スペード 安全地帯の歴史 17
だいぶご無沙汰してしまいました。
ちょっとプライベートな事を書くと、やっていた飲食店を手放し、それに伴いいろいろな引き継ぎや、自分自身の病気の事もあり、精神的にも肉体的にもちょっと大変な時期でした。
でもそんな時は、やっぱり仲間が励ましてくれたり、なんとあるイベントでは玉置さんのお兄さんとお話しさせていただく事も出来たりと、なかなか人生も捨てたもんじゃないなという気持ちでいます。
前回は、玉置さんのアルバム「ニセモノ」を書きましたので、今回は2001年に発表されたアルバム「スペード♠」について僕なりに書きたいと思います。音楽的考察ではなく、僕が当時感じた印象です。
このアルバムは本当に特徴的で、全編アコースティックギターでのブルージーなサウンド、自分自身に向けた泥臭い歌詞、数ある玉置さんのアルバムの中でもかなり尖った内容です。
特に歌詞に関しては、このアルバム以降はあまり書く事がなくなった、詩に半年は費したと仰る程に相当な労力を費した作品。
誰かを励ます為とか、リスナーに向けたという感じではなく、あくまで今と今までの自分に向けてのメッセージが色濃く反映されています。
軽井沢時代は、自由に自分のリズムで、好きな音楽を好きにやっていたという感じにも映るのですが、突然コンサートを中断してしまったり、インタビューでも(ファンの為ではなく)自分の為に歌ってると語ったり、安全地帯を再結成するはずだったアルバムをボツにしてみたりと、結構尖った行動も多いです。
前回のニセモノの時も書きましたが、あえて都会から離れてみたのに、何か満たされないものがあったのかなと思います。
軽井沢時代はどんどん内省的になっていく感じがありますが、でも僕はこのアルバム大好きなんですよ!
と言っても、発売された当時はほとんど聴かない一枚でした。
年齢と共に、自分自身がこの時の玉置さんの年齢を追い越した位からよく聴く様になりましたね。
ちょっと人生がうまく行かなくなった頃、毎日毎日忙しさにただ過ごしているだけだった頃、誰にも分かってもらえない苦しみを抱えていた頃。
このアルバムは胸に刺さるものがありました。
「甘んじて受け入れよう」
この言葉を、何度つぶやいた事か。
もちろん、今でも。
そもそも何故、タイトルはスペードなのか?
スペードは、一番強いとされるカード。
でもタイトルになってるこのマーク♠。
スペードのエースは、死や破滅を意味する不吉なカードでもある。
「占いもやってみたんだ
方角が悪かったそうだ
晩年はよくなっていくんだそうだ
運だって悪くもなるさ
晴れたり曇ったりしょうがないんだ
我慢 ガマンだ 我慢 ガマンだ
そうすりゃいいことあるだろう」
前向きとは全く逆の、かなりのネガティブな詩なのに、ちょっと諦めも入ってる感じなのに、とても心を掴むのは、玉置さんも僕も同じ人間で、同じ様な事で悩んだりしているんだなと思えた事ですね。
人間、玉置浩二を感じられる歌詞がこのアルバムには溢れています。
スペードのエースという、最強なんだけど、とても不吉なカード。
最強の才能と引き換えに、破滅の運命も抱えながら生きないといけない。
その苦しみが綴られている様に思います。
人間ってのは、人生ってのは、全くもって一筋縄ではいかない。
もてはやされては落とされ
落とされては持ち上げられ
晴れたり曇ったり雨降ったり。
よかれと思ってやった事も
うまくいかなかった事も
どっちにしたって、何か言われる。
大して知りもしない他人に。
でもしょうがないんだ。
ガマンだ。
そうすりゃいいことあるだろう。
オンボロになるまで、行こうって。
実際、この曲の歌詞の通りになり。
玉置さんの晩年は本当に良くなっていき、今だに日本一のボーカリストとして活躍してます。
それも含めて、このアルバムはスゲーなと。
かなり尖った特徴的なアルバムですが、聴けば聴く程にその言葉の意味や、随所に細かくこだわったサウンドを感じる事が出来る作品です。
まだ聴いた事がない、という方は是非聴いてみてください!
今回も読んでいただき、ありがとうございました!
イイネ、ご感想お待ちしております。
次回は、復活した安全地帯Ⅸについて書いてみたいと思います。
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