マーケティングで忘れがちな「好意度」が実は一番重要だというお話。
「マーケティングで重要なポイントは何ですか?」
回答は多種多様だと思います。
ただ最も多いのは「認知」という回答ではないでしょうか?
マーケティングといえど、「知られる」ことが最初の起点になりますし、AIDMAやAISCEASに代表される顧客行動を示したファネルでも、認知を最大化できれば最終的に成果も最大化されるように設計されています。
しかし私は、マーケティングで最も重要なポイントは「好意度」であり、認知をいくら獲得できても、成果につなげるのは難しいのではと考えています。
今回はそんな「マーケティングで忘れがちな好意度が実は一番重要だというお話。」ができればと思っています。
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「マーケティング=認知」と考えてしまう
マーケティング努力の方向性が次第に「いかに認知を高めるか」という部分に注力してしまいがちだと考えています。
私自身、以前運営していたECサイトでは、いかに認知を取るかを意識しすぎて失敗してしまった経験があります。
漠然と「マーケティング=認知の拡大」と考えていました。「認知が最大化されれば、最終的な購買も増加するだろう」と考えていたのです。
お金もない中だったので、まずはSNS運用に全力投球することに決めました。明確に認知度を測る指標は持ち合わせていなかったものの、ある程度いいねやコメントはもらえるまでに成長しました
しかしながら、全く商品は売れず、結局撤退してしまいました。
目指すべきは「買ったことないけどなんだか好きなもの」
私が今タイムリープできたとして、以前の私に最も伝えたいことは「認知だけでなく、顧客のなんだか好きだなという感情にフォーカスしよう!」です。
結局、いくら認知が獲得できていても、興味を持ってもらえなければその先の購入にはつながりません。
例えば
CMで見たことはあるけど買ったことないし、詳細も知らない
話には聞いたことあるけど、買ったことないしよくわからない
といった商品は数多とあるのではないでしょうか。
この原因はズバリ、「購入前ユーザーへのブランド体験」の設計不十分で興味喚起や理解促進ができていないことだといえます。
つまるところ、広告のバナーをクリックするのも、流れてきたSNSの投稿に目が留まるのも、アカウントをフォローするのも
「この会社なんだか好きだな」
「最近よく聞くし、なんか勢いあるな」
「この会社最近話題っぽいな」
といったブランドに対する興味と好意度で決まっていると考えています。皆さんの日常生活でも心当たりがあるのではないでしょうか。
上記のようなファネルを左から右に推し進め、最終的に顧客に購入してもらうには知ってもらう努力だけでは不十分です。
購入前のターゲットに対してブランドとしての体験を設計し、「買ったことないけどなんとなくあのブランド好きなんだよな」を狙っていくことが大事だと考えています。
これが今回私がお話したかった「好意度が一番大事」というお話になります。
ブランド体験を設計するうえで大事なこと
ここまで好意度を上げるために、購入前の顧客へのブランド体験が大事というお話をしてきました。
そのブランド体験を設計するためにはまず、私たちはすべてのものに「態度」を形成しているということを知っておく必要があります。
例をいくつかあげましょう。
掃除機と聞いたとき多くの人はダイソンを思い浮かべ、「吸引力が何やらすごいらしい」と認識している
Appleに対して「スタイリッシュ」「シンプル」「デザイン性に優れている」という認識を持っている
スタバに対して、「価格が高い」と感じている人もいれば、「毎日でも行きたい」と感じている人もいる
など私たちは様々な商品・サービスに対して何かしらの態度を形成しています。そして、それらは多くの人の間で統一されているときもあれば、千差万別な時もあります。
またこの概念についてとても興味深い研究があります。
それが、『態度の源泉 (base)は「認知的評価」と「感情的評価」の 2 つに分類できる』というEdwards, Kari(1990)による研究です。
簡単に言うと、私たちは「この商品は良い、悪い」というだけでなく、同時に「好き、嫌い」「楽しい、楽しくない」「面白い、面白くない」といった感情的な印象も抱いているということです。
この研究に関してトライバルメディアハウス代表の池田氏がこちらで分かりやすく図示していました。
少し上の図を解説すると
良い商品と認知されていて、かつ好きだと思われている商品は理想的な商品で、質も高く好きな人も多い商品。こういった商品は新規売上もその後のリピート売上も高い傾向にあります。
良い商品なのに嫌いと思われている商品は買われるポテンシャルはあるものの、手に取ってもらえることはあまりありません。
