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リワーク日記104 リワークで学んだことで社会復帰後に役立ったこととその限界

以前、リワークのイベントで卒業生として現役生を前に社会復帰体験を話したことがあります。現役生たちから質問攻めにあってひたすら90分間答え続けるという、なかなかスパルタなイベントでしたが、自分自身でも良い振り返りにもなり、また当時一緒に通っていた仲間に会えて刺激になりました。

実はそこで受けた質問というのが、このリワーク日記で閲覧数の多い記事と重なっている、というのは面白いなと密かに思っています。多くの人が同じところで不安を感じたり迷ったり悩んだりしているということを示しているからです。まさにその空白を埋めようとしているのがリワークというサービスなのだと言えるでしょう。悩みは深く苦しみは尽きませんが、決して1人ではないと思って前進していけると良いですね。

で、今回のテーマである「リワークでの取組みで実際に役に立ったことは何か」というものはそのイベントで多く聞かれた質問です。リワークに通っている最中はどうしても先が見えず、正しく前に進めているかどうかもわからないものです。本当に今リワークでやっていることが役に立っているのかというのはとても気になる部分です。私もその気持ちはよく分かります。

そこでこのリワーク日記でも書いておこうと思ったというわけです。自分の選択と今の取り組みが未来につながるのだと自信を持てるようになったり、どのようなメニューに力を入れれば有用なのかをあらかじめ把握してリワークに臨むことはとても意味のあることです。またあるいは、リワークではできないことや限界についても私の考えを書いておきます。このことについてもあらかじめ頭に入れておくことで社会復帰の段階での戸惑いや困難を軽減できると思うからです。あくまで私の私見ではありますが。

それでは早速本題に入ります。

私が考えるリワークでの取り組みで役立ったことは、まずストレス対処法を身につけられたことです。これにより仕事のストレスとの付き合い方がうまくなったと思っています。

仕事のストレスって一口に言っても色々ですよね。業務量、業務の難易度、目標達成へのプレッシャー度合い、業務処理に期待されるスピード、結果が及ぼす影響範囲と深刻度、人間関係の難しさの度合い…。ストレスを感じやすい項目は人それぞれですが、自分なりの対処の仕方を見つけて習得できたのは大きかったです。メンタル不調に陥る前よりもはるかに楽な気持ちで仕事に取り組めるようになりました。

それに、このことは単にストレス対処という枠を超える効果をもたらしてくれていると私は思っています。ストレス対処の最初の応急処置は自分の気持ちを落ち着かせることですが、これを日常的に繰り返していると自然と自分をケアして大事にする姿勢が定着してきたと思うのです。他の人の都合ではなく自分の心身の健康を大事にする気持ちと行動が育ってきています。幸せの基盤になくてはならない姿勢ですね。

具体的なストレス対処法はここでは省きますが、リワークでは色々な方法を教えてもらえます。実際に試してみて自分に合うものを見つけられると良いと思います。

次に役立ったことは、他の人の意見を尊重しながら自分の意見を言う姿勢が身についたことです。これはリワークのグループディスカッションと、アサーティブコミュニケーションの訓練の成果です。

仕事の現場って、「他の人の意見を尊重」なんてことからはほど遠い世界ですよね?いつもどちらが優れているかの競い合いだったり、どちらが声が大きいかだったり、いかにやり込めるかの勝負だったりしませんか?

そういうバトルが苦手だから私もついつい自分の主張を抑えてしまうんですが、我慢はアルコールと同じで、少量・適量なら周囲の人との関係を和らげてくれますが、本質的には自分に害を与える危険な毒ですのでやりすぎは御法度です。

私が通所していたリワークでは、グループディスカッションの時に他の人の意見を否定せず拍手して受容するというルールがありました。ですから必ず自分の意見を言うのは、他の人の意見に拍手をした後でした。この拍手と受容が「尊重」なのは言うまでもありませんよね。これを続けると、どんな意見であってもまずは否定せず受け止めるのが普通になります。で、そのあとで「それでは私の意見は〜」と自分の主張を話すという流れが自然とできるようになります。

そう、お気づきの通りこの一連の流れが、相手の意見を尊重しつつ自分の意見を主張する、という訓練になっているのです。競い合いやバトルではなく、少なくとも自分としては弱肉強食のバトルではないという認識のもと、意見を主張するというスタンスですね。実社会の相手がどう認識しているかは別問題ですし議論の結果がどうなったかはさらに別問題ですが、最低限、自分の意見を社会に向かって口に出したという事実は素晴らしく大きな意味があります。自分の意見を尊重することができたということですから、これも自分を大事にする素晴らしい行いです。我慢という毒を減量できていますしね。

そして意見の言い方についてはアサーティブコミュニケーションがとても役立ちます。アサーティブコミュニケーションは言い方のテクニックだけでなく、相手を尊重しつつ自己主張するという姿勢自体も含みますので、実際にはアサーティブコミュニケーションの理論をグループディスカッションで実践訓練するというイメージでしょうか。アサーティブコミュニケーションという単語を唐突に使ってしまいましたが、これについてはまたそのうち書いてみたいと思います。気になる人は調べてみてください。自分も相手も満足というコミュニケーションを目指すメソッドで、とてもおすすめです。身につければきっと自分も周囲も幸せになれるでしょう!

さて、そんなお役立ち訓練満載のリワークですが、もう一方では限界も抱えています。世の中完璧は存在しません。リワークにもカバーしきれないことがあって当然です。

私が考えるリワークの限界は、実際の職場での仕事のハードさを再現した訓練まではできないことです。お仕事を模した模擬業務訓練はありますが、実社会のあの戦場の最前線のようなハードな環境・条件を再現することは不可能です。模擬業務訓練はせいぜい職場復帰後の「慣らし勤務」に移行することを目指した穏やかな水準のものに留まります。ですから、復職ではなく転職を選択する場合は慣らし勤務が期待できない分、リワークでの訓練と実際の実務の現場の間にある大きな落差にいきなり直面して苦労することになってしまいます。

この落差を埋めるサービスはおそらく存在しないでしょうから、どこかで思い切って飛び込むというステップを踏まざるを得ません。できることと言えば、リワークで習得した技術をフル活用して可能な限り着地の衝撃を和らげることくらいでしょう。過剰に恐れる必要はありませんが、このことはあらかじめ頭に入れておくとリワークで社会復帰後を見据えた備えをすることができると思います。

まあ、リワークを卒業した後でも、私がそうしているようにリワークのアフターフォローを受けることもできますので、必要以上に心配しなくても良いと思いますけどね。いくら自分の人生だからといって全てを自分ひとりで抱え込むことはありません。もし今あなたが専門医による治療を受けたりリワークを利用しているなら、すでに「外部の専門家の力を活用して自分の人生をより良いものにすること」を実践できているのですから、今後も同様に専門家の力を借りましょう。リワーク利用の最大のメリットはもしかしたらこの「自分の人生を背負い込む生き方」を捨てられたことかもしれません。誰にでも味方はたくさんいます。

ということで今回はリワークで役立ったこととリワークの抱える限界についてお話ししました。いかがだったでしょうか?ぜひ参考にしてみてください。それでは次回もお楽しみに!!


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