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息子からの電話-息子夫婦のなれそめと里帰り出産の打診

息子から着信があった。

息子は仕事の都合で、我が家から車で100分ほどの場所に、息子とその妻の二人で暮らしている。
あと二ヶ月ほどで、赤ちゃんが生まれる予定だ。

息子夫婦は中学の同級生。
5年の交際を経て、今年結婚した。

息子は中学時代、不登校だったので、同級生とはいえ、彼女(現妻)との関わりは、ほとんど無かった。

「卒業の記念にクラスメイトの写真を撮る」と記念品作成を企画した女の子たちが我が家に来た。

その日、息子は、美容院に行きたてで、マッシュの茶髪。
後の妻になる15歳女子中学生のハートに、その姿はピンポイントで突き刺さったらしい。

その後、頻繁に連絡を取り合った二人。
無事?恋人同士となった。

そっから卒業まで丸一ヶ月。
ずっと学校に行かなかった息子は突然茶髪を黒く染め、学校に行き始めた。
もちろん。毎日、彼女と登下校。

卒業式の晴れ晴れとした二人の笑顔を今でも忘れることはできない。

彼女と付き合い始めてすぐ。
ぼそっと、息子が言った。
「俺が、恋人を家に連れてきたら、どうする??」
えー??
いや!むしろ私が聞きたいよ!!笑

「え?どうして欲しいの???」

15歳の息子は、少し考えて、こう言った。
「とにかく、とにかく優しくして欲しい。」

その言葉を、私は、ずっと守ってきた。
何があっても、彼女に優しくしようと。

彼女が両親と喧嘩して我が家に家出してきた日も。
息子と大喧嘩して、私に泣きついてきたときも。
息子に内緒で、息子の愚痴を言いに来た日も。

とにかく、彼女に優しくした。
それが息子の母親としての使命だと思った。

息子の言葉にはいつも、真理がある。
それを私は直感的に信じていた。

息子がどんな状態の時も、彼女は、ずっと側にいて、楽しく明るく過ごしてくれていた。

端から見たら「わがままな彼女」と「優しすぎる彼氏」だったかもしれない。

それでも。
彼女の存在のおかげで。
息子だけではなく、家族の皆が救われた。

そして、その彼女のおかげで、二ヶ月後には息子は父になり、私は祖母になる予定だ。

息子に電話を折り返す。

彼女が里帰り出産を希望しているとのこと。
そして。
「自分の実家ではなく、夫の実家に帰りたい」
と、希望してくれているとのこと。

彼女の実家は、我が家から車で五分。

それでも。
我が家で産前産後を過ごしたいと。

もうさ。
涙が出るほど嬉しいよ。

ってか、号泣ですわ。

「二十歳になるまでに俺は死ぬ」と自死願望を口にしていた息子を

ここまで生き延びさせてくれて。

父親にしてくれて。

「俺、彼女と子どものために、絶対長生きするわ」とまで言わしめる彼女。

最高すぎるでしょ!!!

私の命ある限り。
ずっとずっと。
彼女に優しくしようと心に決めている。