高山が作家として更に飛躍することを願い創作活動を支援したい!~エッセイ「ガーターベルトの女」の作品化を目指して【472】
妄想家・夢想家無名居士の夢物語の記録です
無名作家高山のエッセイ「ガーターベルトの女」の映画化芝居化・・・
その他いろいろ作品化できれば
なんて途方もない夢を観ています
📖 高山のエッセイ〜映画『キッズ・リターン』と『あの夏、いちばん静かな海。』 雑感
2017/05/12
このブログも段々と政治と映画に偏りつつあるけど、それは意図して無くてたまたまです。
書きたい情熱で書いてるし、そこそこ読まれてるし、まあ好いかと思います。
映画も新しいのも観てますが、自分自身多分何度か観ないと、納得しないタイプなのかも知れないです。
それと、この時期は鬱とか有る上に時間帯がバラバラだと、なかなか新しいのに入り込めないのもあります。
今回も、北野武映画の初期の二作を書きますね。
やはり、初期の方が見直すと良いですね。
最近の作品が落ちてるとは思わないけど、初期の方に何故ここまで評価されたかが、詰まってるかも知れないし、一人の監督が何作も作ると多少落ちて来るのは仕方ないかもです。
今回は、北野映画でも極力暴力が少なく、初心者が観ても良いって作品二作を挙げます。
それと、キーワードは青春でしょうかね。
もう一つは、北野武がビート武として出てない作品を挙げます。
ビート武の、役者としてのアクの強さを嫌う人が居るのも分かりますからね。
前にもしかしたら、武が出てないと嫌だとか言ったかも知れないけど、人の意見なんて変わるものです。
最初は『キッズ・リターン』です。
これは、青春のヒリヒリした感じを上手く撮ってます。
観てて、あー!そうだったよなあと思いますよ。
思春期の、男の子独特の感じを上手く捉えてますね。
個人的に非常に好きだし、自分自身も小説サイトでこういうのを書きたいなと思わせます。
内容は、二人の男の子が居るんですね。
高校生ですが、落ちこぼれの、不良です。
これを金子賢と安藤政信がやります。
正直二人はその後も活躍してるけど、『キッズ・リターン』を超えた作品はない、と個人的に思いますよ。
この二人は同級生ですが、金子賢の方が親分的です。
安藤政信の方が、金子に付いてるって感じですね。
高校生三年の就職の頃を描いてて、周りの高校生も面白いです。
ある者は漫才師になりたくて、ある者は、喫茶店に勤めてるウェイトレスを真面目に口説いて結婚までします。
ある者は、金子賢と安藤政信の真似をします。
自分自身不良の高校に行ってたから、あー!有るよなって部分がとても有りますね。
金子賢も安藤政信も不良だけど、何処か空しく日々を過ごしてます。
白けてると言うか、目標がないと言うかね。
それでも不良の中では一目置かれてます。
そういう時にかつあげをした相手が、先輩らしき人を連れて来て、金子賢を簡単に叩きのめします。
喧嘩には自信を持ってた金子賢をです。
ボクシングをやってるようです。
ここから物語が動き出します。
金子賢はボクシングジムに通い始めます。
安藤政信も誘います。
金子賢は、特に今まで酒も煙草もやってたのを辞めて熱心にやります。
一方の安藤政信は、金子賢に何となく付き合うって感じです。
偶然そのジムに、金子賢を殴った男も居ます。
こうして、二人のボクシングトレーニングが始まりますが、金子賢は、スパーリングをして安藤政信に負けます。
今まで同級生では有るけど、何処か弟分のように扱ってた安藤政信に負けたのは、金子賢にとってはショックですし、ボクシングの才能は安藤政信の方に有るんですね。
この辺りさらっと描いてるけど、分かるなあです。
今までの上下関係と言うか、何かを壊されてショックを受けるのと、自分自身にボクシングの才能がないって分からせられる感じが、分かりますね。
個人的に自分自身も長い間剣道やってて、いくら努力しても勝てないって人が居ましたし、それは才能なんですね。
僕は辞めませんでしたが、負ける奴には負ける、と諦めが出るようになりましたね。
これは、その後のトンネル屋の仕事してても、あー!才能が有るなあ、って有りますよ。
