囲碁・将棋チャンネルの棋譜利用問題

昨日今日と第73期ALSOK杯王将戦の第2局が行われています。1日目からいきなり大きく形勢が傾く展開となり驚いていますが、菅井八段がどこまで粘って逆転の芽を残し続けるか、という勝負になるでしょうか。

そんな将棋界の周辺において結構大きな影響を残しそうな、囲碁・将棋チャンネルの棋譜利用問題に関する地裁判決がありました。

詳細については各種メディアでの記事に任せるとして、大まかに言えば、YouTuberが囲碁・将棋チャンネルで放送されている対局の棋譜を利用した動画配信について、著作権侵害として削除されたのは不当であり、囲碁・将棋チャンネルがそのYouTuberに損害賠償の支払いを命じた、という判決内容です。

まだ地裁ですので、おそらく囲碁・将棋チャンネルの運営会社は高裁に控訴するでしょう。そこでの判決が下されたとしても、さらに上告まで行きそうな気もします。著作権・知的財産権に関する権利や利用について憲法上の判断を求めることになれば最高裁で争うのも妥当でしょう。

個人的な感想から言えば、棋譜の利用が著しく制限されるのは問題かなとは思います。その程度が争われているわけですが。

ただ、棋譜を元にアレコレ語ることまで規制されるべきなのかと言えば、その辺まで規制するのは難しいのかなとも思います。

例えば、野球やサッカーなどのスポーツが有料放送・配信でのみ見ることが出来る状態で、それについてSNSや掲示板で実況することについて、どこまで規制されるのか。Xで「~~チームの誰々がホームラン打った!」という書き込みが駄目なわけないですし。

かつての2ちゃんねるの実況板でも、実況する内容についてはスレ住民内での自主規制みたいなものはありましたが、この辺も裁判での争いにまで及んでいたら、結構自由が認められていたのかも知れません。

音楽教室とJASRACとの裁判も数年前にありましたが、知的財産や著作権を巡るビジネスに関して、利用料を課す権利と自由に使用する権利とのせめぎ合いは、今後も頻発すると思います。特に今は誰でも簡単にネットで発信できる時代であり、その発信がビジネスになるのであれば、裁判所の決定に委ねるしかないケースが増えるはずです。

ただ、ネットが絡まない音楽教室の演奏はJASRAC側の勝訴に終わり、棋譜のネット上配信ビジネスについては囲碁・将棋チャンネル側の敗訴(まだ地裁判決ですが)になったのは、今のネット全盛時代だからこそなのでしょうかね?

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