【採用マーケティングの教科書】#1 採用担当者が知りたかった!「マーケティングって何ぞ?」に終止符
想定読了時間:10分
はじめに
本シリーズは筆者の知見をもとに採用マーケティングについて体系的にまとめたものです。
採用実務者なら「採用マーケティング」という言葉を一度は聞いたことがあるかもしれません。しかし、その全体像や具体的な実務、及ぼす効果について説明できる方は少ないのではないでしょうか。それもそのはず。日本には体系立ったコンテンツが限りなく少ないからです。
採用マーケティングを知ることは採用担当者にとって良い機会となります。
例えば、実務面で新たな突破口を見出すことができたり、あなた自身のキャリアが広がったりするはずです。
筆者は現在、グローバルIT企業の採用マーケティング責任者です。採用業務にも携わる中で、採用マーケティングと連動した施策立案を担当しています。この点においても、きっとあなたに役立つ情報発信ができると思い、筆を執りました。
さて、前座は終わりです。
これからの時代に必要な採用マーケティングの実態について見ていきましょう。
本シリーズの想定読者
●採用担当者
●採用責任者
本シリーズを読むメリット
●採用マーケティングの全体像や実務内容を理解できる
●新しい施策立案に役立つ
●キャリアの選択肢が広がる
本稿で学べる事
●「マーケティングって何ぞ?」が解決する
●「採用マーケティングって何ぞ?」が解決する
1.マーケティングとは
採用マーケティングとは、採用活動にマーケティングの手法や考えを取り入れたことを言います。
というのは、検索すれば出てくるワードでしょう。
「つまり何?」って感じですよね。
同じことを同僚にも言われました(笑)。
「まずマーケティングとは何か」を知る必要があります。
マーケティングの定義
マーケティングとは、「売上をつくる仕組み」のことです。
もっと“?”ですよね。
マーケティングにはファネルがあります。下図をご覧ください。
①商品について認知してもらい、
②興味・関心を持ってもらい、
③購入し、
④愛着を持ってもらい、
⑤知人に紹介します
多くの商品・サービスがこのファネルに沿っており、この一連の仕組みをつくることがマーケティング活動です。
シャンプーの事例から学ぶマーケティング
ではもう少し身近な例でマーケティングについて理解してみましょう。
私はいつもシャンプーの例で人に説明します。
【マーケティングストーリー】
①認知
季節は5月下旬。夕食時にあなたはYoutube広告でシャンプーの広告をみたとしましょう。
最近気になっている女優がモデルとして起用されています。スキップせず観てしまいました。
②興味・関心
「起きた後櫛(くし)でとかすだけ!」というコピーに惹かれたとしましょう(例え話なので多めにみてください)。本当にそうならどれだけ助かるか、とあなたは思いました。
③購入
1週間後に切れかかったシャンプーを補充しようと薬局に足を運びました。
そこにCMで流れていたシャンプーが目に入り、先ほどのキャッチコピーを思い出し、本当かどうか試してみようと購入しました。
④愛着
実際に使ってみたところ効果を実感。雨の日は特に助かる。身なりが整っているだけで気持ちが安定するし、仕事のパフォーマンスも維持できている(気がする)!アリかも、と思ったとします。
⑤紹介
数日後、大学時代の女友達らと食事したときのことです。
特に仲の良いAが言います。「●●ちゃん(あなた)っていつも髪綺麗だよね!今日雨なのに全然乱れていないもん。うらやましい~」。
あなたは、最近使っているシャンプーのおかげだと思っている。
「実は最近●●のシャンプーを使っているの。おすすめだよ!」
「え!?あのモデルがCMに出ているやつだよね!?あれやっぱりいいんだ~~。会社の人も良いって言っててさ!気になってたの~。試してみる!」
ここまでがマーケティングストーリーになります。
いかがでしたか。
シャンプーに限らず、普段私たちが何気なく買っているものは、無意識のうちに頭に入った情報がトリガーになって購買に至っています。
購入したものが使えなければリピートはないでしょう。
しかし、何かしらの改善を実現してくれるものであるなら、きっと私たちはそれをリピート購入してしまうはずです。
例に出てきたシャンプーを試しに買った彼女には、「雨の日でも効果を発揮するシャンプー」という付加価値がついたことが商品への愛着につながりました。
そして人は良いものを他者へ共有したい欲求を持ち合わせています。
良いなと思ったものは大切な人にも教えたい、同じように悩みを解決してその効果を実感してほしい、と。
こうしてお客さんがお客さんを引き寄せる構図が出来上がるわけです。
以上、一連の流れをつくることをマーケティングと言います。
2.採用マーケティングとは
マーケティングとは、売上をつくる仕組みであることが分かりました。
採用マーケティングもこれと同じ理論です。
つまり、「企業認知から定着までの仕組みをつくること」と言い換えることができます。
肝は「定着までの仕組みをつくる」ことにあります。
先ほどのシャンプーの事例でも挙げたように、人に紹介したくなるまでがマーケティング活動と言いました。
採用マーケティングも専らこれに同調します。
入社した社員が自社に愛着を持ち、知人に紹介したくなる仕組みをつくる。これがまさに採用マーケティングの実態です。
もう少し解像度を挙げてご説明します。
下図をご覧ください。
採用マーケティングのファネルは4つに分けることができます。
ファーストフェーズ
自社を認知してもらい、興味・関心を持ってもらい、応募してもらう。
いわゆる採用ブランディングを実施したり、ウェブマーケティングをしたりして直接応募数を増やします。
セカンドフェーズ
応募者が内定・入社に至るまでの候補者体験(CX)を向上させる役割も持ちます。
サードフェーズ
入社後、自社に愛着を持ってもらう施策を講じます。
フォースフェーズ
知人に紹介してもらうための制度を整えます。具体的な施策を挙げるとこれはリファラル採用です。
以上のフェーズに沿って採用マーケティングを展開するのが一般的です。
とは言え、あくまでも商流に沿った展開なだけであって、実際は企業の状況によります。
平たく言うと、採用ブランディングやデジタルマーケティングなどの新手法を駆使して自然応募数を獲得できていて、さらに候補者体験度が高い選考プロセスを確立できているのであれば、着手すべきはサードフェーズからとなります。
(自社がどのフェーズなのか、その診断方法は別記事に譲りたいと思います)
まとめ
本記事では、マーケティングの概要や採用マーケティングのファネルについて説明してきました。その内容は以下の通りでしたね。
本シリーズでは採用マーケティングの概要についてやさしく解説していきます。
ゴールは本1冊分ぐらいの知見獲得をイメージしていますが、読み終えたころには採用マーケティングについては施策レベルで理解している状態を目指します。
次回は、そもそもなぜ採用マーケを実践すべきなのかについて解説します。次回もご愛読のほどよろしくお願いいたします。
それではまた!
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