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第46回イベントレポート『ついにナラ枯れの波が、この森にもやって来た』

2022年8月26日、金曜日。

盛夏を越え、晩夏に入ったとはいえ、とても蒸し暑い一日でした。

今年8月に入ってナラ枯れが見つかり、一気に広がり始めたため、当初の予定を変更して急遽、その対策を取ることにしました。

東京都でナラ枯れの被害が急増したのは、この二、三年のことと思います。
高尾駅から恩方へ向かう車窓からの景色の中に、一昨年位から赤茶く枯れた木が点々と目に着き始めておりましたが、私たちが活動している森の中では殆ど見られず、今日まで何処か対岸の火事のように感じていました。

しかし今朝、コナラが多く生えている辺りに行ってみると、広範囲に、ナラ枯れが始まっている木が見つかりました。

この森を管理しているずーやんと、木こりのてっちゃん、そして樹木の病虫害に精通しているがんちゃんの4人で、協力して手当てを施しました。

発生状況

コナラの巨木

ほんの数週間で、急激に葉が枯れています。

根元の様子

カシノナガキクイムシ(以下カシナガと省略します)のマスアタックを受けた木の根元には、フラス(木屑)が積もり始めています。

カシナガの穿入孔

幹の周りにはムシが入り込んだ夥しい数の穴が開いています。

コナラが多く生えている森の様子

あちこちに、根元にフラスが落ちているコナラが見受けられます。

この森の入り口付近の様子

休憩スペースとして作業道の傍に並べて置いてあった、間伐材を利用したベンチや椅子などが散乱しておりました。イノシシが入った跡と思われます。

イノシシが掘った(と思われる)穴

ところどころに、直径と深さが10cm程度の穴が掘られておりました。
周囲の地形を観ると、ちょうど土中の水と空気の動きを改善するための〝点穴〟を掘るのには絶妙な場所に掘られているのが驚きです。

この森での対策

〝ナラ枯れ〟をネットでググれば、全国で様々な対策が取られており、考え方やノウハウも多種多様に出て来ます。

それぞれの場所で、それぞれの事情で、景観や安全面での対策のため、早期の伐採も含めて駆除や防除、薬剤注入などがされています。そうした対症療法的な対応を批判する気持ちはありませんが、この森では、より根源的な対策を取りたいと思います。土中環境を整えて、樹木の自然治癒力を高める手助けをすることで、何とか元気になって、枯死を免れて欲しいと思うのです。

今日は平日イベントということもあり、多勢に無勢です。しかも、皆んな忙しい合間に時間をつくって応援に来てくれたため、昼頃までしか出来ない参加者もおり、限られた時間の中、どうすれば一番効果的か、皆んなで知恵を出し合って以下の造作をすることにしました。

○ カシナガが入った木の周り(樹冠の下)の地面に貫通ドライバーを刺し、その穴に枝と炭を入れる。

○ 地形を観て、より効果的と思われる場所には段を切り、炭を入れ、更に切った段上に貫通ドライバー又は移植ゴテで複数箇所に点穴を造作する。その際、時間がかかるしがらみまではつくらず、落葉で覆うだけでも良しとする。

貫通ドライバーによる点穴の造作

※ 熱中症対策のため、希望者はヘルメットを外し、周囲に注意し声を掛け合いながら、安全最優先で作業をしております。

穴に小枝を刺し、くん炭を入れる

ドライバーでグリグリと開けた穴には、くん炭が重宝します。

点穴の上も、落葉で覆う

出来る限り数多く、広範囲に造作してまわりました。

雨水が流出しやすそうな所では、シャベル等で段を切りました。

腐食層は薄く、すぐ下は乾燥している

尾根だということもありますが、そこかしこで、地面の下は乾いていました。

段切りと、炭入れの様子
炭の調合の様子

今日は2種類の炭を混ぜてみました。
消し炭:くん炭を1:2の割合で混ぜます。

混合の様子

貫通ドライバーの他にも、要所には移植ゴテや剣スコ、Wスコで大きめの穴を掘ります。

しがらみ造作のための〝座〟をつくっているところ

イノシシが掘った跡に、Wスコで深めの穴を掘り、混合した炭を入れ、落枝と落葉を詰めました。

今日は4人がかりで、カシナガにアタックをされたコナラ十数本の周囲の手入れをしました。
しかし、数が多く、手つかずの木が未だまだ残っています。
次回も、この続きをやることにして、今日の作業を終えました。

一日のふりかえり

イベントの時は毎回、作業を終えてから一日を振り返って感想を分かち合う時間を取っているのですが、今回は参加者の方々が所用で途中で抜け、終了時は私一人であったため、後日メールにて感想をいただきました。

参加された方々の声

♡ がんちゃん
「今日のメンバーは総勢ベテランなので、どんどん作業が進んで行き、ど素人の私はただ呆然と立ち尽くすばかりでしたが、とりあえず、手に持っていた長いドライバーを地面に差し込み、グリグリと穴をあけて、そこに燻炭を入れて、水の浸透を促す落枝を差し込む、の繰り返しでした。この小さな作業でも、森を元気にする一助となればいいなと思います」

