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【ホツマ辞解】 〜大和言葉の源流を探る〜 ⑨「あがたぬし」と「つうじ」 <96号 平成30年4月>

 前号の当欄で「くに(州)」「あがた(県)」「あれ(村)」について解説しました。ホツマ伝承では、行政区画の階層は、定量的に組織化されていたように記述されています。

 まず、五世帯からなる組を、ヲサである「てべ/てゆび」が取りまとめます。その「てべ」八十人、都合四百世帯を仕切るのが「あれをさ(村長)/あれべ」です。さらに、その「あれをさ(あれべ)」八十人、都合三万二千世帯の首長が「あがたぬし(県主)/あがたし(県司)」となります。「あがたぬし」は、任命官であり、「もののべ(物の侍)/ものべ」の初等官として中央政府に直属します。
興味深いのは、この「ヲサ」という呼称が、機織りにおける縦糸押さえの器具の名称から由来することです。

『まつりこと 民の妹背は 筬一歯 五家組む長は 一手指 八十手侍 一人 粗長と』ホ23

 そして「あがたぬし」八十人を統率して行政・警察・司法の地方長官として封建統治するのが、「くにかみ(国守)/くにもり(地守)」です。この「くにかみ/くにもり」と言う呼称はいわば「民からの目線」の敬称ですが、中央政府からの封建という身分を表現するのは「くにつこ(国造)」という呼称です。

『アタネを賀茂の タケスミの 政継がせて 国造ぞ』ホ30
この「国造」と言う呼称は、大化の改新によって律令制が敷かれるまで地方行政官職として続くのです。

 さて、封建統治と前述しましたが、中央政府(朝廷)からの任命行政官という性格をまさに色濃く表現する別名は、「つうじ/つうぢ」です。派遣される全国の「つうじ」を総攬するのが「右の臣=剣の臣=おおものぬし(大物主)」です。「つうじ」という名称には機織りの「縦糸を貫く」と云う性格が反映されています。統治の上意下達を求められていることがよくわかります。

 さらに、この「つうじ=国造」には、十人の「よこべ」。「よこべ」はいわば副官ですが、同時に監査役でもあります。補佐でありつつ、「つうじ=国造=国守」の行政手腕を中央政府が監視する役割も果たします。ホツマには「めつけ(目付)」と云う職能をもつ存在があり、中央政府の情報網を形成していたことがわかります。「お目付役」として今にも生きる言葉です。

『わたそえて みやひめつけの わるさつけ』ホ17
『つうちへて たたちにつくる あのめつけ これあたひらそ』ホ23             
(つづく)
(駒形「ほつまつたゑ解読ガイド」参照)

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ホツマツタヱの縄文時代における行政組織の階層的な組み立てを、行政官の役職名から探ってきました。国造りが、実にしっかりとした、下からの組み立てと中央からの編み込みによって形作られていたことが判ります。

ここで、「編み込み」と表現したのは、ホツマの行政原理が、「機織り」の原理でタテヨコをつむぐことで成立しているからです。

通説の古代史では、大和朝廷による統一は、いわゆる古墳期と重ねて語られているのですが、ホツマツタヱが伝える古代の国造りは、まったく違います。

この国造りの総合的デザイナーは、トヨケ大神であったと思われますが、その薫陶を受けたアマテル大御神が、その現実化を果たし、靖国となしました。その靖国を、皇孫ニニキネが灌漑稲作の全国展開によって豊穣化させていったのです。


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