だけど、仕事なら機械に乗る才能で負けるなら、人を上手く使う才能で勝とうとか出来ますが、勝負の世界は残酷ですよ。
勝てないのには、勝てないんですよね。
小説サイトで書いてても、圧倒的に上手いなあって人が居るけど、それは、それほどコンプレックスになりません。
小説はあらゆるアプローチが出来るけど、勝負の世界はやはり勝てないと駄目だなと昔は思いましたし、今でも自分自身では思いますよ。
話しは逸れましたが、思春期に特別な関係に有る人間からそういう事を知らされる、って辛いですね。
金子賢は、前にラーメン店で会ってたヤクザの子分になります。
この兄貴分をやるのが、石橋凌ですね。
その下に付いてるのが、北野映画でお馴染みの寺島進です。
石橋凌の演技は若干オーバーですが、こういう役は合いますね。
寺島進に関しては、最近はすっかりテレビタレントのようですね。
大杉漣と寺島進は、武の映画でブレイクしたと思いますが、最近の寺島進を観てると普通の役者になったな、と少し残念ですね。
まあ、この頃は尖ってて良いですよ。
一方の安藤政信は、メキメキとボクシングの腕を上げて行きます。
試合でも連戦連勝で、ジムの期待を背負います。
安藤政信は、確かこれがデビュー作品で、相当ボクシングの練習したと聞いてますし、ボクシングシーンは非常にリアルです。
一方の金子賢も色々な抗争があったせいで、一気に組の中で出世します。
金子賢が、子分を連れてボクシングジムに来るシーンは印象的ですね。
子分と、上半身裸になって遊びでスパーリングをするけど、背中には既に刺青が入ってます。
ジムの会長が来て、もう近づかないでくれと言うと、大人しく帰りながらも安藤政信に、お前がチャンピオンになって俺が組長になったら又会おう、とか言います。
この辺りから、順調だった二人に暗雲が立ち込めます。
安藤政信には、モロ師岡の中年ボクサーが色々な悪い事を教えます。
食べても吐けば良いんだ、とか言って一緒に飲みに行ったりですね。
会長はモロ師岡との付き合いを辞めるように言うけど、聞きません。
モロ師岡は、この映画で非常に上手いですね。
屈折した中年ボクサーを好演してますよ。
隠れて煙草を吸ったりまあ、身なりもそういう感じで、味わいさえ有りますね。
しかし、伸び盛りのボクサーに不摂生は駄目ですね。
試合前になっても減量出来ません。
モロ師岡が下剤をくれますが、走っててもしたくなるし、下剤で体重を落とす何てのはボクサーがやっては、動きが悪くなるだけですね。
連戦連勝だった安藤政信が負けます。
完全に相手に圧倒されての負けです。
金子賢の方はヤクザの抗争に巻き込まれて、上手く立ち回れなくて、失脚します。
二人は偶然又会います。
そして、かつての学校にかつてのように、二人乗りして行きます。
安藤政信もボクシングを辞めてます。
二人は、かつての学校の校庭を自転車で走ります。
そこで、安藤政信が金子賢に、俺たちもう終わったのかな?と言うと、金子賢がまだ始まってねえよ、と返します。
爽やかな気持ちさえ残る作品ですし、何より青春の独特な青臭さと、ヒリヒリした気分が伝わります。
もう一つ、個人的に僕の同級生で友人にも、ヤクザになったのが居まして亡くなったのですが、それを思い出します。
正直その男の事は、今でも心の整理がつきませんね。
北野武監督は、男の子に向けて描いてるように思いますが、女の子が観ても一種の映画『スタンド・バイ・ミー』的な感動が有りますね。
男が見たら、あー!そうだよなそうだったよなあ、と思うと思いますよ。
何かしら目標を持ちたいけど、それが何か分からなくて、白けながらも何かを求めるって感じですね。
僕は何度も観てますが、久しぶりに見たら、あー!そうだったよなと共に、今の自分自身に投影しましたね。
あの頃、何かに夢中になりながらも白けててだけど、先には何かしら有ると思ってたなあ、としんみりさえしました。
個人的には、あの頃求めてた物は見事に手からこぼれましたが、良い映画です。
僕は中年ですから、その辺りのリアルな感情も揺さぶられましたよ。
それと北野監督映画の特徴で、女の子が重要な役割をしません。
