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スタジアムと公共交通機関と延伸計画

サンフレッチェ広島の新本拠地となるHIROSHIMAスタジアムパークが建設中です。

建設場所が、旧市民球場跡地や宇品港そばなど、いろいろ検討されている頃から注目してきましたが、ようやく場所も決まって周辺地域と一体に建設が始まり、出来るのが楽しみになりました。

完成は2024年ですのでまだ先ですが、少なくともその時点ではガンバ大阪がサンフレッチェ広島と一緒にJ1にいることを祈ります。ここ数年ヤバいのはガンバの方ばかりなのですけれど。

今の広島の本拠地であるエディオンスタジアム(ビッグアーチ)は、1994年に開かれたアジア大会のために建設されました。韓国戦での井原正巳のロングシュートを思い出しますが、それはともかく、広島市内中心部からビッグアーチまで、公共交通機関を使って行くのは結構大変です。

私自身は一度だけ、ちょうどパトリックが広島所属だった頃にガンバのアウェイゲームを観に行ったことがあります。広島駅から散歩がてらぶらぶら歩いて県庁前駅まで行き、そこからアストラムラインに乗って山をぐるっと巡る路線ですのでかなり時間をかけてスタジアム最寄りの広域公園前駅に到着しました。それも大変だったのですが、もっと大変なのは帰りでした。

試合終了後、アストラムラインは混雑するだろうから西広島駅までのシャトルバスで帰ろうと思い、乗ったはいいもののアストラムラインのルートよりはるかに短いはずのこのルートで渋滞にはまってかなり時間がかかりました。

同じルートで帰る自動車組が大量にいるからなのですが、やはり郊外にあるスタジアムから市内中心部に向かう道は渋滞するものです。

そして現在、ある意味いびつな路線を描いているアストラムラインが延伸構想が結構具体化してきたそうで、先年私が乗ったシャトルバスのルートに近い、広域公園前駅から西広島駅までトンネルを通して向かうルートだそうです。

ただ、実際にどれだけ利用が見込めるかという観点から見ると、観光客よりも地域住民の利用の方が重要です。サッカーの観客が使うにしても多くて年間で20日程度ですし、そもそもエディオンスタジアムがサンフレッチェ広島の本拠地であるのは来年までですので、延伸したアストラムラインにJリーグファンが乗ることはほぼありません。

これまで、広域公園前駅〜西広島駅間の移動はバスか自家用車しかあり得なかったのですから、大半の周辺住民は自家用車で移動しているはずで、延伸後にそれら住民が急にアストラムラインに乗るでしょうか?

そういう懸念もあってこれまで延伸計画が延び延びになっていたのでしょうけれど、これは広島だけに存在する悩みでもありません。たいていの地方、特に車移動が当たり前の地域社会が高齢化によって公共交通機関も必要だけれど予算化も利用者増も見込みづらいという地域で共通する悩みでしょう。

さらに言うと地方だけの話でもなく、例えば大阪市でも最近になって延伸・新設した地下鉄今里筋線や、京阪中之島線なんかは利用者が少ない状況がずっと続いています。長年それが無い状態でその地域が存在してきたのですから、その路線に乗る人が少ないのも当然です。

かといって、鉄道やそれに類する路線を捨てて自動車オンリーの街作りをしても、渋滞は悪化するし、ガソリン消費はかさむし、運転できない人が生活できなくなるし、とデメリットの列挙は容易です。

昭和中頃の、モータリゼーションの波が来る前に都市化した地域は鉄道での輸送が前提になっているので延伸も効果があるのでしょうけれど、その波が来てからあるいは同時期に都市化したところは、住民が自動車移動が前提となっているので、鉄道を新設・延伸しても利用が増えないでしょう。

LRTみたいに、解決策として新しい交通システムもありますが、どの地域でも使えるものでもないのでしょう。モノレールも都市部での狭い建設場所に作れる解決策でもあります。めっちゃ速度が遅いですが。

地域社会のデザインの問題ですし、どんな地域でも存在する悩みでしょう。サッカーファンとしてはサッカースタジアムの場所が郊外にあると、移動の悩みは尽きません。

V・ファーレン長崎の新スタジアムのような、長崎駅から歩いて行ける場所にスタジアムがあれば願ったり叶ったりなのですが、日本だと本当にわずかしかありませんね。

この長崎の新スタジアムも竣工は2024年予定です。出来るのは秋なので、使用されるシーズンとしては2025年のはずです。その時に長崎とガンバが揃ってJ1にいれば良いのですけれど。一番アカンのが長崎がJ1に上がった時にガンバがJ2に落ちることなので、それは本当に避けて欲しい。そもそもどんなタイミングでもJ2に落ちてもらったらアカンのですけれど。

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