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一人暮らしも、案外悪くないじゃん。

19年間の実家暮らしと、3年間の同棲生活を終え、東京の片隅で一人暮らしを始めてから、あっという間に半年が経った。

これまで、家族とか恋人とか、誰かと暮らしてきたから、一人での生活はきっと寂しいものだと思いこんでいたのだけれど、この半年を改めて思い返してみると、存外楽しかったように思う。

自分の生活に必要なものをすべて自分で買い揃え、暮らしを少しずつ設計していく時間。それは、今までよりずっと私を、私として立ち上がらせてくれた。

私が暮らすアパートの一室は日当たりがいい。休日になって、いつもより遅めの時間に起きると、窓からはあたたかい陽の光が差し込む。

それが眩しくとも心地よくて、窓を開け、風を感じるのが日課だ。そんな私の隣には、我が家の猫が尻尾をゆらしながら座っていて、名前を呼ぶと返事をしてくれる。

「何をしてるの?」と聞くようにこちらを見つめてくる大きな瞳を眺めながら、毛並みの良い頭をなでて、一日を始めるのだ。

自分一人のために朝ご飯を作るのは面倒くさいが、それでも自分の作る料理の味はけっこう気に入っているので、仕方なく用意する。

すると、やっぱりおいしくて、お腹がいっぱいになったら、次は掃除や洗濯なんかをする。

疲れたら、ゴロゴロと昼寝をしてもいいし、ベッドの脇に放り投げられた読みかけの本のページをめくっていてもいい。

気ままで、穏やかな休日を、自分の力で支えられているんだと思うと、いつもちょっと誇らしくなる。

私はまた誰かと一緒に共同生活を営んだりするのだろうか。もし、そうなったら、もっと豊かに日々を過ごせるのだろうか。

ずっと一人暮らしと考えたら、さすがに不安になるけれど、今はこの生活が気に入っているので、あまり焦らず、ゆっくり日々を撫でようと思う。

窓の外から近所の親子が遊ぶ声が聞こえてきた。空が青かった。

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