さとう としお

海外の家族法制を勉強中。政府刊行物を少しずつ翻訳、紹介していきます。

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マガジン

  • 共有身上監護 ~監護権の取決めにおける学際的洞察~

    このオープンアクセスの書籍は、法的、心理学的、家族社会学的、人口統計学的な洞察を提供することによって、共有身上監護下の子どもが増加し続ける現象の概要を提供する。長期間にわたり崩壊家族が漸増していたにも拘らず、離婚家庭の子どもに対する監護権の取決めが激変したのはここ10年のことであり、子育てにおけるジェンダー革命が起こっていることを述べている。本書は学際的な共同研究であり、人口学、社会学、心理学、法学、政策立案など、家族研究や監護権に関心を持つ社会科学者にとって興味深い内容となっている。

  • 不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース

    養育費の不払いの解消は、子どもの健全な成長や子どもの未来のために重要な課題ですが、養育費確保のための公的支援の問題が、近時、重要なテーマとして問題提起されています。 そこで、法務省と厚生労働省が連携してこの問題に関する実務的検討を行い、必要な取組を加速させるとともに具体的な論点の整理や課題の分析等を進めるため、両省の担当官を構成員とするタスクフォースを設置しました。(法務省HPより」)

  • 親同士の関係を強化し、子のアウトカムを向上させるのに有効な事

    本報告書の主な目的は、子どもの発達に関する影響力として夫婦関係の役割を強調する最新のエビデンスを、現代の家族とそれを構成する大人や夫婦、親子どもといった個人の人生の可能性の向上を目指す政策立案者、委員会、実務家に向けた勧告とともに、検討し、アクセスできるようにすることです。

  • 実子誘拐(Parental Abduction)

    実子誘拐とは、離婚や監護権の獲得、一方の親への復讐のために、一方の親に連絡をせずに、自分の子どもを自宅から連れ去ることです。実子誘拐は、子どもに悪影響を与える児童虐待、残された親に対するドメスティックバイオレンスであり、欧米では犯罪とされています。

  • 父母の離婚後の子の養育に関する海外法制調査結果

    2019年4月17日の衆院法務委員会で、法務省は外務省を通じ世界24カ国における離婚後親権制度の運用実態調査をすると明らかにしました。    この記事は、2020年4月10日に法務省が公表した調査結果で、法務省のホームページに掲載されている調査概要と調査結果(PDF)を転載したものです。  キャッチ画像の世界地図で赤色に塗った国が、この調査で離婚後共同親権制度を採用している国です。調査対象以外にも、アジアではベトナムや台湾、ヨーロッパではポーランドやオーストリア、ウクライナ等が共同親権制度であることが知られており、離婚後共同親権制度が世界標準であることが一目で理解できると思います。  一方で、北朝鮮や中近東、アフリカ諸国は単独親権制度です。単独親権制度は、権力者が国を統治する政治形態、イスラム教、部族社会の慣習と親和性が高いようです。

最近の記事

韓国における親権・監護権に係る法令・制度の概説(協議離婚の意思確認/離婚熟慮期間/養育計画提出義務化等)

 この記事は、外務省HPの「> 海外渡航・滞在 > ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約) > ハーグ条約関連資料の韓国 > 1 親権・監護権に関する各締約国の法令について >(11)韓国(令和元年度事業)の概説(PDF)」を転載したものです。  2024年5月16日、日本では、離婚後の共同親権を認める改正民法が参議院法務部会で可決され、明日5月17日に参議院本会議で可決される見込みです。韓国では既に1990年に離婚後共同親権を認め、面会交流を子どもを直接監

    • 離婚届への養育費/面会交流取決め有無チェック欄新設の提案(第177回国会 H23/4/15)

       「民法等の一部を改正する法律」(法律番号:平成23年法律第61号)では、親権停止制度の創設、親権喪失原因の見直し、親権喪失請求権者の拡大等の親権制度の改正のほか、面会交流及び監護費用の分担を明示する見直しを行いました。  この法律の審議経過は、以下の通りです。   〇平成23年(西暦2011年)3月4日:国会提出   ・平成23年4月13日:衆議院・法務委員会趣旨説明   ・平成23年4月15日:衆議院・法務委員会   ・平成23年4月19日:衆議院・法務委員会   ・平成

