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上阪徹「子どもが面白がる学校を創る 平川理恵・広島県教育長の公立校改革」

・本書は、当時49歳という若さで広島の教育長に就任した平川理恵氏が、この4年間(2018年〜2022年)の間に広島の教育改革の成果について、ブックライターである著者がまとめた1冊。

・平川理恵氏は、大学を卒業後、リクルートに入社し、営業担当として活躍し、アメリカ留学を経て、独立起業した後、神奈川県の中学校長の公募に申し込み、8年にわたってさまざまな改革を手がけていった。その改革の詳細はこちら。

①世界で初めて、生徒全員が世界水準の探究的教育プログラムの「国際バカロレア」を履修する全寮制の中高一貫教育校「県立広島叡智学園中学校・高等学校」を設立。

②2022年4月に公立として初めて、異学年の子どもでクラスを編成しら個性を尊重しながら自律と共生を学ぶカリキュラムの「イエナプラン教育」の学校「常石ともに学園」を設立。

③校長の3割が女性(2019年度が30.4%。全国平均が16.1%)

④県立学校におけるコミュニティ・スクール(保護者や地域住民が学校運営に参画し、学校や教育が抱える課題を解決し、子どもの成長を支援する仕組み)の、設置率が100%。

⑤教職員の懲戒処分件数が、2017年度は16件、2020度は8件に半減。

⑥スペシャルサポートルーム(通称、SSRで、子どもが登下校の時間や学習内容を決めてら校内で過ごせるスペース)による不登校対策で通学を促し、不登校児童生徒数ならびに長期欠席児童生徒数が減少した。

・また、平川氏は中学校長として8年間過ごした際、図書館のリニューアルが子どもの学習意欲を大きく高めたことから、図書館のリニューアルに力を入れており、リニューアルしたことで、1日20人程度だった生徒の訪問が、150人にまで増えた学校もある。リニューアル後の図書館は、本の探しやすさや品ぞろえ、過ごしやすい雰囲気があり、それが子どもたちの知的好奇心をくすぐる。また、ある学校の1万5000冊あった蔵書は、思い切って5000冊に減らされ、新たに数百冊が加わり、古くて背表紙が読めないような本はすべて処分された。すかすかになった書架では、生徒たちが興味を持ちそうな本が、書店のようき表紙を表にして置かれている。書架を白くしたことで、本は目立ち、目に留まりやすくしている。しかも、科学や料理ら特撮ヒーローなど、物語や伝記から遊び心のある本まで並んでおり、子どもたちも「ちょっと見てみよう」と気になるような空間となっている。
※どんな図書館になっているかは、本書をご覧ください。

・本書では、「女性で民間経験を持つ県の教育長は広島の教育の何を変えたのか」「オランダの視察から生まれた「異学年集団」への挑戦」「次世代リーダーのための公立の国際バカロレア認定校」「商業高校の生徒たちの目の色を変えた授業」「図書館が変われば、学校が変わる」「子どもを縛らない、高校入試改革と不登校対策」といった章で構成されており、民間企業の経験者で、当時49歳の若さで教育長に就任した平川理恵氏がどのようにして広島の教育を改革していったのかについて書かれた内容となっている。

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