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#44 最近よんだもの(14) 黄砂と教養 

 特定保健用食品(トクホ)はともかく、機能性表示食品という制度には問題がありそうで、このたび健康被害に遭われた方には心よりお見舞い申し上げます。健康によかれと思ってのことなのに、本当に災難でした。コレステロール値がかなり気になる年齢の自分も、適当なサプリなどに安易に手を出さず、王道のダイエットを試みるべきなのだろう。同志のみなさま、いっちょがんばりますか。

 以前紹介したことのある「世界のエリートが学んでいる教養書必読100冊を1冊にまとめてみた」(永井孝尚、KADOKAWA)を少しずつ読み進めている。

 ❶フロム「自由からの逃走」で、ドイツの人々が自由を自ら手放しナチスに熱狂した理由について解説、❷フランクル「夜と霧」で強制収容所の実態と生きる意味や人間の尊厳について触れ、❸アーレント「エルサレムのアイヒマン」で、凡庸な人間がいかに全体主義に支配され大量虐殺をするのかを考察する(凡庸な悪、については問題があるようですが)。

 「夜と霧」はずいぶん昔に読んだはずですが、なんとなく辛い記憶しかありません。フロムとアーレントは未読。中東情勢への理解への一端になるかどうか素人の私が何か言えることではありませんが、「教養書必読」ではこの一連の流れが非常に理解しやすく、圧巻でした。映画「オッペンハイマー」につながる面もあるのではないか、と勝手に想像しています。「オッペンハイマー」はみておきたいけれど、少し重い。

 書名にエリートなどど書かれていると、もう手を出す気がなくなる自分ではありますが、やはり教養はこっそり身につけたい。この本は図版も豊富で分かりやすく、かなり良書だと思います。いわゆる鈍器本で読み進んだのはまだ三分の一程度ですが、哲学についても学ぶことが多かった。この先も楽しく学びたい。

 心にも黄砂のもやがかかったような春です。春の選抜高校野球も終わり、プロ野球も開幕しました。重い体にムチを入れて、動こう。春の物入りでたまったAmazonのポイントで、電子書籍版の「水車小屋のネネ」(津村記久子、毎日新聞出版)も買ってしまった。6回目になる理佐と律の旅を、見届けたい。

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