見出し画像

第9話 断続の力


人材育成について、ちょっと立ち止まって考えています。

何かを身につけようとする時、
それを「どの程度継続して経験できるか?」を意識することが大切です。

毎日経験できる仕事は、もっとも身に着ける条件が整っていると言えます。
何事も習熟するには「反復」が必要だからです。

月に1回とか、年に数回しか経験できない仕事は、
より注意して少ない経験を活かす意欲や工夫が必要です。
「次回やる時はこうしよう。」
という気づきをメモして忘れないようにすることが大切です。

日々の仕事は無意識に「経験を継続できる」という性質があります。
自然に「継続は力なり」となるのです。

ところが、何か自分の意志で身につけようとする場合は勝手が異なります。

経験量を自ら増やすことが必要ですが、それには
(1)短期間に集中して体験する。
(2)息長く継続して体験する。
という2つのアプローチがあります。

そして、多くの方が(2)、すなわち継続は難しいという実感があるのではないでしょうか?
換言すれば、多くの人が「三日坊主の経験」を持っているということです。

かく言う私も、日記の習慣を身につけるのに、実に9年かかりました。
毎年新しい日記帳を買って書き始めるのですが、

▶正月は毎日きちんと書き、
▶1月、2月と進んでパラパラ空白の日ができ、
▶時々思い出しては空白を埋め、
▶一週間まとめて書く時が増え、
▶5月ぐらいで挫折する
の繰り返し・・・

「ああ、自分は継続が向かない」と嘆き、
自然に日記をつけられる人は
それ自体が「天賦の才」と感心していました。

が、企業でさまざまな変革をご支援している身でもあり、
日記のひとつも継続できないのは問題だ、
と思い、何とかしたいと思っていました。

今では日記の習慣が身につき、すでに15年以上になります。

ではどうやって身につけたのか?

初めて「日記が続いた年」、それは自分にとっても意識が大きく変化した1年になりました。

端的に言えば、
空白のページ、書かない日が発生しても、気にならなくなったのです。

1年のうち、およそ1/3の日が空白でしたが、
12月31日に日記を書いて、1年継続した、ということにしました。
というか、
それでも「(いちおうは)継続したじゃないか。」
と思えたのです。

次の年は1年の半分以上の日が埋まりました。
そして今ではほぼ全日、埋められるようになりました。

といっても、いまだに毎日は書いていません。
3日まとめて、一週間まとめて書くこともあります。
それでも日記の習慣は続いています。


ずばり、私の日記の継続につながったのは
「断続」の大切さが分かったからです。

断続とは、時々とぎれながら続くこと
すなわち、
いつの間にかやめてしまっても、
思い立ったらまた始めること。
です。

途切れることの抵抗がなくなれば、何度でも始めることができます。
途切れさせた自分を責めなければ、何度でも始めることができるのです。

それがいつしか「継続」に進化するかも知れません。
あるいは、断続であり続けたとしても、無価値ではないと思います。

こう考えるほうが、最初から「継続」が大事、と思い込むより
始めやすく、続けやすいのではないでしょうか。

日記の例でお話しましたが、
以上はあらゆるテーマに共通に言えることだと考えています。

ただし、
何事も自然に継続できる才能を持った方
へは無用のお話ですね。

皆さんには、継続することに関して、どんな体験をお持ちでしょうか?
<13>

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?