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視覚障害を知ろう(4)~同行援護従事者とガイドヘルパーについて~

『法友文庫だより』2013年冬号から

 前回までは、視覚障がい者の基本的なサポートの仕方や食事のサポートについて、岩上館長に教えていただきました。
 以前、岩上館長から「外出時はガイドヘルパーを頼む」と聞いたことがあります。
 平成23年10月から同行援護事業が始まり、視覚障がい者の外出時のサポートは充実してきたように思います。今回からは、同行援護事業について、日々の外出、旅行に行く時などの様々な外出のサポートについて聞いていきたいと思います。

Q1 同行援護従事者とガイドヘルパーの違いは?

岩上 ガイドヘルパーや同行援護従事者について知る前に、まず移動支援と同行援護の2つの制度があることを知っていただくことが大切です。
 移動支援は、視覚障がい者が安全に外出することを主にした制度で、障がい者自立支援法の「地域生活支援事業」に位置付けられています。地域生活支援事業は、都道府県が独自の事業として実施するものです。移動支援には、代筆・代読などのサービスはありません。

 これに対して同行援護は、国の責任が半分あります。
 同行援護とは、「視覚障がいにより移動に著しい困難を有する障がい者等の外出時に、視覚障がい者等に同行し、移動に必要な情報を提供するとともに、移動の援護、排泄、食事等の介護、その他必要な援助をするというもので、国と都道府県が事業に必要な経費を折半で負担する制度」です。 
 今の説明でお分かりかと思いますが、「必要な情報を提供し」という言葉にあるように、情報提供が移動支援の上位に来ています。そこには、代読、代筆なども含まれます。
 つまり、移動の援護を行うサービスは、情報提供のない移動支援と、情報提供を主とする同行援護の2つのサービスが存在することになります。

 視覚障がい者は、移動の不自由者というより、情報の不自由者ということです。同行援護は、安全な外出の支援もさることながら、移動中の街の風景、店の販売品情報、買い物を発送するときの宛名書きなどを支援する制度です。
 したがって、移動支援で外出時の移動介護サービスを提供する人が移動支援従事者で、同行援護にたずさわる人が同行援護従事者です。


Q2 同行援護従事者になるには、資格が必要なのでしょうか?

岩上 必要です。移動支援従事者も同行援護従事者もボランティアではなく、有料で仕事をする人たちです。
 同行援護従事者は、移動支援の課目だけではなく、情報に関する勉強をしなければなりません。一般課程20時間(講義と演習)と応用課程12時間(講義と演習)の研修を終えると、その資格を取ることができます。

Q3 同行援護を頼まない場合の普段の外出は、みなさんどうしているのですか?

岩上 移動支援、もしくは同行援護のどちらかが利用できるはずです。移動支援がない自治体であっても、同行援護は実施しなければならないことになっています。
 視覚障がい者は、ぜひそれを承知しておいて、同行援護を利用することをお勧めします。



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