56歳で初めてフルメイクのお化粧に挑戦したら、「大丈夫な自分」に出会えた話
verde さんはアパレルの販売業にお勤めの傍ら、Salon de Verde として個人のファッションコーディネート、お買い物同行、対話サービスなどを提供しておられます。化粧品の会社にお勤めの経験もありメイクにも造詣が深い verde さんに、今回はメイクアドバイスとお買い物同行をおねがいしました。
1.お買い物同行3日前、眉を整える
わたしは毛深く、眉も放っておくと太く濃く、つながっていきます(泣)。10日に一度はカットしますが、濃いところと薄いところのムラが出やすいため、切って3日後の方が馴染んでくる(気がする)のです。
2.お買い物同行前日、爪を切り、顔を剃る
わたしは毛深く…(以下略)。
お会いしたかった人にお目にかかれるうれしさよ…
わたしとverdeさんとの出会いは、みずのけいすけさんのこたつラジオがきっかけでした。放送時にコメントをいただいて、すぐさまnoteに飛びました。するとなぜかこの記事 ↓ にめぐり合ったのです。ファッションより先に、verdeさんの文章や生き方に共感し、他の記事もたくさん読ませていただきました。だからリアルでぜひお会いしたかった。
3.お買い物同行当日、いよいよフルメイクの扉を開ける
目覚めは最悪…「気づいたら出発時刻を1時間以上過ぎ、慌てる自分」が夢に出た(冷や汗)。天気は問題なさそうだけど、暑くなるとのこと。身軽で行きたいけど冷房で冷えるのは避けたいとぐずぐずしているうちに出発時刻。
事前の打ち合わせ通り、基礎化粧+日焼け止め+ベースメーク+おしろいのみ。個人的にマスク生活を続けているので、口紅等塗らなくても人目は気にならない。大井町の待ち合わせ場所で無事にお会いでき、遅刻の悪夢は正夢にならずにすみました…よかった!
モノクロ写真がプリントされたTシャツ、少しだけライム色が混じった黄色のカーディガン、濃い色のワイドデニムにシルバーのアクセサリー。ラフなのに上品!素敵なたたずまいのverdeさん。オンラインと違うのは、肌の白さ! 透き通るような白ってああなのか…。
では早速!ということで、アトレ大井町の店内へ。
マスクを取ったわたしにverdeさんが言った。
「ほぼすっぴんですね! ほくろはありますがシミはないですね。」
およ。いつもならこのほぼすっぴん状態に口紅、ポンポンチークでお化粧終了なんですが。
いま思えば完全に丸腰ですよ…ここからわたしは怒濤の勢いで武器(アイテム)を得ていくのです。あらかじめ「お化粧のことは何も知らないと思ってください」と伝えてありましたが、思った以上に何も知らなかったよ…
4.ホシノさんはイエローベースです
へっ?! 既にここから選択を間違えている(泣)。ブルーだと思ってたけど違うのか…人種的には、そりゃそうだ。日本人は多くの人がイエローベースだとか。
いろんなサイトで簡易診断があるけど結構違う結果になったりするし、4つに分けられているけど実際自分が座標のどのあたりにいるかで似合う色も変わってくる気もする(例えば「ブルー寄りのイエロー」「秋寄りの春」とか)。実際にお目にかかって顔や姿を見ていただいて良かったと思います。
ここから肌の土台を作っていきます。
今回は色のない日焼け止めと、肌のトーンを上げるベースをお買い上げ。いま使っている下地兼ファンデーションはそのまま使えるとのこと。手に載せた写真で色の違いがわかると思います。
(購入した品は「8.ホシノはアイテムを手にいれた」にまとめてあります)
日焼け止めの進化がすごくてわたしはビックリですよ…すごく良く伸びて、白くならず、粉っぽくもない優れもの! しかも顔にも身体にも使える大容量。
そしてトーンアップベースはノエビア化粧品の「サナ エクセル」という年齢肌用ブランド。発色の良さ、乾燥対策などトータルでお勧めできるということで、ここから多くの化粧品を購入しました。
そうそう、こういうベースも、何色選んだらいいのか全くわからない。一人だったらこの色を選んでないと思うんです。「明るすぎる~」とか思って。実際は薄くのばしていくのでいい感じに明るくなるし、光沢も出る(ここ大事)。
5.いよいよアイメイク
来たぜ未開の地!