セックスが、重要な役割をしないって多いですね。
少年のままの心と言うと変ですが、北野監督映画は、ヤクザをやっても少年なんですね。
少年が、大人になってヤクザをやって破滅する、って感じですね。
それと独特な間です。これが時に笑いになったりしますが、これは、北野武の漫才師としての間を上手く利用してるように思います。
お笑いが笑えるか笑えないかは、非常に間が大事ですから、それが北野監督は分かってますね。
それとこの映画は1996年ですが、北野武の例の事故の後の復帰作品です。
これで見事に復帰して来ます。
北野武、或いはビート武って人は凄いなと思うのが、何か起こしてしまったあとの復帰と、生き方ですね。
FRIDAY襲撃の後の、『その男、凶暴につき』でしょう。
そして、あの大きな事故の後の、この傑作です。
もしも、ビート武があのままお笑いに留まってたら、とてもじゃないけどもたなかったのではと思いますよ。
漫才ブームの後少しして、既にお笑い芸人としては落ちてましたからね。
タモリのように『笑っていいとも!』と言う国民的番組は無理だろうし、さんまのような反射神経でやっていくタイプではないですからね。
映画がなかったらどうなってたか、と危ない橋を渡りながらも、ギリギリで自分自身の才能で道を開いて行くってのは凄いなと思います。
切り開くと言うか、引き寄せると言うか、才人ですね。
とにかくヒリヒリしますよ。四十九才の僕が観ても、青春のヒリヒリが伝わりますよ。
非常に良いですから見て欲しいです。
それでは、もう一作を挙げます。
『あの夏、いちばん静かな海。』です。
これは、故淀川長治が絶賛した映画です。
女の子が、珍しく重要な役割をしてますが、やはりセックスとかとは無縁ですよ。
非常に炎々としていて、静かさと切なさとが入り交じる映画です。
1991年の映画で、北野武映画の三作目ですね。
当時は、バイオレンスばかりではないぞ、と見せつけましたね。
見事に、もう一つの才能を見せつけた作品です。
この映画は細かく説明するよりも、概要だけを言いますね。
細かくストーリーを説明しても仕方ないですよね。
ゴミ収集の仕事に励む若者を真木蔵人が演じます。
その恋人を大島弘子が演じますが、大島弘子はこの一作で、何故か芸能界から消えてますね。
二人とも聾唖者です。
二人の交流はあっても、台詞は二人にないです。
それが、この映画を一種の無声映画のようにしてます。
わざとその設定にした、と当時のインタビューで北野監督が言ってたと思います。
それと、これもビート武は出ませんが、出なくてもこれだけの物を作れると言うのを僕は当時感動しましたが、こないだ見直して自分自身の中でそれほど評価を上げてなかったのですが、これも『キッズ・リターン』並みの傑作です。
ゴミ収集車で働く真木蔵人が、偶然先の欠けたサーフボードを拾います。
それに発泡スチロールのような物をくっ付けて、真木蔵人は恋人の大島弘子を連れて、始めてのサーフィンします。
最初は上手く行かないし、ウェットスーツとかもないけど何度も海に入って練習します。
周りのサーファーは笑いながら観てます。
しかし、やはり先を発泡スチロールのような物では取れてしまいます。
二人でサーフィンショップで中古のボードを見るけど、八万円位します。
恋人の大島弘子が、もう少し安くならないかと言うけど無理です。
ゴミ収集の給料が入ると、二人でサーフショップで中古のボードを買います。
この二人の交流は言葉がないし、手話もありません。
ほとんど簡単な動作だけです。
そして二人の間は固く結ばれてるけど、決してベタベタした部分を見せません。
ウェットな愛情表現は無いけど、二人が好きあってるのが伝わります。
その辺りの細かい演出も、上手いなと感心します。
炎々とサーフボードを持って歩く真木蔵人を、大島弘子が付いて歩くってシーンが繰り返し出ます。
この歩くってシーンは、武の初期の映画では繰り返して出ますね。
『その男、凶暴につき』なんて、延々歩いてますからね。
武は独特の歩き方をしますが、真木蔵人は、若者らしく背をきちんと伸ばして歩きます。
