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【あなたの知らない落語の世界】第3回 「寄席って何?」

今日は「寄席」について考えてみます。まずWikipediaによるとこのように書いてあります。

寄席(よせ)とは、日本の都市において講談・落語・浪曲・萬歳(から漫才)・過去に於いての義太夫(特に女義太夫)、などの技芸(演芸)を観客に見せる興行小屋である。

Wikipediaより

講談が先に書いてあるのは歴史が古いからだと思います。演芸を観客に見せる興行小屋というように、落語以外の芸も観られる場所ということがわかります。

その寄席について考えてみますが、主に東京をベースとしての考え方を記します。

①連続性がある

寄席と普通の落語会の違いは、連続してやっているかが鍵だと思います。都内には寄席が5軒存在します。上野鈴本演芸場、新宿末廣亭、浅草演芸ホール、池袋演芸場、国立演芸場(現在建て替え中)です。そのどれもが、ほぼ毎日興行を行なっています。しかも昼の部、夜の部とあるので、一つの寄席で大体700公演くらい興行を打っていることになります。

この連続性、継続性を持っているものを寄席と呼びます。特に、この都内5軒に関しては定席(じょうせき)とも呼んだりしています。

②場所が決まっている

連続性と同時に場所が決まっているのも寄席の特徴で、例えばホール落語の場合は会館などを利用します。なので、落語会以外の催しもやります。ですが、寄席は常設小屋です。

決まった場所で、連続してやるのを寄席というわけです。

③寄席は修行の場でもある(ドキュメント)

寄席の特徴として、「修行の場」というのもあります。落語家はまずどこかの師匠に入門しますが、落語協会や落語芸術協会においては、前座時代は寄席で修行します。

朝は師匠の家の雑用をこなし、それが終われば寄席に行くのです。これを毎日繰り返します。

寄席での仕事は多岐にわたります。お茶出し、着物を畳む、着付ける、ネタ帳を書く、太鼓を叩く、高座に上がる(前座は最初に上がり、プログラムにも載っていない)など、いろいろな仕事に追われます。

はじめて寄席に行くと驚くのが、プログラムには12時開演とあっても、その10分前くらいから前座が上がって落語をはじめます。つまりこれは、寄席側からすると料金外で、プログラムに出ている二つ目(修行が終わった人)からが番組ですよという意味合いもあると思います。

高座では、舞台転換も見せます。めくりと言って芸名の書かれた紙をめくる動作や、座布団をひっくり返す高座返し、手品の道具を出したりしまったり、幕を閉めることなくお客様に見せます。その舞台転換を手伝うのが前座の仕事です。時には失敗もあります。手品の道具を落っことしたり、めくりを間違えたり。でもそういうところも全て見せてしまうのが寄席です。

そういう修行風景も含めて寄席演芸なのかもしれません。この良さは独特な部分で、寄席に何度か通うと味わうことができます。ぜひ通っていただきたいですね。

番外 タイトルに「寄席」と使う話

落語会に「〇〇寄席」と使われている場合があります。もちろんこれはあくまで本当の寄席の意味じゃなくて、タイトルだけです。「寄席」「演芸会」は落語会のタイトルに使われることが多くて、全体的な傾向としては「寄席」をタイトルに用いる場合は、毎月開催など、継続して行われているものに使われているような気がします。


今日寄席というものについて考えてみました。明治に寄席が盛んだった頃は、町内に一軒くらいあって、東京には数百軒あったとされています。

ぜひ、今は貴重な寄席に足を運んでみてください。

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