アイシャドウ、つけたことない。なぜ4色ひとセットなのかも知らない。
3年前のコロナ感染で体重が戻らず、目がくぼんだまま。そして目元のくすみは気になっているけど、どうすればいいんだろ。
いろんなパレットセットがある。またしても何を選べばいいのかわからない。verdeさんは一番地味なブラウンのセットを指さして言った。
「これが一番無難で初心者向けです。色味のあるものは難しいんですよ」
そして説明を挟みつつ、4色を魔法のように使って上まぶたはくすみを消し、まつげに近い部分には影を入れた。しかも「あとで再現できるようにレポート書きますから!」…デキるひとはこのあたりの親切さが行き届いている。
ありがとうございます。きっと帰った頃には「はて?どの色をどうやって乗せたっけ???」ってなるはずで、実際まんまとそうなった。
難しそうなアイメイク。でもアイシャドウでくすみが消えるのは超感動もの! これにプラスしてラメ入りの単色アイシャドウで仕上げ。わー華やか!でもポイントで入れるので派手さはない。さすがプロ…。
次はアイライナー。
これはまつげの影なんだそうです。まつげのギリギリを狙って入れていきます。試した結果、アイライナーは使わないことにしました。眼瞼下垂があるので上まぶたのキワは既に影が強め、その上まつげが濃いのでよほど上手に入れないときれいに見えないと感じたのです。自分を知るってだいじだな。
いよいよマスカラ。
だいたい毛深いので、マスカラしようなんて思ったことがなかった。人生初マスカラ!!
付けてもらうのに、思わず目をつぶる。つぶりながら「これでは自分で付けるとき見えないではないか!」と気づいておかしくなる。おかしくなるが笑うと身体が揺れるのでこらえた。
目を開けて…うわっ、目力めっちゃ増してる!!
老眼のぼんやりした視力でも違いがわかる。あとで老眼鏡をかけてまじまじと見たら「これに目に星が入ったら最強では…??」くらいまつげが長く、上がっていた。 少女漫画じゃないんだから、と頭の声がツッコむ…いやちょっとくらい浮かれさせてよ(笑)。
マスカラとはまつげを長くするだけでなく、固める効果もあると初めて知った。少量でも付けるといいけど、固まってバリバリになる感覚もあるのでそこは慣れかな…
6.そして頬紅と口紅、ハイライト
頬紅(いまはチークと呼ぶのが一般的かな)でも意外な選択が。なんと一番華やかで明るい色が提案されたのです。ええっこんなん付けて浮きませんか? 色名も「アプリコットジャム」若いっ! そっちの少し抑えた感じのではダメでしょうか…
「こちらがいいと思います。抑えた色だとくすんで見えるんですよ。」と、verdeさんはにっこり。
そしてふわあっと、しかし大胆に色を乗せていきます。
血色が!よみがえっている! でもいいの?派手じゃない? でもうれしい…
小学生の頃から顔色が悪いといわれてきたわたし、生気を取り戻しました。
うれしはずかし、みたいな気持ちはいったい何十年ぶりなのかと思ったけれど、ここ2年ほどそれを取り戻していることに気づく。ワンピースやスカートを買い、ピアスも開けた。50代後半だけど、こんな感覚を味わえるのはやっぱり幸せだとしみじみ思う。
口紅で提案されたのは意外な地味色…と思っていたけど付けたらバッチリ!こんな色が欲しかった!!