徐々にサーフィンの才能を開花させますし、仲間も出来ます。
しかし、聾唖者って事での厳しい所も描かれてます。
ストーリーは、二人とそれを取り巻く人々のひと夏です。
ラストに色々な事が分かりますが、特にそれが重要ではないですね。
重要なのは、二人の若者のラブストーリーをこういう形で、ある意味クールに描いた事でしょう。
クールと言っても、熱いクールですね。
そしてキタノブルーと言われる青を基調とした映像美が、この映画では凄く有効的に使われてると思います。
キスシーンもなければ、もちろんセックスシーンもありません。
若者二人なのに、それを匂わす部分さえ無いですが、ラブストーリーです。
静かで、そして何処か熱いラブストーリーですね。
監督三作目で、こういう風に作ったのは素晴らしいですね。
真木蔵人は。その後『BROTHER』(ブラザー)でも使われますが、こちらが良いですよ。
ファッションなんかも、真木蔵人の趣味でしょうね。
上はトレーナー着て下にTシャツ着てて、それがセンスが良いですね。
真木蔵人はサーフィン上手いの有名ですから、その辺りから上手くファッションも取り入れてますね。
退屈に思う人も要るかも知れないけど、二度三度と観てると北野監督は上手いなあと思いますよ。
やはりこの映画も間なんですね。
『キッズ・リターン』よりも、更に弛い間を取りますが、この辺りが良いと思うか退屈と思うかは個人で別れますが、何故ヨーロッパで受けてアメリカではいまいち受けないかは、この間を理解できるかでしょうね。
余談ですが、北野武の娘がアメリカにいる頃に、日本人なら面白いのが有るぞと言われて薦められたのが、武の映画だったそうです。
二人の、今となっては貴重なインタビューで、娘さんがそれを言ってましたね。
この映画は、北野流の若者のラブストーリーですし、ストーリーを追わずに映像をじっくり見るように出来てます。
ストーリーが悪いので無くて、ストーリーを追わずとも二人と仲間の関係や、二人の関係は分かりやすいです。
今回見てて、意外にも泣きそうになりました。
聾唖者だからでは無くて、二人の純粋な関係を見事に撮ったな、と泣きそうになりましたね。
『キッズ・リターン』が気に入ったら、多分気に入りますよ。
年代はこちらが先ですが『キッズ・リターン』の方から勧めます。
それとこれは私感ですが、久石譲の音楽は、北野映画では前に出過ぎますね。
この映画で初めて使われてますが、北野監督も近作では音楽が余りに的に発言してて鈴木慶一を使ってるけど、それが良いですね。
これも、亡くなった若いクリスチャンの女の子が、久石譲は音楽を本当に愛してるのかと言ってて、この映画を観た時に前に出過ぎてると言ってましたが、確かに出過ぎてますよ。
宮崎駿監督では上手く行ってるけど、北野映画では久石前に出過ぎだよ。と何度か思いました。
僕が考える映画音楽は、映画を引き立てる物だと思います。
坂本龍一はそれに成功してますね。
坂本ファンの僕でも途中で、え!?もしかしたらこれは坂本龍一かな?って調べたら、坂本龍一ですね。
久石譲は久石です!と、出過ぎてますね。
あくまでも個人的意見ですが、北野武が久石譲を外したのは正解ですね。
とにかく『あの夏、いちばん静かな海。』は、ある意味究極のラブストーリーかも知れないし、無声映画のようで有りながら、愛情を描いた傑作です。
実は、凄く映画に厳しかった淀川長治さんが絶賛したのも、分かりますよ。
僕も今回又久しぶりに観て、あー!これは傑作なんだなと思った位だから、もう一度観るのもありだと思いますよ。
おわり
📖管理人・無名居士のたわ言・・・音楽でひとあそび〜サンシュユの花
2014/02/08
春
春を感じるはじまりは
なぜか
サンシュユの黄色い花
きのうのこと
サンシュユの歌がないか探してみた
3・11を追悼する歌があった
サンシュユの花
music K channel
http://ameblo.jp/music-k-channel/
📖 高山の作品から〜「濡れる穴の中 36~老害って?」
老害という言葉が、流行り始めたのはいつ頃だろうか?
