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We're a group which consists of graduates of TUFS. We hope you'll enjoy our works!          東京外国語大学出身者集団、作品公開中!

最近の記事

皇族の方の進学先

高校生ながら生物学の論文発表(共著)などで話題の悠仁さま。 どこの大学に進むのかが、やたらと注目されている。 東大進学が秋篠宮家の宿願だとするネット記事をよく見る。 他にも具体的な大学名が挙げられ、ああでもないこうでもないと勝手な議論が展開される。 だが、メディアが変に煽り立てて御本人にプレッシャーを与えるのはおかしな話だ。 これは、メディアによる教育虐待ではないか。 どこを目指そうが御本人の自由だし、もし望むのなら高卒でも何ら問題は無いのである。

    • 【es】〜Theme of es〜の先駆性

      Mr.Children の「【es】〜Theme of es〜」(1995)には、いくつかの先駆性がある。 まず、同年の大震災やサリン事件を念頭に置いた歌詞だ。同世代のメジャーなアーティストの中では、世相や社会問題を歌にしたのは画期的だったと思われる。 次に、Radiohead の「No Surprises」(1997)の歌い出しのメロディが、【es】のそれと少し似ている。97年当時の世界におけるJ-POPの認知度からすると、彼らがミスチルの曲を知っていた可能性は低い。だ

      • 『犬神家の一族』〜平成に読んで、令和に観た。

        私は横溝正史『犬神家の一族』を平成に読み、令和になって映画(1976)を観た。 原作の記憶は朧げだが、ネットによると映画化に伴ってカットされた場面も結構あるようだ。そのせいか、金田一耕助の推理力は映画版だとイマイチ感じにくかった。 それでも、スケキヨの存在感と不思議な声音には凄みがあった。 あおい輝彦の名演・怪演が光っている。 湖上の倒立した死体のシーンは有名だが、その直後の第一発見者のリアクションも興味深い。『ハムレット』のオフィーリアを彷彿とさせる。

        • ゲーデルの知行合一

          数理論理学者のゲーデルは不完全性定理を提唱した。それは、いかなる数学的証明も客観的に正しいとは言い切れないことを証明するものだ。 そして晩年は、食事に毒が盛られることを極度に恐れるという強迫観念にとらわれた。 彼は病気だったと言えばそれまでだが、これは一種の知行合一と見なしうる。 多くの人は、今まで毒を盛られた経験が無ければ、これからも盛られる可能性は低いと考えるか、その可能性を考えもしない。 だが、不完全性定理の提唱者は違う。 彼にとっては、厳密な演繹によって導き

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          カイロ大学中退説

          東京都知事のK・Y氏の学歴詐称疑惑が、またまた注目を集めている。 公言してきたカイロ大学(首席)卒業は嘘で、実際は中退だという疑いである。 もしくはコネを使った「裏口卒業」とする説がある。この場合は一応「卒業」には違いない、大学側が卒業取消をしない限りは。 仮に中退が事実だとして、何故それをひた隠しにしてきたのか? 早い段階で訂正しておくほうが政治生命にとって良いと思うのだが、虚栄心がそれを許さないらしい。 そもそも入学が「裏口」だったとの噂がある。 だとすると、

          カイロ大学中退説

          あの戦争の呼び方

          近頃、自衛隊の幹部が靖国神社を参拝したり、自衛隊のSNSで「大東亜戦争」という表現が使われたりと、何かと露骨である。 右派的な人が自衛隊にいても何の不思議もないが、社会的・国際的にどう見られるかをもっと気にしてほしい。 旧植民地の人々の気持ちを傷つけないようにするのが、旧帝国としての作法だと思う。

          あの戦争の呼び方

          『すずめの戸締まり』考

          一昨日、新海誠監督『すずめの戸締まり』が金曜ロードショーで放送された。 私は今回、初めて観た。 『君の名は。』『天気の子』に続き、『すずめ…』でも自然災害が扱われている。隕石、豪雨と来て、今度は地震がテーマだ。 『君の名は。』の時点で、東日本大震災を念頭に作られたのだと感じていた。 『すずめ…』では明確に、「3月11日の震災」が描かれている。 自然災害とファンタジーという組合せは、不謹慎あるいは能天気といった誹りを受けやすいだろう。 実際『君の名は。』で、亡くなっ

          『すずめの戸締まり』考

          東京裁判を「傍聴」した感想

          先日、NHKの番組で東京裁判の特集を観た。 裁判の日程が具体的に示され、今まで観た同裁判のドキュメンタリーの中で一番、臨場感があった。実際に傍聴しているような気分を味わえた。 東京裁判は戦勝国による結論ありきの裁判だとして、忌み嫌う人もいる。しかし今回の番組を観ると、法廷ではスライドなどを駆使して詳細な資料が提示されていた。意外とちゃんとやってたんだなあ、と素朴ながらそう感じた。 丸山眞男は「超国家主義の論理と心理」の中で、日本の戦犯とナチの戦犯の裁判での様子を比較して

