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『龍とそばかすの姫』を観て、想像力の限界に想いを馳せる話。

どうも、すたーげいざーです。

ここ1年ほど、例のご時世の都合でなかなか足を運べぬ日々が続いていたのですが久々に劇場で映画を楽しんで参りました。(本当は閃光のハサウェイを観に行こうとしたのですが、ちょうど当日が公開日でレイトショーに移動させられてたんですよね……そっちはまた日を改めます)

タイトルにもありますが、本文章には『龍とそばかすの姫』の内容について言及した部分が含まれています。いわゆるネタバレを忌避される方はここでブラウザバックしていただけますと精神衛生によろしいですね。












……大丈夫ですかね?
一応配慮して、行を空けてみましたけども。

では、本文。
『竜とそばかすの姫』は、細田守監督がメガホンを執った作品。

前作の『未来のミライ』が取り上げたテーマが些か古臭さを感じさせる家族観であり、表現の抽象化と巧みな演出で説教臭さを中和した作品だったと感じていた(※個人の感想です)ために観る前は結構不安でした。
結論から行くと杞憂でしたね……結構面白かった。

カメラを振らずに定点から見せる。実写映画でよく用いられるし細田監督が好んで使う演出なんだけども、コンテの妙でアクションシーンはしっかりと動きも感じるのが素晴らしい。カメラのこだわりは心情投影の一人称視点ではなく客観的な三人称視点で見てほしいという心遣いなのでしょう。彼ら少年少女がその世界においては実在して、その成長する様を見てほしいのだというメッセージかなと感じます。ジュブナイルへのこだわりぃ……

作品のテーマやストーリーに関しては、同氏の別作品『サマーウォーズ』に近いのだけど更に今風のアレンジが加えられている。仮想空間が現実の人間関係に波及して、大きく変化していく様を表現する描写がよりスマートになっていて中弛みを感じさせない。どうしてもテンポを落としがちになる現実世界での描写も、表現上の「間」として活かせてるのは脚本の妙ですな。

キャストの演技も違和感を感じる部分は少なかった。俳優やシンガーなど別の業種に軸足を置いている方が大半なんだけど、ディレクションが良いのか自然なやり取りに感じるんですよこれが……凄いよねぇ。
総じて面白かったんで、劇場で1800円払う価値は感じますよ。細田作品好きな方なら恐らく楽しめるのではないかなと。


この作品を観て、いわゆる仮想空間を舞台にした作品って現実世界とのリンクを行うに当たってどうしても現実が上位に置かれがちだなと思う。
『マトリックス』『レディ・プレイヤー1』『サマーウォーズ』『THE THIRTEEN FLOOR』エトセトラエトセトラ。
ほとんどの作品が「現実に即した構造の仮想空間」ないしは「作品の着地点が現実世界」なんですよね。
結局のところ、現実世界が下敷きや前提になっていて……仮想空間が大道具の域を出てないなと。この辺はヴァーチャル・ネイティブではない旧人類による想像力の限界なのかなと感じたんですわ。
仮想空間そのものの捉え方が今後変わってくるのかなと、淡い期待を抱きつつここで文を〆ようかなと思います。


ただの映画好きおじさん すたーげいざー

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