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EFFによる政治キャンペーンの解説 数千億円のデータ市場、コネクテッドTVから視聴履歴に合わせた政治広告

EFFがアメリカの選挙において、どんなデータがどこから集められてどのように利用されるかを解説している。

How Political Campaigns Use Your Data to Target You
https://www.eff.org/deeplinks/2024/04/how-political-campaigns-use-your-data-target-you

●概要

中露イランが行っているデジタル影響工作(合法なもののみ)に似ている一方、政党や政治家だからアクセスできる情報もある。ほとんどの州では有権者の情報を候補者が購入できるようになっている。それ以外にも州法について市民が投票することができる場合、その投票データを入手できる州がある。
また、過去に指示ている候補や政党の活動に参加したり、署名したりしたことがあれば、その情報がわたることもある。そうした活動ではデータの共有について断り書きがあるのがほとんどで他のキャンペーンに利用される。
選挙向けのデータブローカーも多数存在している。その数は2020年の段階で37。これらに2300万ドル(日本円で約35億円)が支払われていた。データはスマホ、ブラウザのクッキー、SNSプラットフォームからのデータなど一般的なものから、選挙に特化したものまでそろっている。
こうしたデータブローカーは、そのうちの1社であるTargetSmart は1億7,100万件の電話番号を保有しており、i360 は2億2,000万人の有権者のデータを持っている。また、L2 の「National Models & Predictive Analytics 」のページには「Voter Fraud Belief」や「Ukraine Continue 」のような詳細を含む、興味、人口統計、政治的イデオロギーに関するデータがある。
ネットに接続しているコネクテッドTVには視聴履歴と位置情報に基づいて広告を流すことができる。
そして、大手SNSプラットフォームには1社あたり日本円で600億円から700億円の政治広告を出稿する。

記事では最後にプライバシーを守る方法を細かく解説している。

●感想

ふつうに考えて、アメリカの選挙に使われているデータはかなり貴重なものが多く、候補者や関係者が閲覧、利用可能可能ということは、中露イランのフロント企業や協力者を通して中露イランにわたっている可能性が高いと考えられる。特にデータブローカーからは入手しやすそうだ。
そのデータがわたっていて、ケンブリッジ・アナリティカや中露イランのデジタル影響工作に効果があるとすれば、中露イランは自由にアメリカの世論を動かせることになるんじゃないだろうか?
あなたがSNSやTVを利用している時、SNSやTVもまたあなたを利用している。

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