今までやってみた小説同人誌装丁まとめ
趣味が昂じ、小説同人誌(夢小説)をこれまで6冊出しました。振り返りの意味もこめてまとめてみようと思います。
一気に眺められると単に私が楽しいからというのと、初めて同人誌を作った際いくつかの壁にぶつかったとき、同人先達の有益すぎるブログやサイト等の記事に何度も助けられたからです。こうやって書き残すことで、少しでもどなたかのお役にたてましたら非常に幸いです。
1冊目 A6(文庫版)小説本
初めての同人本です。
右も左もわからずで失敗は目に見えていたため、穴が空くほど様々な印刷所のヘルプページを読み、インターネットの海に残るノウハウを読み漁って作ったものです。
当時はまだ物理本の作成に全く慣れていなかったため、「小説同人誌は文庫本形式でなければならない!」(←決してそんなことはない)との頑強な意志のもと作りました。ですので一般の、書店に並べてあるような文庫本みたいなかたちを再現しようと非常に頑張った覚えがあります。
一般書籍っぽさを醸し出すのに何役もかっているバーコードはISDN(国際標準同人誌番号)です。これがあるとグッと商業誌っぽく見えますね。申請から登録まで迅速に対応いただき、いつも助かっております。
この設定をするのに本当に苦労しました。
何度やってもなんとなくしっくりこず、最終的に手持ちの文庫本を何冊か定規で計って、「それっぽく」なりそうな値を出して決めた設定になります。(試し刷りをするという概念が当時はありませんでした)結果ぎゅうぎゅうすぎでもなく、スカスカすぎでもなく、悪くないじゃないかなと。以降、一段組の本はこの設定を踏襲して作るようにしてます。
2冊目 A5小説本
こちらは初版と再版をかけて、その2回ともプリントオンさまの「わくわくドキドキDXセット」を利用し装丁をお任せしたものです。
上記のとおり、装丁はおまかせゆえ初版と再版で仕様が異なります。写真は初版分。“愛”に赤い箔押し+浮き出し加工まで施していただきました。かわいいよね。
pp加工もマット加工も表紙にはついていなかったのですが、マーメイドスノーホワイトの紙の画用紙のような質感を残すためには納得です。ただし筆者は手汗をかくので、写真のとおりOPPのカバーをしてます(いらん情報)
再版分は写真に残すのをうっかり失念していました。今手元に一冊もないのですが、仕様だけはメモっていたのでこんな感じです。
初版分と違う仕様のところを太字にしました。
マットppがついてるのは、やはり表紙の用紙の関係のように思います。筆者は個人的な好みでクリアppのが同人誌っぽくて好きで、自分で装丁を考えるとどうしてもそちらに傾倒しがちなのですが、マットppもいざ手に撮って見ると上品な感じで非常に良かったです。こういう出会いもわくわくドキドキDXセットの醍醐味でしょう。
そして箔押のリフレックスレッド。
初版の赤箔押しにダイヤっぽい柄がついてるようなイメージです。これも華やかでかわいい!(写真を撮っておけとあれほど)
「見開きで2話!やむを得ない場合でも1話!ページまたぎは絶対にやらない!」という謎縛りプレイをしなきゃいいのに自分に課したため、こうしてみるとかなりギチギチなレイアウトになっているような気がしなくもないです。
ただ地とノドに関しては頑張って努力した跡が垣間見えるように思います。
3冊目 A5小説本
作るつもりは全くなかった突発季節本です。オレンジ工房さまのチョコレートボックスセットなるものがX(当時Twitter)で流れてきて、かわいすぎるやりたい~!!となって書き始めました。そういう意味では物理本ありきの作品でした。
表紙の色とインクがセットで決まっており、フルカラーは端から想定にないセットだったので楽勝かな!と思っていたのですが…甘かった。私は絵を描けない(というか、字も下手くそでペン状のものの運指そのものが苦手)ので、まず白黒原稿を準備するのがハードルが高かったです。いい感じの写真をベタッと貼ってごまかすというのも出来ず。
結局、迷走しまくったのち、可愛いレースのモノクロ素材をお借りし+可愛いフォントでうまいぐあいに仕上げることができました。
中の遊び紙はミランダしんく。ミランダは紙の中に細かいガラス片みたいなキラキラ微粒子がちりばめられている紙で、本当に可愛いし高級感があって好きです。
本文の段組みは前のものを完全に使い回しています。ここらへんから本づくりにこなれてきた感が多少あります。
また、本文の用紙とインク色は薄いピンク(さくら)色に焦げ茶色のインクを選択しました。焦げ茶色の色も結構濃い目なのでぱっと見は黒字に見えますが、目を凝らすと見えるねってレベルなので見づらかったりはしないと思います。チョコレートっぽくてかわい~。オレンジ工房さんはバレンタインデーのほかにも、このような期間限定の企画をしてくださっているので見るだけで楽しいです。
4冊目 A5小説本
成人向けの短編本を出しました。(なので本文の写真はございません)楽しくて明るい感じを出したかったため特殊加工は絶対箔押しにしよう!表紙もpp加工しなくていいからなんかこう…よくわからんけどキラキラなやつにしよう!というコンセプトのもと、偏光ラメペーパー表紙+箔押しをチョイスしてみました。
写真が拙く、伝わりづらいのですが偏光ラメペーパーとはその名のとおりラメが紙の中に含まれていて、角度を変えるとキラキラときらめきます。細かい微粒子のラメが入った、パール地のマニュキアのボトルを動かしたときみたいな感じです。伝わってくれ…液晶の表現の限界がもどかしい!
