記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

【レビュー】『夏へのトンネル さよならの出口』

ほとんど本を読んでこなかった人間がポツポツ読書を始めました。
そんな人間によるレビューです。カナリ個人的で的外れな内容もあるかと思いますので、その点ははじめにお断りしておきたいと思います…。
(読書記録も兼ねている為、ネタバレを含みます。お気をつけ下さい)


『夏へのトンネル さよならの出口』
八目 迷 著 レーベル:ガガガ文庫 出版社:小学館 2019/7/18


●この本について

第13回小学館ライトノベル大賞のガガガ賞と審査員特別賞のW受賞を果たした話題作だそうです。
アニメ映画化もされた作品。
SF・青春ストーリー。

●あらすじ

父と二人暮らしの高校2年生の塔野カオルは、ある日中に入ると欲しいものが手に入るという「ウラシマトンネル」の存在を知る。
東京からの転校生花城あんずは、強い意志を持つ人物だが、本心を語れる相手はおらずクラスにも馴染めず一人浮いていた。
そんな二人はひょんなことから互いの願いをかなえるため、中に入ると欲しいものが手に入るというその不思議なトンネル「ウラシマトンネル」を探索することになる。
しかしそのトンネルに入っている間は通常とは違う流れになるらしく…。
現実の時間を消費してまで二人がそれぞれに欲するものは、それだけ二人にとって大事なものだった。


●レビュー

★★★☆☆(星3つ)
オーディオブックで家事しながら聞いた本。
私はあまりSF小説は読まないのだけれど、オーディオブック内で装丁が綺麗&意味深だなぁと思って読んだ(聞いた)。

話はSFとはいえ主人公からの目線でしっかり説明されていくし、比較的分かりやすかったかな?と思うけれど、やはりラストはSF故の現実離れし過ぎ感の強い展開…という気がしてしまった。

私は終わり良ければ全て良し!な単純な人。
途中はなかなか面白い展開でも、終わりが自分の中でスッキリ出来ないと自分の中での評価は下がる…。
今回はハッピーエンドの部類ではあったので、悪い印象ではないのだけれど、現実の中で生きている私にとって、ラストのハッピー具合は現実としてどうかという基準で見てしまったのでやはり満足はできず。
頭では本人達が幸せなら良いとは思うのだが、本当にあの姿と年齢がチグハグなままで過ごしていけるのか?と思うと疑問が残る。「本当に幸せになれるのか…?」と思ってしまう自分がいる。
モヤモヤとまではいかないけれど、しっくりとは来ていない感じ。

でも、登場人物達は面白かったと思う。
一人一人、人間味もあったし、人間関係もなかなか。
「あるよねぇ〜」というポイントが多くあったし、どの登場人物も彼らなりのハッピーに終わっているように思う。
だから★4つと迷ったのだけれど…読後感はやっぱり気になるな…と思って★3にした。

感じたままを素直に楽しめない嫌な大人になる前ならもっと楽しめたかも…という印象。

青春の物語としての内容は満足できた。

●真似したい点

・登場人物一人一人のキャラとその関係性
・SF部分の臨場感
・みんながみんななりのハッピーエンド

●う〜んな点

・登場人物の家庭状況が辛い…
・ラストはそれで良いのか…?
→私なら、最後の幸せは玉手箱的に実年齢に合った姿に戻れるアイテムを配置して、現実を生きやすくする
・誰を対象にした作品なのか分かりづらい
→学生にしては家族の問題がなかなかヘビーな気もするし、大人にしては幸せってそれで良いのか?って気もする

●感想・気付き

レビュー部分既に結構言ったのだけれど笑、SFはやっぱり苦手かもなという印象を抱いてしまった。
途中までは現実離れして独特の世界観に浸れて面白いのだけれど、最後は現実に戻って欲しい。
今回は中途半端に現実離れしたままな部分があったように思って残念な気持ちになってしまった。

私のSF作品の見方が悪いのかもしれない。
ほとんど見たことがないから…。
私は、今回の作品のように初めは現実世界と同等の形から始まるのであれば、最後は現実に戻って欲しいと思う。
初めからその世界に放り出されるのならその世界で終われば良いと思うのだが。
私は現実主義者ではない(どちらかと言えば夢や妄想ばかりだ笑)が、それでも映画が終わると現実世界に強制的に引き戻されるわけで、SFってどうやって作るのだろう…と作り方の方が気になった。
こういう不満・悩み・モヤモヤ・壁のようなものがあった時に思いつくのかな?

私ならどういう場面でどういうお話を考えるだろうか?
拙いお話でも勝手に空想を膨らませたら現実逃避できたり、イライラが軽くなったりするかもしれない。
ちょっと考えてみようと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?