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社会問題が解決できることを提示した本 『社会問題のつくり方』著:荻上チキ 書評


社会を変える具体的な方法

 『社会問題のつくり方』と銘打ったこの本、社会問題を社会問題として提起し、それを解決するまでの方法と道筋が紹介されている。

・同じ問題意識を共有した仲間とチームを作る。
・その問題が一体どういう状態にあるのか調査をする。
・広く人に知ってもらうために記者会見をする。
・政治家と繋がる。
・その問題を解決するための法案を成立させる。

 そこまでの一連のノウハウが、10代など若い読者にも伝わるよう柔らかい文章とイラストで描かれている。

社会運動に起こりがちな障壁

 その活動を通じて起こりがちなアクシデントや、発生しやすい障壁も紹介されている。
 チーム内での仲間割れ、活動にのめり込みすぎてバーンアウトしてしまうこと。発生しやすい問題が事前にわかっていれば、それに対する対策を取ることも可能だ。
 
 また、社会問題を解決しようとその活動を始めようとしても、その一歩目を踏み出すことにも大きなハードルが待っている。

名前を付けて、問題を可視化する。

 それは例えば、「それはあなたのわがままだ」と、社会を変えようとする人たちを否定しようとする声だ。
 現状がおかしくても、それに従ってる自分が賢いと思いたいがために、社会運動の声を塞ごうとする。
 
 この本では、そう言った声や意識に対しても「シニシズム」と名前をつける。名前をつけることで、それらの声もまた「問題」として可視化し、その否定の声を相対化することができるだろう。

 社会を変える、社会問題を解決すると思っても、どうやってそれをしたらいいか、具体的なイメージが湧かないかもしれない。この本はそんな人のために自分が何をすればいいか、その道筋を指し示してくれる強い味方となるだろう。
 
 

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