あまりよくない商品ですが、好かれている商品は一時的なブームなものが多いです。新規の売上は大きいですが、その後、リピートしてくれるかといえばそうではありません
商品としてもよくなく、嫌われている商品は早急に商品の改善が重要になります。
このように、私たちはすべてのものに対して何かしらの態度を形成しており、これは購入前、購入後に限らず好意度と密接に関係しています。
私たちは日々の企業活動で、可能な限り右上の部分、いわゆる「商品としても良いと評価され、かつ好きだと思われている」という状況を目指すべきです。
そのためには図で表している通り
商品をよいと思ってもらえる努力
ブランドや商品を好きだと思ってもらえる努力
の2つが必要になってくるでしょう。
つまり、「良い商品」でかつ「このブランドが好き」という両輪を常にユーザーへ訴求しつつづけることが大切なのです。
カギは「フリクエンシー」と「コンテンツ」
最後に、「良い商品」でかつ「このブランドが好き」と思ってもらうためにできることについてお話します。
それが「フレクエンシー」と「コンテンツ」です。
フリクエンシー
フレクエンシーとは接触頻度の事を示しており、「どれくらいの頻度でそのブランドや商品に触れたか」が重要な指標になります。
この指標は、人間の好意度は「対象との接触回数」で決定されるという単純接触効果に基づいています。
この単純接触効果を高めるためには「マルチチャネルでのコンテンツ発信」を行うとよいでしょう。
このマルチチャネルのコンテンツ発信でいうと、BtoB企業であればマーケティングコンサルティング会社のsairu、Btoc企業であればユニクロやZARAといったアパレルが有名です。
マルチチャネルでのコンテンツ発信とは、GoogleからX、YoutubeからInstgram、そしてFacebookまで様々なチャネルで発信を行うことで「どこに行ってもその情報がある」という状態を作り出すことです。
こうすることでユーザーとの接点の数と回数が多くなるため、必然的にフリクエンシーを高めることができます。
とはいえ、すべてのチャネルをハックしていくのは果てしない時間がかかりますし、かかる工数も時間も計り知れません。
よってまずは、XやInstagram、Facebookなどの継続しやすく、かつ拡散されやすいチャネルから発信を始めていくとよいでしょう。
コンテンツ
次にコンテンツについてです。このコンテンツの部分が最も重要といっても過言ではありません。
基本的にコンテンツは大きく2つに分かれます。それが
CVのためのコンテンツ
憶えてもらうためのコンテンツ
です。
一つ目の「CVのためのコンテンツ」は、その名の通りCV(コンバージョン)を生み出すためのコンテンツです。
ここでは比較的ニーズが準顕在、顕在しているユーザーに対して、商品やサービスに関する売り込み型のコンテンツを発信していきます。
イメージしやすいのが、SEO対策をする際に検索キーワードに沿って執筆していくコンテンツ等がそれに該当します。
このCVのためのコンテンツが、先ほどお話した「商品をよいと思ってもらう」という目的を達成するためのコンテンツになります。
2つ目の「憶えてもらうためのコンテンツ」は同じく、ユーザーにブランドや商品を記憶してもらうためのコンテンツです。
このコンテンツは、キーワードやSEOに沿った記事等ではなく、読み応えのある記事や読み手に取って何かしらのベネフィットがある記事の事を指しています。
こういった記事は直接的に成果には結び付きませんが、ブランドや商品に好意度を高める働きがあります。読み応え、見ごたえのあるコンテンツは消費されるだけで終わらず、その発信元にも興味を持たれます。
こうして「こんなに面白いコンテンツ発信する会社すごいな」という形で憶えてもらうことができるのです。
このコンテンツこそ先ほどお話した「このブランドが好き」という好意度に直結する訴求になります。
この「CVのためのコンテンツ」と「憶えてもらうためのコンテンツ」に関する詳しい解説は下記のリンクからご確認いただけると幸いです。
この様に「CVのためのコンテンツ」と「憶えてもらうためのコンテンツ」の両軸をSNSを中心としたマルチチャネルで発信し続けることで、まずは購前のターゲットへアプローチを可能にするのではないでしょうか
最後に
マーケティングで重要なのは「好意度」だと考えています。
そして好意度を高めるためには購入前の顧客へのブランド体験が重要になります。
そのブランド体験を設計するためには「CVのためのコンテンツ」と「憶えてもらうためのコンテンツ」をしっかりと分けて、マルチチャネルで発信していけるとよいのではというお話をしました。
あくまで一例ではあるので、もっとよりよい手法があるかもしれません。
今回のお話が何かしらの参考に慣れれば幸いです。
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