものだ」
といった具合に、若者批判が止まりませんでした。
さて、この会話を隣で聞いている身としては、意見を求められたり、攻撃の対象とされたりしては堪りません。
おそらく私もまだ若い世代に入るので。
というわけで、私は急いで気配を消すことにしました。
学生時代、怖い先生や先輩に目を付けられないように身につけた特技です。もともと、影は薄い方ですが。
特技を披露すると同時に、私は「怒られ慣れる」という言葉に、苛立ちを感じました。
怒られ慣れるってなんやねん!そんなんに慣れてどうすんねん!
方言混じりの思考で頭がいっぱいになりました。
確かに、「怒られ慣れていない」というのは、今の若い世代の特徴なのかもしれません。
親の世代などと比べると、怒られてきた回数は、少ないのかもしれません。
ワイドショーなどで、コメンテーターが「若い世代は怒られ慣れていない」というような発言をしているのを見たことがありますし、
インターネットで「怒られ慣れる」と検索すると、「怒られ慣れるために必要なこと」のような記事がたくさん出てきます。
もしかしたら、若い世代が怒られ慣れていないという一般的な認識があるのかもしれません。
でも、それを学校の先生が言ってはいけないでしょう。
「怒られることはするな」、「いい子でいなさい」と生徒に言ってきたのは、あなたたちでしょう。
もちろん、時代の変化によって、先生たちは若い世代にたくさん怒ることができなかったのかもしれません。
でも、怒られるのはいけないことだと教えたのは、あなたたちではないですか。
怒られる回数が少ないというのなら、全校生徒で毎日暴れ回って、指導されていれば満足でしたか。
ヤンチャな生徒に「そんなに怒られてばかりだと社会に出て苦労するぞ」と言っていたのに、
いい子な生徒に「そんなに怒られていなかったら社会に出て苦労するぞ」と言ってくれなかったのは、どうしてですか。
怒られておいた方がいいと言うのなら、どうして怒られるようなことをしなさいと教えてくれなかったのですか。
あふれてくる文句を頭の中で並べていると、急に「○○先生はどう思う?」と話を振られてしまいました。
気配は完全に消していたはずですが、さすがに隣では効果がなかったようです。私も腕が落ちました。
「えっと、どうでしょう・・・。えへへ」
人生の大先輩たちを前に、先ほどの文句を言えるわけもなく、とにかく言葉を濁してその場を切り抜けました。
幸い、私に話を振ったのは箸休め感覚だったようで、その会話に参加する必要はすぐになくなりました。
そしてその後も、先生たちの若者への不満大会は続きました。頼むから他所でやってほしい・・・。
「怒られ慣れる」とは、具体的にどのようにすればいいのでしょうか。
怒られていても、「そんなの気にしないよ~だ」と心の中で舌を出すのが正解なのでしょうか。
大人たちが求めているのは、これではないのでしょう。
きっと、怒られることに怯えず、怒られても怖がらず、立ち直って、成長してほしいのだと思います。
でも、そんな大人たちに言わせてください。
怖いんだから仕方ないやん!
だから、お願いです。怖がることを責めないでください。もっと怯えてしまいます。
怖がらなくていいよって教えてください。
なんせ怒られた経験が少ないもので。
最後になりますが、「今の若い世代は、怒られ慣れていない」と言った先生は、優しくて面白くて、とても生徒思いな先生です。
周囲からの信頼も厚く、私もとても尊敬しています。
でも、そんな先生のちょっとした一言にも苛立ちを感じ、反発してしまう。それはきっと、私が怒られ慣れていないからなのでしょう。