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手のひらサイズのマイクロドローンでより自由で迫力ある空撮を。熊本のドローンパイロット・稲田悠樹の新しいチャレンジ

さまざまなプロモーションビデオやミュージックビデオなどでもだんだんと活躍の場を増やしているドローン空撮。みなさんも動画の中に、美しい空から鳥のように自由に撮影された映像を目にされることも多くなってきたのではないでしょうか。

本日は熊本でそんな注目のドローン空撮を専門として既に7年目という経歴を持ち、Hub.craftとも非常にご縁が深い稲田悠樹さんにお話をお聞きしてきました!


ドローン空撮で独立を決めたきっかけ

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ー稲田さんは、ご出身はどちらですか?

稲田さん(以下稲田)「出身は熊本です。大学は鹿児島大学で、卒業後鹿児島で転職を10回くらい繰り返しながら自分に合う仕事を探してました。私は飽き性なところがあって、仕事がルーティーンになってくると途端に飽きてしまってやる気なくなっちゃっていたんです。その後一度熊本の実家に帰ってきて、そろそろちゃんと働かなくちゃかなと思い携帯会社に派遣で3年くらい勤め、そこから独立してドローン空撮の仕事をはじめました。」

ーどうしてドローンで独立されようと思ったんですか?

稲田「私はもともとAppleユーザーだったのもあって、昔iPhoneが登場した時、発売日に買った人間なんです。そういうデジタルのガジェットってそもそも好きで、自分でもiPhone使ってるしそれを仕事にしたらいいかなと思って携帯会社に入ったんです。

私が入社したとき世間はちょうどiPhone4くらいの時で、辞めたのがiPhone6Sくらい。だからちょうど全く流行ってなかったものが世の中に流行していくのをみてるんですよ。みんなのポケットに入ってなかった頃から、みんなのポケットにiPhoneが入るようになった。そして6Sの頃ちょうど大体伸び率が落ち着いてきて、そこで『iPhoneはもうみんな使っていくんだろうけど、またゼロから世の中に流行っていくやつをやってみたいな』と思って、仕事しながら自分で調べたりしていくうちに、ドローンを見つけました。

当時他にもAI関連とか3DCGとかプログラミングとかいろいろ世の中に出始めたものはあったんですけど、当時ドローンの情報ってGoogleで検索しても日本語で出てこなかったんです。私自分でそういう情報系のブログなどもやっていたので、それだったらドローンを自分で買って試してみて記事を書いたらそれなりに収益を出すこともできるかなっていうことや、また映像撮る方で仕事にしていくこともできるし仕事として振り幅があっていいなと。独立して失敗してもまたサラリーマンに戻ればいいし、という感じで2015年の1月に独立したのが始まりですね。」

ー当時ドローンはおいくらくらいしましたか?

稲田「ドローンっていっても値段はピンキリで、おもちゃのやつから一般に撮影で使うパッケージになりそうなものから自作で作るものまでありました。私が独立した当時はパッケージ品がまだバグなどもあるけど一応出ていたといった状況で、それが大体20万くらいで売ってました。なので、まずはいろいろ買っては遊んでみて、っていうのを繰り返していました。」


ドローン空撮について

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ードローン空撮をする際には法律に準拠して撮影を行う必要があると聞いたことがあるのですが、どんなルールを守って撮影をする必要があるんでしょうか?

稲田「私がドローンを始めた頃ってまだ法律が制定されていなくて、2015年の4月に首相官邸にドローンが落ちたことをきっかけに急速に制定されて2015年12月から施工されました。かといってドローン空撮をするのに特に免許などは必要なく、この法律でダメだと言われている項目に触れていなければOKです。

代表的なのはまず【人口密集地での空撮はダメ】というもの。これは国土地理院が人口密集地を地図上で赤塗りしてあって、それをドローン好きな人が見やすいようにアプリにしてくれていたりします。あとは飛行機にぶつからないように【高度150m以上がダメ】というルールもあります。高さはドローンのモニターに何メートルのところを飛んでるか見ることができます。これだけではありませんが、こういったルールさえ守っていれば今日買ったばっかりという方でも撮影を楽しむことができます。

ちなみに仕事で人口密集地などの撮影をしたり、やっちゃダメだと言われていることをする際には、国土交通省に事前に許可申請が必要です。」

ードローンでの撮影の難しさってどんなところですか?