僕は、政治家や公人には使うかも知れないけど、リアルでは使わないと思います。
今は、トンネル作業で難しいトンネル現場をやっているのですが、元々若い作業員を班長等に使うのが、僕のやり方です。
若いと言っても三十代後半ですけどね。
これは、トンネル業界では珍しいと思いますが、現在、十ヵ所ある現場の七割が三十代が班長ですね。
何故そうするかは、三十代後半が実は、最も乗ってる時期だからです。
仕事も覚えて体力も有ると言う時期ですし、その位の年齢でいかに年上を使うかを覚えるのは、後々良い事です。
自分自身が、フリーの時にそうでしたから、それを実践してるですよ。
しかし、今回のように難しい山になると、普段は雑工に回ってくれてる五十代後半や六十代が、経験豊かで素晴らしい働きをするんですよ。
その為に置いてるってのも有りますね。
ところが、今日、難しい山の溶接を三十初めの元気だけど少々荒っぽいのがやってて、六十代初めの作業員が、そこを溶接してどうする?アホか!と、言ったんですよ。
六十代初めの人も、今は、トンネル内に入ってるから昔の感覚が戻ってて、多少ピリピリしてます。
しかし、古い連中は、この人が、かつて凄かったのを知ってても、新しい連中の中には、雑工のおじさんと言うイメージが定着してましたし、今は、普段は非常に温厚なので勘違いしてる連中も多かったです。
僕はそれを見てて、あ!見当違いの場所を溶接してるなと思わず笑いましたし、六十代初めの作業員が怒るのは当然だと思いました。
しかし、三十代初めの作業員は、皆の前でアホか!と言われてカチンと来たのか、「この老害!」と怒鳴って、上で溶接してたのを降りて来ました。
僕は少し離れてましたが、もしもの事があったら止めようと準備してました。
三十代初めの作業員も激しい性格ですが、腕は、年齢のわりには良いんです。
しかし、六十代初めの作業員は、かつてはバリバリの腕の良い人で人を使うのも上手かったですが、相当荒い人でした。
もう二十年近く前ですが、喧嘩になって相手がスコップを振り回して来たのを、鉄筋棒を持って相手を叩き伏せましたからね。
当時、その場に居たんですが、その冷静ながらも迫力には、驚きましたよ。
三十代初めの作業員は、そういう事を知らずに降りて来ると、老害じじいが、何を偉そうにと掴みかかりました。
三十代初めの作業員が、一メートル七十五センチ程でがっちりしてます。
片方の六十代初めの人は、一メートル六十五センチ程で昔はがっちりしてましたが、今は、かなり痩せました。二人の体格差は、相当有りましたね。
向かってくる若い男に六十代初めの人は、スッと相手の腕を持つとそのまま一本背負いのように投げ飛ばして、その上から拳を一度だけ顔面に叩き込みました。
そういえば柔道経験者だったなと思いながら、その場に走りました。
思わず、笑いながら走りましたよ。
舐めてはいけない相手を、舐めたんですよ。
やられた三十代初めの作業員は、起き上がって反撃しようとしましたが、土の上に背中をかなり打ってる上に顔面にパンチを貰って鼻血が出ていて、戦意喪失って感じでした。
しばらくして起き上がると、六十代初めの作業員が、言い過ぎたなと言って頭を下げました。
そして、ところで老害ってなんだと?聞いたので、周りの連中は笑いました。
三十代初めの作業員も、こっちこそ先輩にすいません、と謝りました。
同い年の社員と二人の様子を見てて笑いながらも、やっぱりいざとなると怖いなあと言いましたよ。
昔の坑夫は、今より更に荒っぽい所に居たから、今までこの世界で生き残ってるって事は、上手くそういう荒事を交わして来たか、そういう荒事に強いかです。
