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スマートなホテルであるということ

1. スマイルのスマートイン

「スマートイン」と言えばプリンスだったはずだが、それに真っ向勝負を仕掛けてきたのはニコチャンマークのスマイル。

なかなかこんなガチンコ事例は見た記憶がないんだけど、思い返してみたら、「グランビスタ」なんて「ビスタ」を上から見下ろしているているし、そういう意図があったかどうかは知らないが、スーパーよりも一般的に「強い」概念であるハイパーを冠したホテルは、チェーン規模としては全然ハイパーではなかった。よくよく思い出したら、ガチンコ事例もきっとあるんだろう。何と言っても、元祖と本家で揉めることがお約束の我が国だ。

さて、元の話題に戻って背景を丁寧に探ってみると、このリリースに行き当たる。スマートインになっている博多も、このコラボの対象ホテルとしてバッチリ載っているので、布石は打たれていたのだ(スクイーズ社に関しては後述予定)。

元々、高稼働でブン回すイメージが強いスマイルは、量を追求しているわけで、効率性が大切なビジネスモデルになる。よって、当初から効率性をテックを活用して追求してきた、スクイーズを含むいわゆる民泊系オペレーターとは基本的な価値観が合うのだろう。ただ、この博多の施設に関しては新ブランド第一号ながら、既存のスマイルホテルをリブランドしただけで、スマートチェックイン/アウト以外に特にスマートなものはHP上では見当たらなかった。新ブランド一号店なんて誰もが新築でゴリゴリに作り込みたいに決まっているのだが、サクッとマーケットに出してしまうところは逆にスマートと言えるだろう。だが、なんにせよ、全体的にスマートらしさは弱そうなので、改めて新築を待ちたいところ(現時点では、プリンスに喧嘩を売っただけ、という評価にならざるを得ない)。

2. プリンスのスマートイン

さて、一方の元祖スマートインであるプリンスホテルは会社としてはフルサービスあるいはリゾートホテルのイメージが強い。このスマートインはそのイメージを払しょくするいいきっかけとなっているのかもしれないが、スマイルのような根本的な価値観がマッチするのかと言う点は気になるところ。加えて、スマイルにとってのスクイーズのようなパートナーがプリンスにもいたという話は特に中の人からも聞いたことがないので、あくまで自前主義を貫いているんじゃないかという懸念もある(後述するが、この分野にはスクイーズ以外にも先行するテック系のオペレーターは多々存在するので、自前でやるのは時間の無駄かもしれない)。

もはやブランド一号店が開業したのが2年半も前で、私も開業当時にここの内覧会に参加したっきり、熱海とか京都で共用部チラッと覗いたぐらいなので、認識が古いままかもしれないけど、スマートなものとして提供されるメニューとしては、以下のようなもののようなので、既にもう業界内でそこそこ普及しているものをスマートの文脈に沿ってキュレーションしてきました、という感は拭えない。

(1)公式アプリ
(2)スマートチェックイン・チェックアウト
(3)スマホキー
(4)宿泊者専用ロッカー
(5)複合型サービスロボット
(6)マップ型デジタルサイネージ
(7)スマートスピーカー、スマートミラー

ホテル投資の観点からは、そういった「スマート」競争よりももっと注目すべき点がある…

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サポート→ホテルで使う→note→サポートというサイクルが回ると素敵ですね。