稲田「操縦できるかって言われると、基本的には上昇下降前後左右あるだけですし空中で止まっていてくれるし操縦することはできますね。ただ車の運転もそうですが、運転できることと助手席に乗っていて酔わない運転ができるかって別の話なので、ドローンの撮影でいくと滑らかに動けているかとか、使う尺のなかで違和感のある映像になっていないかとなると練習は必要ですよね。

ドローンの映像は作品の中でも一部のカットで使われる映像なので一本の尺自体はそんなに長く撮ることはなく、大体バッテリーが20分保つのでこの時間内で何カットか撮ります。その時に高さをあげてみたり、回転させてみたり、角度を変えてみたりとかいろんな素材を20カットとか30カットとか撮ってみる感じです。」

ー今稲田さんがドローンで挑戦している表現ってありますか?

稲田「私は逆に今、一般的なドローンに飽きてきてしまっていて。というのもここ2年くらいで大分撮影する方が増えたのにも関わらず、選べる機体の種類が非常に少ないんですよ。そもそもドローンの機体のマーケットシェアがほぼ1強みたいな感じで、8割が一つの会社なんです。だからそのメーカー買っておけば間違いないからみんなそれを買うみたいな。そうするとみんなおなじ絵面になってしまう。レンズも画角も性能もほぼ一緒。その画角に飽きてしまっているので、最近手のひらサイズのドローン(マイクロドローン)を作って、それで撮影するという新しい手法にチャレンジし始めました。


マイクロドローンでの新しい挑戦

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<手のひらサイズのマイクロドローン>

ーマイクロドローンってどんなものですか?

稲田「これが今気に入っている手のひらサイズのドローンで、この上にアクションカメラのGoProを解体して載せて撮影します。GoProはそのままだと重すぎて飛べないので、解体して軽量化しています。このマイクロドローンの良さは、画角も大きいし、このサイズならいままでくぐれなかったところもくぐれる。今まで撮れなかった画が撮れるんです。

一般的なドローンとの違いはやっぱりまず重さと、あとプロペラがそのままなので凶器になってしまう。なので一般的なドローンは人の近くは怖くて飛ばすことはできない。でもマイクロドローンなら小さいし軽いし、プロペラも周りにカバーがついているので、一般的なドローンよりも迫力のある映像を撮ることができます。

今まではドローンと普通のカメラは、所謂空中カメラと地上カメラだったんですけど、マイクロドローンは両方の間のポジションを取れるミッドフィルダーみたいなもの。ただ人の近くを飛ばすためには通信に遅延がない安定した特別な電波が必要なので、電波法をクリアするための免許や手続きなどちゃんと対応しています。」

<マイクロドローンで撮影したクリスマスマーケット熊本PV>


一般のカメラとあわせて作品の幅を広げていく

<DRONIST IN RESIDENCE@UNTOUCHED HOKKAIDO>
敢闘賞_稲田悠樹

ーこれからチャレンジしてみたいことはありますか?

稲田「Hubのみなさんと一緒にドローン空撮のお仕事をさせていただいたりするんですが、私はちゃんとカメラをやっていたわけではないので、巡り巡って今普通のカメラをやりたいなと思っています。ドローンでの撮影がうまくなるためには、やっぱり普通のカメラもある程度ちゃんと自分で撮れるようにならなきゃなと感じていて、また地上のカメラとの繋がりもありますから、飛ばないカメラもやりはじめました。」

ー普通のカメラを使った作品などはありますか?

稲田「つい先日北海道で開催されたドローンを使った撮影コンテストがあって、摩周湖などの周辺を3日間、ドローンと地上カメラを両方持っていって撮影して1人で編集まで全部やるというコンテストで、3位をいただきました。(DRONIST IN RESIDENCE@UNTOUCHED HOKKAIDO)この時は本当に編集の時間がなかったので、改めてちゃんと仕上げているバージョン編集中です。」

ー稲田さんは今後どのような形でドローンを使ってお客様に貢献できたらと考えられていますか?

稲田「ドローンで撮影することにこだわっているわけではなくて、ちゃんとクライアントさんのプロモーションに繋がる形でサービスをご提供できたらいいなと思います。ドローンが必要ないと感じたらそうお伝えしますし、ちゃんとクライアントさんにとっての成果に繋がるように。そういったことが見極めてご提案できるようになれたらと思っています。」


▽稲田さん×Hub.craftで取り組ませていただいた「くまモンデビュー10周年記念オンラインステージ」はこちら


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写真・文:谷本 明夢
インタビュー・素材提供:稲田 悠樹


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