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就職先の選択と「配属ガチャ」

初めて社会に出る時の組織選びは確かに大事だ。この売り手市場で、幸運にも新卒学生の姿として平均以上に位置するなら(相対でなくその企業の絶対評価で平均以上、ここが肝)、複数内定は当たり前の世界になってきた。

ここで直面するのが複数ある内定先の中で、どの企業を選ぶかという問題と、そして選んだ先での配属辞令がどうなるのかだ。

2010年代に就活した自分を振り返ってまとめたい。
noteを始めてから限界集落の瓦版並のビュー数を維持しており、まさに砂漠の針の1記事だが、御縁があって読んでくれた方の暇つぶしになれば嬉しい。


裏情報を掴んで判断したい衝動

デジタルネイティブ世代は、マスメディアとネットの両方に親しみ、「表はマスメディア、裏情報はネットでとる」がプリセットされている。
暴露が持て囃されるのも、表ではわからない「裏」にこそ真実があり、それを知っていないと「割りを食う」ことを恐れる心理がある。

どこかに本当の情報が実は転がっていて、抜け目なくソレを掴んで、選択しなければうまく生きてはいけない。

自分を客観視すると、先日の記事に書いた「物事に隠れる人の思惑」を直ぐに察せる程の賢さはないが、分からないままに人に振り回されて漫然と利用し尽くされることは我慢ならない、というくらいの自我が備わっていると理解している。
ゆとり教育の賜物かもしれない。

自分の反省も込めて、次項以下、書き残したい。

複数ある内定先はどんぐりの背比べ

内定先の企業選びの悩みに関する結論として上記の一言で済むが、ただその中でも冷静に判断はしたい。

転職サイトの口コミ

転職サイトの口コミには目を通すべき。半目くらいで目を通すのがちょうどよい。平均的に似た言葉が並ぶならその事象は当たる可能性が高い。
ただ、N数が1〜2人くらいのコメントなら存在しないのと一緒。記憶から消して良い。
渦中で不安の固まりだった私は、1〜2人の実の社員かも分からぬ人の言葉に引っかかっていた。

シンプルに会社の景気と処遇条件

どうしても譲れない観点がないのなら(あったら答えは悩まずとも決まってるはずだが)、利益率で比較しよう。あと、求人票の給料額、休暇数。利益率、給与額、休暇数とインディアンは嘘つかない。

どのどんぐりでも、オッパッピー

私の場合は、内定先は文句なしにここに決めたい!とした企業はなかった(だから悩んだのだが)。だから、結局、どれそれを選んだら全く違うオールハッピーな人生が広がるという事はなかったはずだ。どっちにしろ、当時の自分に相応なレベルの企業とマッチしただけで、今思えば、あんまり重要な話ではなかった。どれを選んでもオッパッピー!と気楽に思うほうが精神的に健全だ。

当時ははっきりと言語化しなかったが、「事業構造的に退屈では?窮屈では?時代に追いつけないのでは?行ったら最後出てこれないのでは?」という肌感覚はそうなのだろうとも思うし、自分次第では関係ないともいえた。その後のニュースで、その企業に感じていた事がそのまま報道されていて、やはり自分の印象は当たっていたと納得した。

内定先を選んだ後、働いていてしんどい目にあったとき、弱気になったとき、選ばなかった「選べた道」を想像したくなる。私は何度も何度も想像して、疲れ果てた。
でも、その後悔は的外れだった。何故なら、どう覆っても、私は今の企業を選ぶべくして選んだし、それがその時の私の正解で進むべき道だったからだ。自分でも分からないモヤモヤした感情が理性を超えて行動した結果は、本心そのものだったのだから。
それに、私はそんなに大した人間でもないのだから何処にいってもそんなもんなのだ、と自覚してから気持ちが楽になった。

そして、仮に読んでくれているあなたが私と同じような状態で悩んだなら伝えたい。
今、あなたが心のなかで別の道を模索し始めているなら、「体験を踏まえて学んだあなた」が、本心から動いているということだ。過去の選択自体を後悔する必要はない。

配属ガチャはガチャじゃない

配属ガチャ云々を叫ぶ前に、募集要項で総合職であることを確認したうえで、更にちゃんとそれ相応のアピールをプラスアルファで独自にきちんとしたのだろうかと問いたい。

辞めた理由について男性は「4月1日に入社して、配属先発表という時に、自分の希望が全く考慮されていない配属先になっていて、不信感が頂点に達して辞めた。配属ガチャかなと思っていて…」

Yahooニュース
「新卒で入った会社を1日で辞めた男性を直撃…」

ここでいうアピールとはコソコソしたやり方や、言わなくてもこちらの事情を察してくれ系の甘えではなく、正統法で真正面からいくやり方だ。

内定後、「興味がある職種や部署」で働く先輩社員を紹介して貰い、実際にやっている仕事の中身や、面白さ、またその人となりを聞くことだ。

漠然と「会社をもっと詳しく知りたい」では会社側も対応に困ってしまう。
まずは「◯◯職で働く人を紹介して欲しい」というような具体的で至極シンプルな要望だけ伝え、自分の時間を使って、目上の人の大切な時間を割いて貰うやり取りのストレスにも耐え、ただ、ちゃんと仕事の話を聞いてくること。それだけだ。

