ニセコ投資が人気の理由と課題
北海道ニセコについて
世界最高峰のスキーリゾート「北海道ニセコ」。特に冬は外国人観光客が多くホテルやレストラン従業員も含めて現地の主な言語は英語で、2020年に完成した5つ星ホテル「パークハイアットニセコ」を始め豪華なホテルが年々増え続け、現地は外国のような街並みで日本で他に類を見ない特殊な地域です。
ニセコが人気の理由
北海道ニセコの世界的にも希少価値の高い豊富なパウダースノーは、西側シベリア大陸からの寒気が日本海の湿った空気を吸収し雪雲を作り、東の太平洋からの乾燥した暖かい空気が入り込みアンヌプリ山脈に衝突することで生み出される自然の奇跡です。また、蝦夷富士と言われる羊蹄山を目の前に見ながら滑り降りることができるグランドヒラフは特別な経験となるため、特に雪がないアジア圏の観光客を中心に人気があります。また日本の多くのスキー場は統合型リゾートですが、ニセコは小さな町を形成していることで、スキー後に町を散策できる魅力も欧米人を中心に人気があります。また2030年までに北海道新幹線が延伸することで、東京から札幌まで4時間36分。札幌からニセコまで25分で繋がるため利便性が飛躍的に向上します。
ニセコの実情
このような地理的な特殊性もあり、外資の投資を呼び込んでいます。これはニセコに限ったことではなく日本全体に言えることですが、安定した法規制やインフラ、治安の良さ、円安や不動産バブルが続くアジア圏の生活習慣や文化が近く、時差が少ないという背景があり、自国より安価でしかも外国籍でも所有権を規制なしに保有できる不動産投資が人気になりました。そして、外国人富裕層は、来日時に自己使用でき、使用しないときは貸し出せる「ホテル」に需要が高まり、個人でも投資できる外国人富裕層仕様の高級分譲ホテル(コンドミニアムホテル:一室毎に区分登記された共同所有ホテル)という形が主流となっています。人気のヒラフの中心地は1億円以下では買えるものはなく、10億円を超えるものも珍しくありません。
ニセコの課題
コンドミニアムホテル所有者はホテル運営会社に管理委託し、夏に15日・冬に15日自己使用することができ、それ以外はホテルとして賃貸し収入の一部を受け取るという仕組みです。このため、運営会社は外国語を話す非正規スタッフ雇用が中心になり、所有者や従業員は外国籍で、宿泊ゲストも外国人中心となっています。このような環境下において、地元住民雇用の創出には寄与できておらず、様々な弊害をもたらしているのが現状です。外資系投資による乱開発が続いたため水不足や温泉枯渇問題も深刻となり、2023年秋に大きな不動産開発規制が導入されました。ただ、開発の波は止まることがなく、スキー場中心地以外の郊外にも開発は広がっています。そして、外国人を中心とする所有と運営形態により、地域住民の雇用に繋がらず国内需要を取り込めないといった悪循環に陥っています。そして、そのことは外国人が来る冬だけ街がいっぱいになり、外国人が来ない冬以外は閑散とする環境を作ってしまっています。この問題は、ニセコだけに限ったことではなく、世界の別荘は上位1%のみで所有されており、利用率は年間10%以下という無駄と非効率の原因となっています。