しかし、今回、山が悪くなって、五十一歳の僕も、古い人の意見を聞いてます。
これは、どういう事でも言えるんですが、古い人からも良い部分を吸収して、新しい人からも良い部分を吸収しながらも行かないと、柔軟性がなくなります。
少なくともうちに居る作業員は、老害等では無くてベテランですよ。
それにしても、何かしら有ると年齢を重ねた人を老害と一概に言ってしまう風潮は、好きになれないですね。
政治家や公人には、そういうのが沢山居ますが、リアルではなるべく使いたくないですね。
何れ誰もが歳を取るんですよ。そこを分かってたら、簡単に老害等と言えないですね。
おわり
📖「ガーターベルトの女」の映画化のためにエッセイをお読み下さい・・・「ガーターベルトの女 6」
ガーターベルトの女シリーズは、もうそろそろ辞めると言いながらも続いてますが、これを書いて多分別れを書くと思います。
予定は未定ですけどね。
次は全く違うの書くかも知れないし、その辺りはブログですから自分自身次第ですよ。
Mの事は折に触れ思い出すのは何故かと言うと、自分自身が苦しい時にクールなMが助けてくれて、その後、僕も色々あって連絡取れなくなったからでしょうね。
それと、若い時期の恋の中では短かったけど、鮮烈でしたからね。
Mは、嫁にしたいタイプでは無かったかも知れないですが、二つ年下でしたが明らかにあちらが大人でしたね。
今回は、エピソードを二つ書きますね。
Mは、スナックに勤めてたけど本人ほとんど飲まなかったから、昼間に良く街で偶然車で見かけるって有りました。
飲まないから昼間も動けたんですね。
狭い街ですし、皆車がないとどうしようもないような所ですから、女性も男性も早めに免許取って車を持ってました。
当時のMは、車種は忘れたけど黒の軽自動車に乗ってました。
僕はスカイラインに乗ってて、道ですれ違う事が有ると、おっ!って感じで手をあげましたよ。
しかし、店に行くと、僕がサングラス掛けてカッコつけてた、とか言われました。
M流のジョークですけどね。
僕もそれに対して、そんなに言うなら今度追いかけて来いよ、と返しました。
僕もジョークで言いましたよ。
有る時に、非常に仲の良い作業員を何処かに送るか何かで仕事で乗せて、市内を走ってました。
前からMの車が来ましたから、おっ!と手を挙げました。
Mは、目が悪くてコンタクトにしてる事も有れば、時には眼鏡を掛けてました。
当時は眼鏡でお洒落なの少なくて、それでもMは幾つかのお洒落な眼鏡を持ってました。
基本はコンタクトでしたから眼鏡を掛けてるのは珍しかったけど、この日は掛けてましたね。
仲の良い作業員は中年でしたが、僕の彼女って知ってました。一緒に二人で飲みに行ったことも有りましたからね。
今の、彼女だろと言うからそうですねと答えたら、美人だけどあの子眼鏡を掛けるのか、と言ってました。
すると後ろでけっこう大きな音がしたのでサイドミラーで見ると、Mが車を回転させるようにしてこちらの斜線に入って来て、僕の後ろに付けようとしてました。
田舎ですから、一車線を割り込んで車を回してこちらに入って来たんですよ。
乗ってた作業員が、今の見たかと笑いました。
あの子大胆だしお前より運転上手いぞ、と言いましたよ。
この作業員は四十代でしたが、作業員の中では僕の初期の師匠とも言える人で、トンネル作業の上手さと人の使い方の上手さは群を抜いてました。
人相は悪いけど、大きな機械に乗ってる姿はカッコ良かったです。
僕に機械を教えてくれて、とにかく機械が有る時は楽をしろ、と言いましたね。
