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ORESAMA ワンダーランドへようこそ ~in STUDIO COAST~

ステージを覆う暗幕に文字を刻むレーザー光線。暗闇のキャンバスに光の文字 “WELCOME TO WONDERLAND” が浮かび上がります。幕が開いて新曲「ワンダーランドへようこそ」が始まり、僕らの目の前に、音と光のワンダーランドが姿を現わしました。

2019年2月。ORESAMA(ボーカル:ぽん、ギター:小島英也)が新木場STUDIO COASTでライブ〈ワンダーランドへようこそ ~in STUDIO COAST~〉を開催しました。DJ:MONICO、ベース:三浦光義(PARADE PARADE)のサポートを加えて演奏する姿は、もはやひとつのバンドに見えます。そして前回に続き、ELEVENPLAYMARUYUがパフォーマンスを披露しました。

2019年の頭に配信された新曲、お馴染みのシングル曲「ワンダードライブ」「Trip Trip Trip」、ライブ初披露の曲「空想フライト」、久しぶりに演奏するであろう(個人的には初見の)「全然気にしてないから僕のことは気にしないで」、再デビュー前の「銀河」「迷子のババロア」、2018年のアルバムで録音した「cute cute」などなど…。ORESAMAの軌跡を浮かび上がらせたセット・リストです。

2017~2018年に数々のリリースやライブを通してORESAMAのスタイルは変化と刷新を重ねてきましたが、それが一度確立したことを思わせるライブでした。ORESAMAのチームはコンセプトを明確に定めて、リリースやライブごとにスタイルを煮詰めてきた印象があります。そのことを示すのが、例えばファンクを軸にしたアレンジであり、あるいはELEVENPLAYによる振付やダンスを盛り込んだミュージック・ビデオ、そして「ワンダーランドへようこそ」というタイトルを冠した一連のライブです。聴き続けることで点が線でつながり、楽しさは何倍にも膨らみます。

もちろん、このライブでも新しい試みが見られ、ORESAMAは変わり続けていることを確信します。ミュージック・ビデオに登場したキャラクターがホログラムのようにMINICOのあたりに浮かんでいて、目を引きました。

また、今回取り入れられた要素のひとつは、ステージからフロアに向かって伸びるランウェイです。曲によってはその上を歩いて歌い、あるいはギターを弾きます。そこで披露されて印象に残った曲が、配信が始まったばかりの新曲のひとつ「秘密」です。このバラードについて僕は「届けられない言葉を抱え続ける」というイメージを思い浮かべましたが、ライブで聴くと、観客の間で歌う姿はこの曲の雰囲気に合っていたと思います。ステージでも観客席でもない場所でスポットライトに照らされ、からっぽで乾いた閉塞感が漂っているような気がしました。

MARUとYUが参加した曲は「Hi-Fi TRAIN」「ホトハシル」「流星ダンスフロア」です。いずれの曲もELEVENPLAYのNONが振付を担当しています。ELEVENPLAYのパフォーマンスや振付は多くの場面で目にして見慣れているとも思えますが、その身体表現をリアルタイムかつダイレクトに観ると、鋭く強靭な動きに圧倒されます。「Hi-Fi TRAIN」は柔らかくて丸みを帯び、「ホトハシル」は鋭角的かつ直線的で、「流星ダンスフロア」は流れ星や瞬く星々をイメージさせる。曲によって動きの印象が異なるので、その違いを楽しむのも一興です。

二人のパフォーマンスを生で初めて観たのは前回のAKASAKA BLITZにおけるライブであり、筆舌に尽くしがたいほどに衝撃を受けました。そのときの衝撃の度合いが驚きを含んだものだったとすれば、二回目の今回は最初の驚きを差し引いた状態で観たことになります。それでもやはり衝撃は大きく、ハートを五寸釘で打ち付けられたかのように、問答無用で圧倒されました。

バックダンサーに留まらない、歌と音と光と重なり交わるコラボレーションが繰り広げられます。静と動、直線と曲線。鮮やかに展開する身体表現に魅せられ続けたステージでした。そして、二人はアンコールで披露された「乙女シック」のエンディングにも登場します。この曲ではお馴染みのハンドクラップを通して会場はひとつになり、ライブは終幕を迎えました。


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