特別じゃないこと
先日、パートナーの簡単な洗車に付き合った。
どうせ誰も通らないので二人ともノーマスクで外に出る。あたたかいのでコートも着なかった。
春風があたたかく、ぽかぽか陽気で心地がよかった。
彼は左ハンドルの車に乗っている。可愛らしい名前を愛車につけている。
春の光を浴びて車を洗う彼は美しかった。私はいろんな曲を口ずさみながらご機嫌でそれを眺めていた。
パートナーは物心がついた時から車が好きだったと言う。家にミニカーがいくつかある。ミニ四駆も。
洗車する彼を見ながら私は「愛するものを慈しむ姿は美しいですね」と言った。
彼は笑いながら「そんな、特別なことしてないんだけどねえ」と返した。
愛するものを慈しむことは特別なことじゃない。そうか。例えばミッフィーのぬいぐるみを撫でるとか、飼っている黒猫が餌を食べているところを眺めるとか。
穏やかなひだまりに包まれた春の午前中だった。
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