♡ てっちゃん
「ナラ枯れがここにもというところから、どうやれば、なおるのかを考えながらやれたのは、ある意味、いい経験と学びもできました。
みんなの少しでも回復と拡がりをとめる思いが、ひとつになっているのもわかりました。
その願い伝わってほしいです。
もうひとつは、森からのメッセージはなんなんだろうと。もしかしたら、新たなはじまりを伝えているのかもとしれないと感じました(^.^)」

主催者ふりかえり

「たった数週の間に、凄まじい勢いでナラ枯れが進んでいることに驚いた。何故、ナラ枯れが起きるのか?、、、、そのメカニズムは理解出来るものの、根源的な理由は、もっと深いところにあるのだと思い知らされた気がする。

昭和四十年代初め、私が幼少の頃だったならば、今日入った広葉樹林はきっと、カブトムシやクワガタだらけで、カシナガではなく、夥しい数のカナブンやオオムラサキなどの樹液を好む昆虫で賑わっていたことだろう。今の時季なら、虫取りに明け暮れる子どもたちの笑い声が響かない森の方が少なかったのではないだろうか。その時代までは炭づくりのためクヌギやコナラは萌芽再生を繰り返され、ヒトと自然の営みがバランスよく共生して数多の生きものたちの命を繋げて来たことだろう。しかし、国策と利便性のため、エネルギーの主流がガスと電気に置き変わり、今なお大切な自然が失われ続けている。日本で発電する燃料の石炭を掘るため、絶滅間近のオランウータンの棲む熱帯雨林の森が伐採され続けてもいる。

大径木化したコナラがカシナガのマスアタックを受けやすいという要因も指摘されるが、では何故そうなってしまったのか。スギ・ヒノキの人工林だけでなく、薪炭林もまた同時期から放置されて荒廃が進んだ結果のナラ枯れ蔓延ではないのかと諦観の念が襲って来る。
エネルギー問題を話題にすると、よく「じゃあ貴方は今の生活を棄てて江戸時代の電気がない暮らしに戻れるのか?」と、今まで幾度と無く言われ続けて来た。戻れないならエネルギーや環境問題など口にするな!、と叱られたこともある。そりゃ電気もガスもない生活はすぐ出来ないけど、そぉゆーことじゃないだろぉ!と、いつも思う。

今現実に身近なこととなったナラ枯れ対策を考えると、正直なところ、これも自然の摂理なのかと思う部分もある。大木となったコナラが枯損木となれば、クワガタをはじめカミキリムシやタマムシほか多くの生きものたちを育み、その幼虫は鳥たちをはじめ様々な動物たちを養い、林床に届いた陽の光が下草を広げて山肌を守るに違いない。自然の営みに歯向かって、ナラ枯れだけを何とか食い止めようとすることは、土砂災害を防ぐために斜面をコンクリートで固めるような、本末転倒の愚かな行為なのではないのかと自問もした。それでもなお、人間の営みのせいで、目の前の樹々たちが枯れていこうとしているならば、出来ることはしていきたいと思うのです。山が健全になれば、少しでも多くの木を助けられるかも知れない。ナラ枯れからコナラを救うことは、必ずホタルが飛ぶことに繋がると信じて、次回、つづきをやります。
心ある方のご助力をお願いいたします」

帰り際、ナラ枯れが殆ど見られない隣接した森を通ると、林床はフカフカしっとりとして、美味しそうなキノコが、あちらこちらに顔を出していました。(※注)

参加していただいた皆さま、本当に一日お楽しみ様でした。
ホタルさん、そして活動に興味を持たれた方は、是非一度、森に来てくださいネ!!

今後の活動予定

今年7月から来年6月までは、ホタルの会の新年度になります。
年度内で最初に参加する際に、年会費(または単日参加日)をお納め下さいますよう、お願い致します。

◎ 現時点で決まっている今後の予定は、

9/13(火)、、ナラ枯れ対策のための土壌改善つづき
9/24(土)
10/2(日) 
10/18(火)
11/11(金) 
11/20(日) 
12/3(土)※10:00~15:30
12/21(水)※10:00~15:30

です。

※冬の時期は日が短いため、通常より終了時間を1時間繰り上げて実施します。

年明け以降の予定は決まり次第お伝えしますが、ご希望する日時・曜日等ございましたら、どうぞ気軽にご連絡ください。
一人でも多くの方のご参加を心よりお待ちしております。

協力感謝

『枯れ沢復活&ホタルを飛ばす会』は、任意団体です。

公益社団法人 国土緑化推進機構の支援を受け、緑の募金事業として活動して参ります。

さらに、2021年4月からは一般財団法人セブンーイレブン記念財団様の〝環境市民活動助成〟の助成を受け、活動を推進していくことになりました。

ありがとうございます。

※注
毒キノコです。日本で見られる中では最も危険なドクツルタケと思われます。食べれば美味しいとの説もありますが、1本でも1人の人間の命を奪うほど強い猛毒があります。
決して食べたり、人に食べさせたりしないでください。

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