色名は「セピアモーブ」。茶の入った紫系のカラーですね。持っている口紅はローズ系でしたが、それよりもなじみがいい。わたしの肌色、唇の色に合わせてくださった提案だと思いました。
なんか脳内モニターされてます? ほぼ全ての色が提案通り、なおかつ大満足で進行してるんですが…。
さいごはハイライトです。これも未知の世界でした。だいたいパール系とかラメとかギャルのイメージしかなかった。イメージ貧困すぎました…各方面に失礼すぎたこと、ここにお詫びいたします。
「パール系もラメも、私たちの味方ですよ! 光を散乱できるので、初心者でも上手くいくし、ツヤも透明感も出ます。」
ブラシでさっさぁ~っと顔の高いところに入れていく。額から鼻筋、顎にかけて。メリハリがついて、フルメイク完了です。
振り返って購入した化粧品の数々を眺めると、光を拡散する効果がうたってあります。
「光と影を制するものは、お化粧を制する」マジでこれだと思いましたよ…
そしてきめが整いツヤのある肌(当社比)! もう後戻りできない。
7.オンラインで化粧が消える問題
メイクを教えていただくこと、合う色味を提案していただくことが主要テーマだったのですが、合わせて「オンラインの画面だと化粧が消え去る問題」も相談しました。結構塗ったつもりでも画面上ですっぴんにしか見えないってどういうこと?!
「ライトを当てないと顔が暗くなり、ライトを当てるとメイクは飛びやすいんです。わたしもオンラインの時はしっかり強めに色を載せていますよ。」
なるほど…オンラインのverdeさんはきちんと化粧した感がありました。それも光で色が飛ぶことを意識したメイクだったからなんですね。いままでほぼすっぴんの化粧だったわたしは、「これから宝塚のステージに立つ!」ぐらいの気持ちで色を乗せたほうがよさそうです。
大げさ? 実際にメイクして試してみた写真をこの記事の終わりに載せています。もしよければそれでご判断ください。
8.ホシノはアイテムを手にいれた
ウッキウキで買った全ての化粧品はこちら!
強がってデパコス買うって言わなくて良かった…引越しを控えた身としては、お財布に優しいことも大事だった。今回試してみてプチプラコスメの充実ぶりに驚きましたし、自分に合うものを選べることもわかって安心もした。
verdeさんはファッションやメイクに造詣が深いけれど、生活のご苦労も経験されてきた方。だからこそ闇雲に高いものだけを勧めるようなことはなく、与えられた条件の中で最高の提案が出来るよう準備してくださいました。こちらも初めの段階で「プチプラコスメになりますが、お買い物したいです」と伝えることが出来た。
このすりあわせができたおかげでゆたかで楽しい時間を過ごせましたし、お化粧する度にこの幸せな気持ちを思い出せることが何よりのギフトだと思います。
9.早速家で復習してみた
習ったからには実践! ということで、翌日緊張しつつ鏡を見る。
一つ一つはあくまで薄く、化粧品を重ねていく。
アイシャドウは下地に明るい色を入れてから、まんまと「次どうするんだっけ…」てなった。うっすい記憶を頼りに色を重ねた。まつげに近い部分に入れようとすると、悲しいかな皮膚のたるみが邪魔して思ったようにいかない。濃い色をまつげのキワに入れたつもりがなんか離れて隈取り風の謎メイクになっておる! 結構攻めてるつもりだったのになぁ…アイメイクは一日にしてならず、練習あるのみ。
眉墨は自分の眉色とまだらになってしまった。もう少し全体に載せるといいそうだ。
若い肌で練習したかったなぁ(切ない)。あと老眼はメイクの敵…化粧用の鏡(拡大できて明るいやつ!)を買おうと切に思いました。
参考のためにすっぴんとライトなお化粧と、自分では宝塚並みに頑張ったつもりのお化粧を載せておく。(アイメイクの稚拙さはおゆるしください)
いままでマットなおしろいを使っていたせいでツヤなど一つもなかったが、健康的な顔になっている。頬紅はまだ照れがある…お風呂上がりの血色の良さを参考にしてがんばって載せている。
