コンテンツマーケティングの成果余地は「商品カテゴリーへの関与度」を見ればよいという話
多様なチャネルが発達し、消費者の情報収集行動は計測が困難なほど多岐にわたるようになりました。
この時流からマーケティング自体も「いかに多くのチャネルをハックできるか」に重きが置かれるようになった気がしています。
大手から中小企業までが多種多様なマルチチャネルで日々コンテンツを発信し、一つでも多くの顧客接点を作り出そうと努力しています。
今回は、オウンドメディアやYoutubeチャンネル、SNS公式アカウントをはじめとしたマルチチャネルでのマーケティング戦略が常になってきた今だからこそ、見落としがちな「コンテンツマーケティングの成果余地」についてのお話ができればと思います。
▽ニュースレターやってます▽
https://hirashimarintaro.substack.com/
コンテンツマーケティングには向き不向きがある
すでに知っている方も多いかと思いますがコンテンツマーケティングには向き、不向きがあります。
(※ここでのコンテンツマーケティングは、SNS運用やホワイトペーパーを含む広義の意味でのコンテンツマーケティングを指しています。)
そして、よくある理由は下記の3点です。
効果が出るまでのリードタイムが長く、短期で成果が出ない
コンテンツ作成自体に人手と時間がかかりすぎる
かかる時間と人手から継続体制が構築しにくい
この3つの理由はネット上でもかなり出回っているのでなじみあるかもしれません。
しかし、あくまでこれらは企業マターの理由であり、顧客や商品マターの理由ではありません。
つまり「会社のリソースやフェーズの観点」でコンテンツマーケティングの実施可否を判断する際に用いるべき理由になるのです。
この観点に引きずられ過ぎてしまうと、会社としてコンテンツマーケティングに注力するとなった際に
ターゲット外のユーザーばかりコンテンツに集まってしまう
そもそもコンテンツにユーザー流入しない
成果が出ず、自然と施策の優先度が落ちてしまう
といった状況に陥りやすくなります。
このような失敗を引き起こさないためにも
「取り扱う商品カテゴリーの関与度を必ず確認し、コンテンツマーケティングの対策余地があるかどうかを商品や顧客マターで考えていきましょう!」というお話をしていきます。
関与度とは?
ここからは「商品カテゴリーの関与度」と「コンテンツマーケティング」の関係性についてお話していくのですが、まず関与度とは何なのかについて説明します。
関与度とは、「商品と消費者の結びつき」の事を指しています。商品への関心の高さやこだわりとも取れます。この関与度は「高い」か「低い」かで表現されます。
関与度が高いものの例でいうと、住宅や車、パソコンからコスメや映画、音楽などが該当します。加えて、コンサルティングをはじめとしたBtoBサービス全般も該当します。
関与度が低いものの例でいえば、ジュースや食料、お菓子やアイスクリーム、日用雑貨が該当します。
ただ、私が初めて関与度という言葉を聞いたとき、なんとなく理解していた感じで、実務で活かせるレベルまで落とし込むことはできていませんでした。
ここから関与度の高い商品と低い商品の特徴について話していくので、だんだんと理解を深めていってもらえればよいかと思います。
関与度が高い商品と低い商品の違い
ここからは「何が関与度を決定するのか」という観点で両者の違いについてお話できればと思います。
先に結論をつたえると
「深く考えて購入するかしないか」
が大きな違いであり、高関与と低関与を決める基準になります。
関与度が高い商品は商品を購入する際に、検索エンジンやSNS等の口コミが活用され、よく考えて購入可否が決められます。なぜなら商品の単価が高く、購入による損失を逃れようと考えるからです。
それに対して、関与度が低い商品は、購入の際に特定のブランドへのこだわりや購入判断を介さず、直感的に購入します。
※このことを「ヒューリスティック処理」といいます
つまり、購入の際にしっかりと考えて情報が収集されるサービスは、自然と顧客からの関与度も高まっていき、直感的に購入される商品は過去の経験によって購入が判断されるため関与度が低くなる傾向があるのです。
ここまで来ればお察しの方もいるかもしれませんが、購入前の情報収集が積極的に行われる高関与商品は「コンテンツマーケティング」が効果的です。
高関与商品には「コンテンツマーケティング」
例えば、あなたが不動産投資をしようと考えているとしましょう。
手元には頑張って貯めた(あるいは銀行から借り入れた)お金があるとして、何とか資産を増やしたいと思っています。
こんな時あなたならどうしますか?
絶対に失敗したくはないので、有名な投資家が書いているブログや本、講演会等に積極的に参加して情報を集めるのではないでしょうか?
その際には検索やSNS等、思いつくだけ多くのチャネルを使ってとにかく情報を取得しようとします。
先述した通り、失敗を避けたいという強い願望やこだわりが強いほど、商品は高関与度とみなされます。そして、ユーザーの方から情報を取得しようと行動を起こしてくれるのです。
これこそ高関与商品にコンテンツマーケティングが効果的である理由です。
今回の不動産投資の例は少し極端ですが、パソコンや車などの身近な商品も該当します。
つまり、顧客側が能動的に情報取得に動く特性がある商品に関しては、顧客の検討プロセス上にコンテンツを届けることで購買を後押しできるのです。
ただただ…注意するべきこと
ここまで高関与商品はコンテンツマーケティングが向いているというお話をしてきました。
ここまで聞いていると「とりあえず高関与商品はコンテンツ発信しまくればいいのか!」となりがちです。
しかしそこまで単純ではなく、高関与か低関与かはあくまでコンテンツマーケティングの成果余地を決める「判断基準の一つ」というかたちで捉えておくとよいでしょう。
というのも、
高関与商品であってもマーケティングのチャネルがデジタルではなくオフラインの施策がメイン
ターゲットの母数が少ないためそもそも投げ網式のアプローチではなく、一本釣りアプローチが最適な領域
といったサービスも一定存在するからです。
とはいえ、ほとんどの高関与商材のターゲットは、購入前に広く情報を収集する傾向があります。
SNSでの継続的な情報発信で顧客接点を作る
オウンドメディアで自社の商品の事例やそこにまつわる情報を発信する
メールなどで商品の情報からお役立ち情報まで幅広く配信する
等々、コンテンツを発信していき顧客の購買を後押ししていきましょう。
「メディアをやろう!」の前に商品カテゴリーの関与度を見よう!
コンテンツマーケティングといえば、「SEO」や「オウンドメディアの運用」を連想するかと思います。
特にメディアはストック型のコンテンツで、コンテンツを発信すればするほど積み重なって集客資産になります。うまくいけば、顧客獲得単価をほぼゼロにすることだって夢ではありません。
しかし、コンテンツマーケティングに向き不向きかは一度立ち止まって考える必要があるでしょう。
今回紹介した低関与商材のような「直感的な購買がなされるもの」には不向きなケースが多かったり、その他商流やターゲットの数なども加味して考える必要があります。
コンテンツマーケティングの魅力に吸い込まれてしまい、「とりあえずSEO」「とりあえずオウンドメディア」となってしまう気持ちもわかりますが、果たして自社サービスはコンテンツマーケティングに向いているのか、向いていないのかは改めて考え直してみてはいかがでしょうか?
▽ニュースレターやってます▽
https://hirashimarintaro.substack.com/
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?