本人は、三十代はバリバリだったし、俺なんかは全国に出たら大した事がないと言ってたけど、僕とは気が合ったからか色々親切に教えてくれました。
その人が、あの子上手いなですからね。
Mは、後ろに付けるとパッシングしてきました。
バックミラーで見ると笑ってるのが分かりましたから、自販機のある所でゆっくり停めました。
Mも後ろにピッタリ付けて来ました。
僕も作業員も降りたら、Mも降りて来ました。
作業員がMちゃん凄いなと笑うと、そうでしょうとMは笑い返しました。
僕に向かって、ジュース奢ってよと言って来ました。
僕が千円札を自販機に入れると、貴方はコーヒーでしょ?、●●さんは何にすると聞きました。
作業員の名前ですが、俺もコーヒーで良いよと返しましたね。
Mは、二人の買うと作業員には手渡して、僕には少し離れた所から投げました。
お釣り貰ったと言いながら、また●●さんも来てねと言いました。
作業員は、Mちゃん眼鏡も可愛いなあと言うと、Mは、私は何しても可愛いのよと笑いながら言うと、車に乗ってそのまま去りました。
僕はお釣りは取られるし、Mの行動に苦笑いしながら車に二人で乗り込みました。
作業員の中年の人が、あの子は良い女だけどまだ、お前の手にはおえないだろうなあ、としみじみ言いましたね。
それは当たってましたね。
しかし、まさか一車線の道であんな事をするとは思わなかったから、次に行った時に危ないよと言うと、きちんと確認してるからと軽く返されました。
良く遠出をしたので、僕のスカイラインをMが運転する事も有りましたし、上手かったですね。
もう一つのエピソードは、どちらから言い出したか覚えていないけど交換日記しようと言ったら、Mが乗ってきてノートからペンまで揃えました。
二十四歳と二十六歳が交換日記、って発想が面白かったんですよ。
交換するのは、店に行った時とか会った時ですね。
周りにバレないようにしてました。
Mは、ポップなノートと色々な色のペンを揃えて来ました。
最初は、僕が真面目に映画の事を書いたりMの事をいかに好きかを書いたりしたのに、Mから返ってきたのを見て笑いましたね。
こういうお客が来て馬鹿な話しをして行ったとかですが、それがカラフルに蛍光ペンで彩られてて、その上、自分自身のビキニ姿の写真を切り抜いて貼ってたりしました。
まだプリクラとかない時代ですからね。
こういうセンスには参りましたね。
映画も二人の共通の趣味でしたから色々書いてましたが、その俳優の顔を雑誌から切り抜いたりしてました。
シールを貼ったり、とにかくポップでしたよ。
二人ともアンディ・ウォーホールのファンでしたが、Mからウォーホールは教えて貰って画集を買ったのを覚えてますが、ウォーホールが好きなの分かりましたね。
これは、僕の同僚達にも見せなかったし、交換日記の存在は知ってた人も居たけど誰にも見せてないです。
ある時、Mが店が終わったら良くジュースを飲んで、少し休んで帰るお店に行きました。
交換日記有るよ、と電話が入ったからです。
その店は深夜までやってるバーで、地方にはそういう店が少なくて、Mも時々利用してましたね。
しかし、そのバーの経営者でいつも店に居たのが僕の高校の先輩らしくて、皆あの人は怖いと言ってました。
腕に当時は珍しいタトゥーが入ってて、お洒落だけど怒らせたら大変だぞ、と言われてましたね。
その人は僕より三才程年上で、正直僕は好きではなかったですし、皆がやたらに怖れるのも嫌だな、でした。
そういう地元独特の縦関係に疎かったのと、そういうのが嫌いでしたね。
妙な縦関係がね。僕の仕事に関係有るなら別ですが、僕から見たらバーの経営者だろう、ですよ。