          東京裁判を「傍聴」した感想

          奇書『ドグラ・マグラ』ガイダンス

          奇書と呼ばれることが多い、夢野久作の『ドグラ・マグラ』。 精神疾患をモチーフとした、ミステリ仕立ての小説である。見たら「発狂」すると言われる絵巻物をめぐるストーリーだ。 わりと長いので、読破した私が面白かったところを中心に紹介しよう。 序盤は幻想的かつ趣があって面白い。記憶喪失の青年が主人公で、作者の地元の名門・九州帝国大学が登場する。九大教授・若林博士の雰囲気も味があって惹き込まれる。 「…地獄外道祭文」以降、やや退屈だ。 中盤の供述調書は面白い。主人公の一族の歴

          奇書『ドグラ・マグラ』ガイダンス

          外大のAA研

          東京外国語大学のアジア・アフリカ言語文化研究所(通称:AA研)には、とくに思い出はない。 講義棟とは別の、一つの建物として存在している。 学部の授業で研究所内の部屋が使われる場合もあったが、少なくとも私がいた十数年前は稀だった。 ちなみに当時、無断で所内に立ち入ると侵入者扱いされた。 少しくつろぐくらい良さそうなものだが、研究員(?)から無下に排除された記憶がある。 まさに象牙の塔だ。 玄関付近にあったソファも、いつしか撤去されていた。 文化人類学者が多く所属し

          外大のAA研

          水原から泥沼へ

          今回の件で、元通訳以上に解せないのは違法賭博の胴元とやらが、いけしゃあしゃあとコメントを出していることだ。  そもそもの張本人の分際で、大谷選手の立場などについて真偽不明の情報を小出しにしている様は不愉快そのものである。 胴元に付いている弁護士とかいうのも、それだけでロクな人物ではないと断定できる。 当局は一体何をしているのか? ボウヤーの一味はマフィアか何かに守られているのだろうか? 野球少年少女たちのためにも、アメリカの闇を一掃してほしい。

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          6億円を「盗塁」

          大谷翔平選手から約6億円を盗んだとして、彼の通訳が解雇されたそうだ。 公私ともに深く関わる中で、自分が大谷自身だと錯覚して、彼の財産を自分のものだと思ってしまったのだろうか? いや、どうやら通訳は違法賭博にハマって巨額の借金を抱えていたらしい。 「一山当てて戻しておけばバレない」という典型的な詐欺師の発想に陥ったのかもしれない。 彼は球界の英雄を欺いたわけだが、カリフォルニア大学リバーサイド校卒業というのは本当なのかと疑いたくなってくる。

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          シャーリイ・ジャクスン『くじ』

          スティーヴン・キングの系譜を遡ると、シャーリイ・ジャクスンという作家が先駆者・先輩格らしい。 ということで、短篇集の『くじ』(ハヤカワ文庫)を少し読んでみた。 表題作の「くじ」(1948)は衝撃作だそうだが、結末は「まあ、そうなるんだろうな」という感じ。 むしろ注目すべきは、発表されたのが第二次大戦が終わってまだ3年後だったこと。 そこで繰り広げられる理不尽で殺伐としたストーリーは、戦争の余波を感じさせる。それは同年のヒッチコック監督作品『ロープ』に通ずる。ただし、「

          シャーリイ・ジャクスン『くじ』

          オッペンハイマー人気

          オッペンハイマーは人気者である。 残念ながら、現状そうとしか言いようがない。 先日、彼の伝記映画『オッペンハイマー』は、アカデミー賞で7冠を達成した。 彼の存在が人々を魅力しやすいことの危うさについては、以前記事で書いた。 彼は、被爆国・日本においても糾弾の対象になりにくいらしく、戦後は来日まで果たしている(1960年)。 何年か前に観たテレビ番組によると、「水爆の父」エドワード・テラーは、オッペンハイマーの人気に嫉妬していたという。 テラーは、「原爆の父」が注目

          オッペンハイマー人気

          地政学という「タブー」

          十数年前、私は初めて地政学という学問分野を知った。 地理的条件に主眼を置いた、政治学の一分野である。 その当時は、帝国主義国が他国を侵略するために生み出した道具といった評判しか目にしなかった。 なので、地政学は侵略戦争をする予定がある人だけが学ぶものなのだと思っていた。 しかし近年、テレビで「地政学」という言葉をよく耳にするし、実際どの国でも外交・安全保障において地政学的な情勢分析は欠かせないようだ。 自国の現状を地政学的に捉えるとともに、他国とりわけ好戦的な国がど

          地政学という「タブー」

          外大のシェイクスピアの授業

          私が在籍していた十数年前の東京外国語大学には、シェイクスピアを専門とする教授や准教授はいなかった。 それどころか、彼の時代である16〜17世紀の英文学の専門家もいないという状況だった。 当時シェイクスピアを研究したくて外大に入った学生がいたら、さぞや途方に暮れたことだろう。 そのかわり、「副専攻語」(第二外国語に相当)の英語では、非常勤講師がシェイクスピア作品を扱う授業を選択できた。 私は気まぐれ的にそれを受講したが、時間割に余裕がなく極めて無為に授業時間を過ごしてし

          外大のシェイクスピアの授業