選考試験と内定前後の皆一律のフローに乗っかって、「希望を伝えた」のはほぼ言ってないのと一緒だ。また、根拠なく伝えた希望には何の説得力もない。
初期配属先なんて数時間会っただけの採用担当が数多ある業務の中で、パッパと記憶と記録、そして組織の都合で決めるのだ。同時並行でこなす作業の一つだ。
仮にあなたが、内定者同期と同じフローで同じように動いてるだけなのだったら、強く記憶に残るものは何もない。要は「希望は伝えてない」のと一緒だ。
入社直後に退職まで考えるくらい初期配置に血道をあげるなら、プラスアルファの記憶に残る手間を掛けないといけない。
それに結局、自分が会って集めた情報が一番頼りになる。
この売り手市場の就活環境で、みすみす内定者を逃す会社はないので、恐れずに言ってみよう。

ちなみに私は面倒くさがりだったので、当時、一律フローにのっかるだけでなんの特別なアピールもしなかった。配属希望を叶えた同期から、後で、内定後に個別に社員訪問をとりつけて、その仕事に対する熱意を誰よりアピールして勝ち取ったことを教えてくれた。教えてくれる良い同期だ。
まぁそんな状態だったので当然、私は世間一般の学生には正にハズレと揶揄される配属通知を受けとった。ニュースのインタビュイーの彼なら即、退職代行「モームリ」に駆け込むだろう。

先輩社員の個別訪問など労力をかけても、希望が通らなかったならば、同期内での優先順位はその程度。
執着はサッパリと捨てて、その場所でどう自分の毎日を充実させるか考えて、仕事は適当にコスパよく、楽しく働くのが良いと思う。采配を決めた当事者たちは仕事としてやっただけ、あなたの人生どうなろうが、極論、関係ないしどうでも良いのだから。
どうしても譲れない時には、本当は歩みたかった道を模索して進むこともできる。

先輩社員に会うタイミング

補足したいのは、内定する前に個別で動いて先輩社員の話を聞くのは、最終面接で質問の難易度が上がるので諸刃の剣だということ(※選考フローに先輩社員面談自体が入っているものは除く)。
その企業によほど熱意があって褒められる程の企業研究が出来ないならば、やめた方が良い。逆にちょっとその企業に対し胡散臭さを感じていて、落ちても痛くない程度の志望度なら、最終面接前に訪問するのは有りと思う。

実体験からいうと、とある会社の最終面接前に先輩社員に会って話を聞いたら、役員から「先輩社員に会ったそうだけど、何の話を聞いたの?」と当然聞かれた。
「今の仕事が楽しいかどうか聞きました。」とアホな私は正直に答えた。
「会うんだったら、事業の話とか有益な質問をしないとしょーもないじゃないか。」と当然、苦言を呈された。
ちなみにその企業からは【補欠】内定をいただき、「内定じゃないけど良い人が居なければ仕方なく内定」という結果だった。
その時に会ってくれた社員の方は、「女性社員は働きやすいですか?」(うろ覚えだが「入社して良かったですか?」だったかもしれない)という質問に、明らかに否定的な雰囲気を出した後で、なんとか取り繕って話してくれた。良い人だったが、恐らく、彼女はもうその会社には居ないと思う。

自分にマッチした風土

会った先輩社員が本当は働くうえでモヤモヤを抱えている事は1対1で話したら分かるし、そのモヤモヤを消化して吹っ切ることができる程の組織なのかどうかも、先輩社員が言葉では言わないが表情や態度で教えてくれる。また、社風や働く人との釣り合い・マッチ度も分かる。簡単に言うと、好かれるか、好かれないか。
会って早々、先輩社員から「コイツ、アホだな。ないな。」と見切られたこともある。そつない財閥系エリートサラリーマンだった。早くその場を切り上げたがっていたのが雰囲気で伝わった。仮に何かの間違いで入社したとて、周囲の人に見下されて1ヶ月も持たなかったと思う。
タカビーは嫌いだし、値踏みするような選民意識も嫌いだし、無意識に発する上級国民感も嫌いだ。し、それを敏感に感じ取って嫌悪する厄介な自我が頑固にある。
とすると、まぁその感覚を受け入れてくれる程々の企業から内定を貰い、前述したような観点で選んで、どんぐりを一つ、手にとってみた20代の春だった。

あとがき

つらつらと書いてみたが、自分が20代の時に直面していた問題について、その時の気持ちをまだ覚えている状態で、客観的に振り返ることができる良いタイミングだった。そして、ここで書いた考えは40代、50代になったらまた変わって来るのだと思う。
し、砂漠の針をたまたま見つけて読んでくれたあなたは、もっと別の経験を踏まえた考えを持たれているはずだ。30代の青二才の備忘録としてご容赦願いたい。

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