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第1章【創業期に後回しにされがちな人事制度をあらためて考えてみる】創業期における人事マネジメントの考え方

最終更新日:2024年5月23日

会社の創業期において、人事の課題は気になっていても後回しになりがちです。

しかし、人事の課題がでたときに仕組みがないと、どう対応すればよいのか分からなくなってしまいます。

本記事では、創業期における人事マネジメントの考え方についてご紹介します。

第1章では、創業期における人事マネジメントの考え方をご説明します。

*本記事は3分程度で読むことができます。

当社代表の平康慶浩が「創業期人事のポイント」について2023年7月自社セミナーにて講演した内容をご紹介します。全3回にわたってご説明しますので、ぜひほかの記事もご覧ください!


創業期経営における典型的人事課題

創業期経営には、以下のような典型的人事課題が発生します。

  • 離職率が気になるほど高くはないが、優秀な人が辞めるときがある

  • 中途採用の管理職のレベルに幅がありすぎる

  • 要員拡大を続けているが、採用に失敗することも多い

  • 新卒採用を考えたいが、中途採用との調整をどうすべきか

上記のような課題を解決するために、よくある人事制度(目標管理制度やコンピテンシー制度)を導入することはおすすめしません。

創業期の急成長したい段階でかっちりした仕組みを導入すると、かせになってしまう可能性があるからです。
かといって、仕組みがないのも「離職を増加させる」などの課題を発生させてしまいます。

では、どのような人事制度が創業期において最適なのでしょうか。

創業期における人事マネジメントの考え方

弊社がご支援してきた経験から、創業期企業における最適な人事マネジメントは、「アジャイルな人事」あるいは「インフラとしての人事」の2種類です。

アジャイルな人事

アジャイルな人事とは、経営層が人事育成と活躍にしっかりコミットする人事の仕組みのことです。

アジャイルな人事では、経営層が社員の人材育成と活躍にコミットするために社員一人一人にどのような仕事を任せるのか、社員がどのような悩みをもっているのかといったことをしっかり把握します。

そのために必要なのが1on1の仕組みです。
対面で直接コミュニケーションをとることで、アジャイルな人事が機能するようになります。

報酬制度においては、会社が成長し、社員のレベルが上がっているのであれば、期中であっても昇給を認めます。
その際に、労働市場水準が基準になります。

経営層が労働市場水準を正しく把握し、「社員が転職する場合、これくらいの給与になる」と意識して、既存社員の給与を設定します。

また、社員にこれだけやってほしい(コミットメント)、ここまで成長してほしい・ここまで結果を出してほしい(ストレッチ)を示します。

そのうえで、定量的ではなく、定性的に評価を下します。
定量的に評価しない理由は、個人の売上といっても会社のブランドや他の社員の手助けなど、他の要因も絡まっていることが多いことや、社員の横のつながりが阻害される可能性があるためです。

そのため、定量評価は参考情報として収集整理します。

では、どのような企業がアジャイルな人事に適しているのでしょうか。

アジャイルな人事が適している企業は、従業員一人一人の活躍が直接業績につながるようなビジネスモデルの企業です。

インフラとしての人事

一方インフラとしての人事とは、経営層が事業に集中するための人事の仕組みのことです。

インフラとしての人事では、経営層は事業計画の落としこみに特化し、社員の職務とモチベーションのマネジメントはマネージャーに移譲します。
そのため、マネージャーの資質が極めて重要になります。

しかし、どこまでマネージャーに権限移譲すればよいのかが問題になります。
権限移譲の程度を決定するために重要になるのが、1人当たり人件費や昇給原資総額の可視化です。

自社の業態であれば、1人あたりこれくらいの売上・営業利益が必要といった基準を明確にし、基準と実際との差異を見ていきます。

評価については、単に○×をつけるだけでなく、マネージャーが社員とのコミュニケーションを促進するツールとしてしっかり落としこんでいく必要があります。

ではどのような企業がインフラとしての人事に適しているのでしょうか。

インフラとしての人事が適しているのは、ビジネスモデル自体が強みの企業です。

創業期人事の大前提

アジャイルな人事においても、インフラとしての人事においても、創業期人事において重要なことは「誰をバスに乗せるか」ということです。

誰に参画してもらうのか、誰と一緒に頑張っていくのか、どんな人が会社に必要なのかという点にしっかりとコミットしなくてはなりません。

この点にコミットしない経営層の企業というのは、徐々にじり貧になってしまいます。

さいごに

本記事では、創業期において、自社のビジネスモデルによって適切な人事制度があることをご説明しました。

次回の第2章では、創業期における人事のグランドデザインについて取り上げますので、ぜひご覧ください!


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