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29歳独身、不安で眠れない夜

将来が心もとなくて、眠れない夜がある。
次の日が休みであれば、眠るのを諦める。
そんな夜に、スマホを見ていても、ますます眠れなくなるし、精神衛生上よくない。
だから、私は本を読む。深夜2時、眠ることを諦めた私が読み始めたのは、秋吉理香子さんの「婚活中毒」だ。インターネットで、婚活 小説 おすすめで検索して、出てきた。暖かいココアを片手に、読み始める。
この本には4つの短編小説が載っていた。好条件のイケメンなのに3年も結婚相談所で婚活をしている男の話。美人に弄ばれて、ブスの良さに気が付いたかと思えば、それも本当は裏で仕組まれていた男の話。リケジョが理系っぽさを生かして、理詰めで婚活パーティーに参加する話。親が子供の代わりに代理婚活をする話だ。
どれも、最後にどんでん返しがあって、すごく面白い。婚活中の男女の心境も、共感できるものもあれば、個性が強すぎて笑えるものもある。
婚活は将来が見えなくて、不安になることが多い。時に眠れなくなる。
そんな日は、婚活自体を物語にした小説を読む。そうすると、みんな悩んでいる、私だけじゃない、と少し安心できる。
人と出会うことは、本来、物語が生まれるような楽しいことのはずだ。悩んでいるのは私だけじゃない、孤独なのは私だけじゃない。
カーテンの隙間から見える空が白み始めたころ、私は少しだけ安心して眠りにつく。

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