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【二次創作】頭に浮かんだ場面を「文字にする」ということ

二次小説を書くのをためらっている方のご意見で、「思い浮かんだ場面をどうやって文章で表現したら良いのかがわからない」というものがありました。確かに、頭の中に映像はあってもいざそれを文字にしようとすると、「背景はどこまで説明するの?」「表情は?」「視点は?」とわからなくなってしまうことってありますよね。
今回は、そんな「絵は浮かぶけど、どうやって文字にしたらいいの?」という問題について考えてみようと思います。

【1】五感(視覚、触覚、嗅覚、聴覚、味覚)

「絵」であれば、「視覚」が中心になります。もちろん、文字を加えて他の感覚を追加することもできますが、分量は少なくなりますよね。小説の場合は、目に見えるものだけでなく、他の感覚も使って場面を表現していきます。
触覚:寒い、熱い、風の強さ、湿度など
嗅覚:空気や風の匂い、都会の街の匂い、草木や花の匂い、雨の匂い
聴覚:車や電車の音、街のざわめき、静かさ、木々のそよぐ音
味覚:食事の味、アルコールの強さ、キスの味

【2】時間の「つながり」

描写したい場面がいつなのか、その前は何をしていたのか、この後は何をするのかを表現することで、場面と場面に「つながり」が生まれてストーリーになります。
季節や時間帯を描くのも良いし、「つながり」を意識するのであれば、「何があって」「どうして」その場面に至ったのかを意識して書くと良いです。

【3】その場面を通して伝えたいこと

何のためにそのシーンを書いたのか。シーンの裏にある「テーマ」を文章表現を通して伝えていきます。「はじまり」なのか「終わり」なのか、あるいは「喜び」か「悲しみ」か。愛情が深まっていくのか、不安が募るのかなど。テーマに応じた場面を選択することで、物語に深みが生まれていきます。

例1)

以下の写真を使って、先ほどの【1】~【3】について考えていきます。
設定は、以下の通りとします。

・旅で東京にやってきた青年
・夜の街で飲める店を探す
・路地裏のバーで運命的な出会いをする

【1】五感
視覚:ネオンに照らされた雑踏を黒い服に身を包んだ人々が行き交っている
触覚:冷たい夜風が頬を撫でる
嗅覚:飲食店が軒を連ねる狭い通りに、肉の焼けた匂いがただよっている
聴覚:人々のざわめきが、夜の入り口にあることを感じさせた
味覚:(なし)

これらの表現を通して、「冬であること」「宵の口であること」「飲み屋街にいること」「都会であること」「賑やかな盛り場というよりは都会の一角であること」などを伝えることができます。

【2】時間の「つながり」
店はどこも賑わっているが、いかにも「仕事帰りに連れ立って一杯」という人々の中に混ざることに居心地の悪さを感じている。無機質なビル群の中を一人歩いていた昼よりもよほど、自分がよそ者であると思い知らされた気分になる。「コンビニでビールでも買ってホテルに帰ろうか」そう思いかけた時、ふと視線が一本の狭い路地へと引き寄せられた。

・旅行で都会にやってきたこと
・その場に馴染めていない、浮いていると感じている様子
・次の場面(細い路地にバーを見つけて入る等)への「つながり」

描写する場面の「前」や「後」の時間を意識して書くことで、物語に「流れ」が生まれます。このような書き方をすることで、「どうしてそこにいるのか」「これからどうするのか」を一つの場面を描写する中で、読者に伝えることができます。

【3】その場面を通して伝えたいこと

同じ「夜の街」を選ぶ場合でも、「あだっぽい街」「賑やかな若者の街」「都会の一角にあるステレオタイプの繁華街」のどれを選ぶかで、読者に伝わる印象は変わります。

あだっぽい街:ワンナイトなどセクシーな展開が起こりそう
賑やかな若者の街:やけ酒や大騒ぎするなど派手に飲む感じ
ステレオタイプの繁華街:無機質な都会で感じる虚しさ、旅人である自分と社会との距離など

これだけ印象が違うと、どれを選ぶかでキャラの感情、物語のテーマ性が変わってきますよね。また、場面に「夜」を選ぶか「朝」や「昼」を選ぶかでももちろん印象やテーマが変わってきます。季節も同様です。
物語に「深み」をもたせるためには、自分が表現したいテーマやキャラの感情、ストーリーの印象に従って、季節や時間、場所を選んでストーリーをつくると良いでしょう。


ありがとうございます。 好きを形に!たのしく同人活動!を目標にがんばります!