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【連載小説】こころの檻は二度開く

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記事一覧

【連載小説】こころの檻は二度開く⑯

【これまでのあらすじはこちら↓】  いつまで経っても詩の執筆はなかなか進まなかった。自宅…

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2年前
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【連載小説】こころの檻は二度開く⑮

【これまでのあらすじはこちら↓】  一向に詩が完成する気配はなかった。なにか刺激が必要な…

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2年前
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【連載小説】こころの檻は二度開く⑭

【これまでのあらすじはこちら↓】 「おいおいおいおい!高木洸くん!そりゃあないよ!」  …

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2年前
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【連載小説】こころの檻は二度開く⑬

【これまでのあらすじはこちら↓】  それから1ヶ月、こころと会うことはなかったがLINEを通…

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2年前
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【連載小説】こころの檻は二度開く⑫

【これまでのあらすじはこちら↓】 「私、そろそろ行かないと」  女は時計を見ながら言った…

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2年前
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【連載小説】こころの檻は二度開く⑪

【これまでのあらすじはこちら↓】 「ええ、その節はありがとうございました」  女性は礼を…

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2年前
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【連載小説】こころの檻は二度開く⑩

【これまでのあらすじはこちら↓】  ナマケモノが排便するためにわざわざ地面に降りる理由について思いを馳せながら、他にもいろいろな動物を見て回り、ようやく象の檻の前に到着した。檻の前には何組か人がいた。ほとんどが親子連れで、まだ4、5歳くらいの男の子が象を指差してはしゃいでいる。  洸は遠くからぼんやりと象を眺めた。象は人の目なんて気にせず、ゆっくりと尻尾を振って歩いていた。洸は昔から体が大きい動物が好きだった。他を圧倒するような体格なのに、そのほとんどは草食だからだ。水中

【連載小説】こころの檻は二度開く⑨

【これまでのあらすじはこちら↓】  詩を書くのは久しぶりだったので、しばらくペン先は宙を…

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2年前
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【連載小説】こころの檻は二度開く⑧

【これまでのあらすじはこちら↓】  2時間ほど待っていても彼女は姿を現さなかった。昨日あ…

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2年前
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【連載小説】こころの檻は二度開く⑦

【これまでのあらすじはこちら↓】  男の腕は思ったよりも細く、洸の力でも振り払うことがで…

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2年前
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【連載小説】こころの檻は二度開く⑥

【これまでのあらすじはこちらから↓】  一ヶ月も寝たきりでいると、人間は衰えてしまうもの…

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2年前
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【連載小説】こころの檻は二度開く⑤

【これまでのあらすじはこちら↓】  薄暗い洞窟の中をさまよっていた。強いカビの匂いが鼻を…

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2年前
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【連載小説】こころの檻は二度開く④

【これまでのあらすじはこちら↓】 夕暮れの公園で会ったのを最後に、瞬とは二度と会うことは…

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2年前
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【連載小説】こころの檻は二度開く③

【あらすじ】  殴られた傷がようやく癒えたころ、洸はなんとなく瞬の家の近くに来ていた。とくに瞬に会う気はなかったが、気づいたらここに立っていた。団地は相変わらず寂れていて、初めて来たときに見かけた放置自転車がそのままそこにあった。  小学生時代によく二人で遊んでいた公園へ足を運ぶ。昔は子どもたちで賑わっていたが、今は誰も使っていないようだ。なにもかもが静止している。塗装の剥げたすべり台も、サビ臭い鉄棒も、あの時のままだった。ふと、ブランコが目に入った。2つ並んでいるブラン