ヤマトのお兄さんにごめんなさい
2021年3月。
昨日も深夜まで仕事をしていたが、残念ながら片付かなかった。
そのまま朝を迎え、奥さんは着替え仕事へ向かった。
家には生後6ヶ月の息子。
僕は、仕事をしたいからこの息子を寝かしつけなければならない。
しかし、息子の目はギンギンだ。
昨日もよく寝れたようだ。
ピンチ。
時間は8時30分。
締め切りは12時。
「まだ、間に合う」
作業量的にそう思った僕は、息子と散歩に出かけた。
息子は、お散歩がとても好き。
寝てくれるから、僕も散歩が好きになった。
そして、息子が寝てくれたので帰宅。
時間は9時30分になっていた。
しかし、ポストには不在票が・・。
実家の母から作った野菜やらお米やらを送ったと、そういやちょっと前に聞いていた。
ヤマトの担当者さんに電話をかけ、
「向かいますよ」と言ってもらったので、待つことに。
息子がぐっすり寝てくれたので、マットレスに息子を寝かせて僕は仕事を開始した。時間は10時。
こどもが寝てくれて静かな午前中、いいペースで仕事が進む。
「このまま!このまま!もうすぐだ!」
その時だった。
ピンポーン。
インターホンが鳴った。
と、同時に息子が泣いた。
僕は悔しさと悲しさを一気に感じ、肩を落とし、大きな声で「はあ」
と息を吐いた。
玄関に向かい、ドアを開けると、
ヤマトのお兄さんが段ボール箱を持って待っていた。
息子の泣き声が聞こえたのだろう、配達員さんが
『あ、泣いてますね、大変すね』という顔をしていた。
あの短い時間で全てを理解して
「ここ置いときますね」と、だけ言って去っていった。
段ボールを受け取り、リビングに戻る廊下を歩き、ふと洗面台の鏡が僕の顔を映した。
鏡の中に鬼がいた。
「・・・」
僕はそれを見て、「やってしまった」と後悔した。
ヤマトのお兄さん、ごめんなさい。
息子が泣いたのはお兄さんのせいではないのに・・。
むしろ、不在で、短時間で2回も来てもらったのに・・。
真っ赤な鬼の「ありがとうございます」なんて不気味だっただろう。
深呼吸をして、息子を抱っこして、泣き止ましてからアイスコーヒーを飲んで、また深呼吸した。
そして、息子を抱っこ紐で抱っこした。僕の目の前にいる息子は何も知らずに笑っている。僕は泣きそうだが。
時間は10時45分、12時までもう少し。
息子が安心する、左右に揺れながらのタイピングはなかなか難しい。
自分の父親に子供のころから言われてきた言葉がある。
「お前にとって何か悪いことが起きたとき、たいていの場合はお前が悪い」
それを言われるたびに、
「そんなことないだろ!」
と心の中で反論してきた。
しかし、お父さんの言う通りだと思った。
反省だ。
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