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【レビュー】『成瀬は天下を取りにいく』

ほとんど本を読んでこなかった人間がポツポツ読書を始めました。
そんな人間によるレビューです。カナリ個人的で的外れな内容もあるかと思いますので、その点ははじめにお断りしておきたいと思います…。
(読書記録も兼ねている為、ネタバレを含みます。お気をつけ下さい)


『成瀬は天下を取りにいく』
宮島 未奈 著 新潮社 2023/3/17


●この本について

著者のデビュー作にも関わらず様々な賞にて14冠を達成した作品だそうだ。
私がこの本を知ったのは2024年の本屋大賞の受賞作だったから。
本屋でも一番目の付く場所で取り上げられていたし、オーディオブックのトップページでも大々的に取り上げられていた。

●あらすじ

一風変わった主人公の成瀬が自分の興味関心の赴くまま突き進むお話。

※ただ、物語の進み方は成瀬からの目線だけではない。
幼馴染で仲の良い島崎や、成瀬のことをよく思っていないクラスメイト、年齢の離れた成人男性、別の県に住む高校生など…成瀬の身近な人や遠そうに思える人など。
初めは唐突に知らない人の話に変わってしまった⁈と驚いた部分もあったが、最後には成瀬と関わりを持つことになるので、読み進めていくにつれ話がつながっていくのは面白い。

●レビュー

★★★☆☆(星3つ)
オーディオブックで家事しながら聞いた本。
面白かったと思うし、続きは読みたいと思うけれど…私は星3つにした。
やはり章が違ったりのちに話がリンクしてくるとはいえ、主人公以外の目線というのがいきなり始まるのは慣れなかった。
しかし主人公の設定は面白い。
成瀬自身の個性は相当に強く、予想の斜め上をいかれ、次の言動はなんだろうかと楽しみになっている自分がいた。
続編を出すとしたらいくらでも話をもっていけそうな終わり方だった(ある意味話の途中で終わったような感覚でもあった)から、続編が出されることに期待したいが、やはり最後の終わり方は残念に思ってしまった。
もう少し「ここで終わり」ということがハッキリ分かる終わり方にしてもらえたら、読了感を味わえたのではないかと思う。
青春の物語としての内容は満足できた。
こんなに自分のやりたいことを全うする人生なら楽しいだろうなと思う。

●真似したい点

・異なる視点で進むストーリー
・主人公の奇抜さ
・キャラクターの姿まで想像できるところ
・続きが書けそうな物語設定

●う〜んな点

・読了感が欲しい
・成瀬のことが嫌いなクラスメイトとのやりとり
→他の章と違ってここだけ少し雰囲気が違う気がした。成瀬を気に入らない者の視点は必要だと思うけれど、成瀬との接点の割にはこのキャラの事情を書いた文が多いような気がする

●感想・気付き

今回はミステリーではない青春のお話。
こういう話も結構好きだけれど、やはり読書によって他の人の人生を垣間見られるというのは楽しいなと思う。読書(小説)を読む意義を改めて感じた一冊だった。
成瀬がこの後どうなるのか、先のお話もぜひ読みたいところだ。

成瀬のことをうらやましいと思う部分もあった。
あれだけやりたいことをやり通して、さらにそれで成果を上げられる人はなかなかいない。
小説ならではのキャラと言ってしまえばそれまでだけど、やはりその部分をうらやましく思う自分がいるということは、今の自分は「やりたいことはあるのにやれていない」状況にあるという証拠でもあると思う。
ミステリーのように、後々キャラクターが接点をもっていく部分は面白かった。
今回はオーディオブックでの読書だったのだけれど、ミステリーの時ほど効果音の凄さ・リアルさは感じなかった。
ただ、やはり何かをしながら物語の世界に浸れるのは魅力だなと思った。

ぜひまた成瀬節全開のお話が読めることを期待している。

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