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Tetsuya Komuro「a new lease on life」:ピッチを駆ける選手、鮮やかな軌跡を描くボール、縦横無尽に舞うシンセサイザー・ミュージック

2016年5月に小室哲哉がソロで「a new lease on life」と題した曲を配信しました。シンセサイザーで構築された音が縦横無尽に舞うインストゥルメンタルです。音の輪郭がクリアで、いずれの音にも芯があります。概してキックに比べハイハットとスネアが前に出ていると感じるためか、リズムが硬く鋭い印象を受けました。

歓声のなかで鳴るホイッスルを合図に曲が始まります。音が重なり、やがて散らばり、そして再び集合します。シンセサイザーが届けるメロディはキャッチーで耳に心地よい。そのまま歌メロにしてボーカリストが歌ったら、素晴らしい歌モノのポップ・ソングが生まれそうです。

メロディを奏でるシンセサイザーは、サッカー選手の叫びを表現しているのでしょうか、ピッチを駆ける選手を鼓舞するかのように力強く響きます。スネアとキックが入れ換わるリズム・トラックは、スピーディーに動くボールやフォーメーションをとる選手のようです。芸術的な弧を描くパス、鋭くゴールネットに突き刺さるシュート。音がイメージを呼び、イメージが音を盛り上げます。

この曲はプレミアリーグ中継のエンディング・テーマとして使われました。小室さんはサッカーが好きということもあり、試合を盛り上げるのに一役買う、そんなサウンドに至るのは必然といえます。また、リリースされて間もなく〈INNOVATION WORLD FESTA 2016〉というイベントで披露されました。タイミングがうまく合ったこともありますが、サッカーを含めスポーツが盛んな筑波大学という会場にマッチする選曲でした。


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