      • 第6章 離婚後の子どもの生活の取決めと父子関係の質;重要な基礎的メカニズムとしての父親の関与

         この記事は「共有身上監護~子どもの監護の取決めにおける学際的な洞察~」の第6章を翻訳したものです。この文献はオープンアクセスです。原題名、原著者名は以下の通りです。 掲載書:Shared Physical Custody     Interdisciplinary Insights in Child Custody Arrangements 原題名:Chapter 6     Children’s Living Arrangements After Divorce and

        • 不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース(第7回)議事要旨

          この記事は、法務省ホームページに掲載されている「不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース(第7回)議事要旨」を転載したものです。 1 日時令和3年6月8日(火)午前10時30分~午前11時30分 2 場所法務省会議室 3 議事要旨※法務省民事局,厚生労働省子ども家庭局及び内閣府番号制度担当室の担当者との間で意見交換を実施した。 ○ 近時の法改正等について 令和元年の民事執行法改正では,財産開示手続の見直しが行われたとともに第三者からの情報取得手続が新設さ

        韓国における親権・監護権に係る法令・制度の概説(協議離婚の意思確認/離婚熟慮期間/養育計画提出義務化等)

        マガジン

        • 共有身上監護 ~監護権の取決めにおける学際的洞察~
          5本
        • 不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース
          9本
        • 親同士の関係を強化し、子のアウトカムを向上させるのに有効な事
          10本
        • 実子誘拐(Parental Abduction)
          15本
        • 父母の離婚後の子の養育に関する海外法制調査結果
          10本
        • オーストラリア家族法改正に向けた調査
          6本

        記事

          不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース(第6回)議事要旨

          この記事は、法務省ホームページに掲載されている「不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース(第6回)議事要旨」を転載したものです。 1 日時令和2年12月24日(木)午後4時~午後4時30分 2 場所法務省会議室 3 議事要旨○ 養育費に関する令和3年度予算政府案の概要について 養育費に関する法務省の令和3年度予算政府案は,予算概算要求から内容,金額ともに変更はない。 養育費に関する厚生労働省の令和3年度予算政府案について,概ね予算概 算要求から変更はない

          不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース(第6回)議事要旨

          不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース(第5回)議事要旨

          この記事は、法務省ホームページに掲載されている「不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース(第5回)議事要旨」を転載したものです。 1 日時令和2年12月4日(金)午前10時30分~午前11時30分 2 場所法務省会議室 3 議事要旨○ 公的機関による養育費の履行の確保等に関する諸外国の制度例について 公的機関による養育費の履行の確保に関する制度等について,ドイツ,フランス,スウェーデン,フィンランド,イギリス(イングランド及びウェールズ),アメリカ(カリフ

          不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース(第5回)議事要旨

          不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース(第4回)議事要旨

          この記事は、法務省ホームページに掲載されている「不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース(第4回)議事要旨」を転載したものです。 1 日時令和2年10月30日(金)午前10時00分~午前11時00分 2 場所法務省民事局会議室 3 議事要旨○ 自治体ヒアリングの結果の報告について (戸籍部門とひとり親支援部門の連携など自治体における支援の強化について,前回会議から引き続き,さらに2つの自治体の戸籍窓口担当者とひとり親支援窓口担当者等からヒアリングを行った。

          不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース(第4回)議事要旨

          不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース(第3回)議事要旨

          この記事は、法務省ホームページに掲載されている「不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース(第3回)議事要旨」を転載したものです。 1 日時令和2年10月7日(水)午前10時30分~午前11時30分 2 場所法務省民事局会議室 3 議事要旨○ 自治体ヒアリングの結果の報告について (法務省と厚生労働省の担当者が,9月にA自治体及びB自治体を訪問し,戸 籍部門とひとり親支援部門の連携など自治体における支援の強化について,戸 籍窓口の担当者とひとり親支援窓口の担

          不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース(第3回)議事要旨

          不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース(第2回)議事要旨

          この記事は、法務省ホームページに掲載されている「不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース(第2回)議事要旨」を転載したものです。 1 日時令和2年7月17日(金)午後1時30分~午後2時30分 2 場所法務省民事局会議室 3 議事要旨○ 自治体の取組事例等について (第2回会議では,同日午前に開催された「法務省・養育費不払い解消に向けた検討会議」において実施された東京都港区及び兵庫県明石市からのヒアリングの結果を踏まえ,不払い養育費の確保のための支援の在り

