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「ことば」の威力。協働でつくる場にて。




UXリサーチとして働き始め半年。デザインというか、何かものをつくるというのは、チームで行うのだな、と思うことが多々。依頼者の方、デザイナー、エンジニア、リサーチャー、、、etc。どれだけいい感じに協働できるかで、プロジェクトのアウトプットの質が大きく変わるのだろうな、となんとなく感じ始めている。そして、とあるプロジェクトでの体験から、いい感じの協働に導く上での「ことば」の威力と可能性について考え始めた。

「ことば」で目線が一気に揃う。


とある新サービスのプロトタイプ案を複数をつくり、ユーザーに体験してもらった上でインタビューを実施。結果をもとに、改善方針や案の絞り込みについて議論を行なった。参加者は、デザイナーさん、依頼チームの方々、私たちリサーチャー、全7名(オンライン)。

議論中、デザイナーさんの一言で、場が揺れる。
「このサービスの価値って、〇〇〇〇※にありそうですよね」
※伏せます。そして、いい例が思いつかなかった、、、。

「それって、すごい言葉ですね!」という周囲の反応。単なる納得感だけにとどまらず、サービスの価値が何段階も昇華し凝縮し、さらなる可能性に向け思考が掻き立てられるような感覚、、、。

なんとなく、参加者の目線が揃うというか、考える上での土台が備わってしまったようで、議論の温度が上がり始める。この体験を機に、協働の場で、このような「ことば」をつくることの重要性や効力について、アンテナが立つようになった。

徳島県神山町の「やったらええんちゃう?」


徳島県神山町は、独自の地域進行の取り組みをし続け、IT企業の誘致の成功例としても知られている町。アート、学校、企業、、、いろんな領域で取り組みが行われており、神山町在住の知人の話では、町で、移住者の方が新しく始めるお店も見かけるとのこと。

アクセンチュア代表江川昌史氏著書「2030年 日本の針路」を参照すると、これらの一連の取り組みが継続してきたのは「やったらええんちゃう?」を合言葉に、海外からの移住者、若い方、誰でも新しいことをやってみるマインドが育まれたことが寄与しているとのこと(p.175-177)。


地域新興に関する取り組みであれば、わたしの関わる一つの案件とは比較にならないくらい多くの、さまざまな立場の人々が関わり、動いているはずだ。彼らが実際に動き、町外からの移住者を惹きつけるくらい神山町を魅力的にしてきたのは「やったらえんちゃう?」ということばが、ある程度動きに関する共通認識や、安心感を与え、背中を押したからではないのか、、、。

「ことば」をつくるって難しい。


なかなかうまく言葉にできないが、言いたいのは、つくった先にある世界感や、つくる上で大事な価値観をパッとイメージさせてくれるような「ことば」があり、それがあることで、いろんな人が協働しながら新しい何かをつくっていく営みが俄然活性するのではないか、ということだ。

とはいえ、そんなことばを意図してつくるのは、すごくすごくすごく難しいと思う。プロジェクトが進む中で、自然に出てくるようなものかもしれないし。コピーライトなど、ことばに関する仕事をされてきた方ならできるのかもしれないが。

ただ、UXリサーチャーとしては、ユーザーの体験を聞く中で、そのようなはたらきをし得る「ことば」や、その「ことば」につながるヒントが出てくる可能性もあると感じる。自分たちでゼロから考えるのは難しくても、ユーザーのことばを借りるか活用することで、そのような「ことば」をつくる上での難易度は下がるのではないか。


「ことば」と何かをつくる協働の場について、色々考えた話でした。

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