ホログラム箔はドットパープルです。こちらは缶バッジとかでもよく見る気がするのでイメージがつきやすいと思うのですが、傾けるとドットが虹色に光ります。
遊び紙はこういうのにしてみました。
トレーシングペーパーの遊び紙が♡の形で切り抜かれています。ぴったり密着させれば文字が読めるけど、写真みたいな感じで浮かせるとすりガラスみたいになって見えない。見えそうで見えない。
5冊目 B6小説本
初の試みのB6サイズ本です。ユリ○カ的なサブカル雑誌のような冊子をイメージして作りました。裏表紙のデザインもそういう感じで作ることを試みています。(脱線しますが、ここ2,3年でよくみられるようになった
文字の後ろに帯みたいな背景がある装飾ってなにか名前あるんですかね)
話の中で渋谷を舞台にする一幕があり、暑い中わざわざスクランブル交差点まで写真を撮りに行きました。配布または販売されている写真素材と違って、自分の満足のいくイメージが再現できるまで何度でもチャレンジできるというのと、何より自分が撮ったやつので規約等に敏感にならなくて良いのが最高のメリットですね。デメリットは疲労か。
市販されている本でB6の1段組の本ってあまり見ずまたもや苦戦。何度も試行錯誤しながらようやく納得いった感じです。フォントが源映ちくご明朝に突如なっています。ちくご明朝の方が若干、気持ち、こぶり明朝より縦長で流れるようなイメージかな。
本文用紙には上質紙を使いました。上質紙は真っ白色の紙で、小説本であればどちらかというと黄味がかっている紙のほうが目に優しいとされているのですが、この本はサブカルぺーバーバックっぽさを念頭におきつつ作ったため、紙もあえての選択をしたつもりです。目安として100ページを超えたら(=紙と目が向き合う時間が長くなったら)諦めようと思ったので頑張ってそれ以内に収めました。
6冊目 A6(文庫版)小説本
A6、A5、B6ときて初心に帰りA6文庫版です。こちらが三人称視点で進行するやや堅めな作品であるため、製本するなら絶対に文庫本、何があっても文庫本!!と、かなり序盤の段階から装丁を意識して書いていました。こういう、作風によってなんでも好きなようにできるのが同人誌作成の本当に楽しいところですね。楽しいなぁ~…
例によって成人向け作品のため本文の写真はありませんが設定は下記です。1冊目の設定を使いまわしてます。
さて、以前作った文庫版と今回のを合わせて2冊を本棚に並べてみるとこんな感じです。
こうしてみると一作目(「ひとつ屋根のした」の方)はまだ不慣れ感が主に背表紙のあたりに漂っています。市販の文庫の背表紙と見比べたら一目瞭然ですが、意外と背表紙のフォントサイズって実はそんなに大きくはない。二作目耽溺の海はそこらへんがクリアできているので、本棚に収納した際の擬態レベルが上がったように思います。
そして文庫本にありがちなアレもやりました。既刊の紹介のやつ。
本当は5冊出しているんですがあえてノーカンにしてる作品もあります。タイトルのテンションがあまりにも違い過ぎて載せられなかった。
以上長々としゃべってしまいましたが、総括すると自分の思い通りに本作るの、楽しすぎ~!!というひとことに尽きます。
最初の一作を作ることができれば、あとは転用できるところ(文字組とか)もあるし、何より手に取れるという物理的な存在になるのが何よりも嬉しいです。最近は多忙で本を作るどころか、文章さえ書けていないのでまた時間を見つけて理想の同人誌を作りたいものです。次なる目標は箔押しをもう少し効果的に使うことです。
ここまでご覧いただきありがとうございました!
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