          不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース(第2回)議事要旨

          不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース(第1回)議事要旨

          この記事は、法務省ホームページに掲載されている「不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース(第1回)議事要旨」を転載したものです。 1 日時令和2年6月12日(金)午後1時30分~午後2時30分 2 場所法務省民事局会議室 3 議事要旨○ 本タスクフォースの検討課題,今後の進め方等について 養育費の立替払いや強制徴収等の制度導入には,様々な課題があり,中 長期的に取り組む必要があると思われるが,仮にこのような制度を導入す るとしたらどのような制度が考えられる

          不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース(第1回)議事要旨

          公的機関による養育費の立替払い制度・取立て制度に関する制度面を中心とした論点整理について

           この記事は、法務省HPに掲載されている「公的機関による養育費の立替払い制度・取立て制度に関する制度面を中心とした論点整理について」を転載したものです。 令和2年12月24日 公的機関による養育費の立替払い制度・取立て制度に関する制度面を中心とした論点整理について       法務省・厚生労働省        不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース 第1 はじめに 養育費の督促・徴収の段階における直接的な公的支援として,海外では,①公的機関が権利者に対して

          公的機関による養育費の立替払い制度・取立て制度に関する制度面を中心とした論点整理について

          「不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース」の設置について

          この記事は法務省HPに掲載された同タイトルのレターを転載したものです。 「不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース」 の設置について 令和2年6月 1.TF設置の趣旨  不払い養育費の確保は,累次の国会附帯決議において政府の検討課題とされてきたところ,その中でも特に,養育費確保のための公的支援の問題が,近時,重要なテーマとして問題提起されている。  そこで,不払い養育費の確保のための公的支援の問題を中心に,運用・制度の改善について,必要性,効果,体制等を

          「不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース」の設置について

          ハーグ条約[国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約]の実施に関する法律の決議(第183回国会 H25/4/26)

           2024年4月1日発行の福祉新聞が、参議院外交防衛委員会(24/3/22)における福山哲郎議員(立憲民主党)の質疑に対する岩本桂一外務省領事局長の答弁「同条約の仕組みと親権のあり方は別の問題」を取上げ、離婚後の共同親権導入が必要な理由として日本のハーグ条約批准を挙げる論法を外務省が否定したと報じています。  外務省は第183回国会で「条約は、子が不法に連れ去られた場合に、子が常居所地国に返還するか否かを決定するものであって、親権制度そのものついて規定しているわけではない」と

          ハーグ条約[国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約]の実施に関する法律の決議(第183回国会 H25/4/26)

          家族法制部会 委員・幹事からの質問に対する御回答(金先生)

           この記事は法制審議会家族法制部会第9回会議(令和3年11月16日開催)の資料「参考資料9-7 家族法制部会 委員・幹事からの質問に対する御回答(金先生)」を転載したものです。  なお、Note機能の関係上や読み易さを考慮し、括弧つき数字、半角数字を点付き数字、全角数字に見直していることをお断りしておきます。 【御回答】 監護に関する紛争の事件数:レジュメ 4 頁の「5統計」に記載があります。 対応する裁判所・裁判官の数:家庭法院が設置されている地域(ソウル・仁川・水源

          家族法制部会 委員・幹事からの質問に対する御回答(金先生)

          離婚後の親権・監護権(韓国)

           この記事は、法制審議会家族法制部会第5回会議(令和3年7月27日開催)に参考人として招致された山梨学院大学法学部の金亮完教授のプレゼンテーションを議事録から転載したものです。  2024年3月に国会提出された改正民法案は、自民党法務部会「家族法制のあり方検討プロジェクトチーム」の提言から後退した内容でした。国会審議の修正動議により、ここで紹介する韓国のように共同養育計画書の作成義務付けは盛り込んで欲しいものです。 大村部会長 それでは,再開したいと思います。  続きまして

          離婚後の親権・監護権(韓国)

          第2章 交互に変わる家~新しい家族の形~ 家族社会学の視点

           この記事は「共有身上監護-子どもの監護の取決めにおける学際的な洞察」の第2章を翻訳したものです。この文献はオープンアクセスです。原題名、原著者名は以下の通りです。 掲載書:Shared Physical Custody     Interdisciplinary Insights in Child Custody Arrangements 原題名:Chapter 2     Alternating Homes – A New Family Form – The Family

          第2章 交互に変わる家~新しい家族の形~ 家族社会学の視点