Mは、バーのボックス席でオレンジジュースのようなの飲みながら、本を読んで待ってました。
僕は、店に入ると同じ物を注文して座りました。
Mは交換日記を渡すと、今日は飲まされて少し酔ったと言ってたから、ジュース飲んだらその辺りドライブするかと聞きました。
Mは、車で来てたし家まで二十分程でしたが、少し位酔ったなら大抵帰ってたからけっこう飲んだのか、それとも気まぐれで会いたくなったのか、どっちかだったと思います。
ジュースを持ってきた経営者が、二人ともボックスに居ないでカウンターに来いよ、と言いました。
わりと広いバーでしたが、普段はもう一人従業員居るのにその日は経営者のその男だけでした。
お客も僕らだけでしたから、カウンターに来てくれた方が楽なんでしょうけどね。
交換日記をボックスのテーブルに置いてたら、その男が何これ、と言って取り上げました。
Mが、それは二人のものでしょと強く言いましたが、勝手にパラパラめくりました。
僕が、その手からノートを取り上げて勝手に人の見てるんじゃねえよ、と言うとカチンと男は来たんでしょうね。
トンネル屋の息子か知らないけど、最近調子に乗ってるって聞くから余り調子に乗ってると沈めるぞ、と凄んで来ました。
Mが思わず、ダサいと叫びました。
沈めるぞってのは、ヤクザまがいの言う台詞ですからね。
すると男は、お前達まだガキなのに偉そうにしやがってみたいに言うから、そんなのあんたに関係ないだろうと僕が返しました。
するとお前なあ調子に乗るなよと更に凄んで来たから、普通は人の物を取り上げて見たりしないよ、そういう常識も知らないのか、と答えました。
そして、Mの店に嫌がらせとかするなら俺の現場に差し入れに来い、と言って今日の会計も含めてだと財布から一万円出して渡しました。
これで現場に何か買って来いよ、と言って現場の場所を教えました。
この子は一人で来たけど、お前なんか来れないよ、と続けました。
男は相当カチンと来てたようで、てめえ誰に口聞いてるんだと言うから、そういう頭の悪い言い方が嫌なんだよ、と言い返しました。
Mは横で聞いててわざと煽るように笑いながら、そうだ!もっと言え、等と言ってましたね。
僕は、Mの笑いながらの煽りに思わず引き込まれて笑いそうになるのを、堪えましたね。
Mも僕も、二人ならどういう局面でも切り抜けられると思ってたのではないかと、今では思います。
僕は、それ以上居ても仕方ないから出ようと言って、現場に来たら大した物だと認めてやるけど、ダイナマイトも使ってるしダンプに牽かれないようにね、と言って店を出ました。
Mと出ると、大笑いしました。
あの人にあそこまで言ってるの初めて聞いた、と笑いました。
僕の車に乗ると、ラブホテルに行きました。
Mは、その日はしたかった日だったんでしょうね。
激しくセックスした後にMが、あの人現場に来ると思う?それとも来ないと思う?どっち?って聞くから、Mと同じ意見だよと答えたら笑いました。
結局、そのバーの経営者は現場に来ませんでした。
数年経って、その事をすっかり忘れて店に行くと、非常に気まずそうにしてました。
そこで、あ!そう言えばそういう事があったな、と思い出しました。
Mとの交換日記は数ヶ月続いたかどうかです。
最後はMが持ったままですね。
Mと居たら色々大変でしたが、刺激的でしたね。
交換日記は、多分もう捨てたんでしょうね。
しかし、当時あんなにポップな交換日記は無かったと思いますね。
その後、そのバーも今では無いですね。
おわり
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