頑張ってお化粧した姿でZoomを起動したらこうなった。
顔の上下が縮んで見えるのは、上3枚が自撮り(広角レンズ)でゆがんでいるからです。つまりこちらが本来の顔に近い。
宝塚か京劇の俳優さんかぐらいの気持ちでメイクしたんだが…驚くほど肌のの赤みが飛んで黄色っぽい!!マジか…
ただ、お化粧したことが伝わるようにはなった。なるほど…これも実践あるのみ。
10.まとめ
工程をしっかり踏んでお化粧するということは、自分の顔をまじまじと見るということでもある。
観察すると、どこに何を載せると良いかがわかってくる。化粧品にはそれぞれ目的があるからだ。顔には左右差もあるから自分なりの工夫も必要。それはこれからわたしが試行錯誤しながらやっていくことで、楽しみでもあります。
今回はverdeさんの観察眼をお借りして、基本のメイクを習った。顔全体に塗ったのは日焼け止めだけ。きちんとお化粧をしているけど、何かを隠すための厚塗りはしていない。ほくろも頬の影も今まで通りなのに、メイクの後は気にならなくなっていた。
少し前まで、わたしは自分の嫌なところばかりが目についていた。だからお化粧も自分らしさの演出より、嫌なところを隠したい気持ちが勝っていた。化粧しないと人前に出られない。そして加齢につれて隠したいところは増える一方。そのくせ雑なお化粧で過ごしていた。「お金が無いとお化粧はできない、高価な化粧品でなければ隠せない」と、諦めていたのだと思う。
今回フルメイクに挑戦して、違う感情が芽生えていることに気がついた。
メイクした自分に「ほら、大丈夫だよ」と励まされた気がしたのだ。
こころの中で、あるいは小さく口に出して「大丈夫だよ」と自分を励ますことがある。ノートにも手書きしてきた。だけど鏡の中の自分に励まされることに、今回侮れない効果を感じた。毎日ではなくても、手間をかけてお化粧し、大丈夫な自分でいることは、笑顔で人とつながる第一歩だ。
そのままでは恥ずかしいからお化粧するのではなく、笑顔で人とつながるためにお化粧する。おしゃれはわたしが笑顔でいるための、強力な助っ人。自分の機嫌をとって、大丈夫なわたしでいるための大切な行為を、いままで贅沢だと切り捨てていたのだね…
さらに、今回のお買い物は一人じゃなかった。
わたしは一人っ子で、しかも高校・大学の頃はおしゃれどころではない生活だった。あれから年を重ねて息子達はいるけれど娘はいない。じぶんの買い物はたいてい一人で済ませていた。
同年代のverdeさんと二人で、いろいろ試しながら買い物するのが実に楽しかった! 気持ちは完全に女子高生だった。若い頃の大きな未完了を、この歳で実現できるなんて…(涙)。コーディネート終了後に勢いそのまま、お茶をして、原宿で開催中だったスナワチのポップアップストアにも二人で出かけた。随所でverdeさんの優しい心遣いを感じた。忘れられない一日になった。
わたしは今月関東を離れ、広島の県北で新しい暮らしを始める。
パートの薬剤師としてこれから多くの人と関わることになる、この時期に、お化粧を習えて本当に良かった。verdeさんありがとうございました。そして長文のレポートをお読みくださった皆さん、ありがとうございました。
大丈夫な自分に応援されて、ひとの中で生きていく。
このお買い物同行に関しては、verdeさんが渾身のレポートを上げてくださいました。個々の化粧品についての解説、色の載せ方、ホシノについての見立てなどなど、愛のほとばしる大ボリュームの内容です。
この記事と合わせて2万字(汗)…ですがここまで読んでくださったアナタに損はさせません! ぜひお楽しみください。
最後まで読んで下さって有難うございます。 頂いたサポートは、noter さんに会いに行くために使わせていただきます。「愛を配って生きていく」意欲が3割増し!!! 応援して下さるあなたにも素敵な出会いがありますように。